はせがわクリニック奮闘記

糖質制限、湿潤療法で奮闘中です。
パーキンソン病にはグルタチオン点滴を
癌には高濃度ビタミンC点滴も施行中です。

あなたを抱きしめる日まで

2014年04月24日 | 映画




今日は上記映画を観ました。
まあ、面白くはあったのですが、なんだかテレビドラマの劇場版みたいな印象で、大して製作費を注ぎ込んでないような印象を受けました。
お薦めとは言えない作品ですので、ネタバレでアップします。

1950年代前半のアイルランドでは、未婚で妊娠した10代の少女たちは修道院に収容されます。
カトリックの国ですので、堕胎は絶対に禁止です。
修道院内で出産して、その後4年間は、そこで、お礼奉公をせねばなりません。
つらい仕事が続く毎日ですが、一日に一回だけ、自分の子供と接することができるのが唯一の楽しみであり、生きがいでもあります。
しかし、当時の修道院は、そういった子供たちを、里親を探しては次々とあてがっていたのです。

ヒロインであるフィロミーナも、連れ去られて行く息子マイケルを、泣きながら見送るしかありませんでした。
マイケルは1952年生まれという設定ですので、私の1歳年下になります。
まさに私が生まれたころのストーリーですよね。

さて、場面は50年後に切り替わります。
結婚して、夫に先立たれたフィロミーナは、生きていたなら50歳の誕生日を迎えたはずのマイケルの存在を、娘に初めて明かします。
そして、何度か修道院を訪れてマイケルの行方を尋ねたが、相手にしてもらえなかったことも。
娘は、たまたまパーティーで出会ったジャーナリストのマーティンに捜査を依頼します。
興味を抱いたマーティンはフィロミーナに同伴して修道院を訪ねます。
しかし、すべての記録は大火事で燃えてしまったためにわからないと、にべも無く追い返されます。

落胆したマーティンでしたが、修道院のそばの飲み屋で、恐るべき情報をゲットします。
それは、大火事では無く、裏庭の物置に火を点けて、証拠書類を燃やしただけのものであったこと。
そして、里親ではあるものの、実際には、子供たちは一人1000ポンドでアメリカ人に売り払われていたという事実です。

意を決したマーティンはフィロミーナを伴ってアメリカへと調査に旅立ちます。
アメリカには里親の記録が残っていて、あっさりとマイケルの消息が判明します。
マイケルは大統領側近の政務補佐官にまで出世したものの、1995年に死亡していたのです。

フィロミーナは、それでも、アイルランドを、そして自分のことを、マイケルが思い出してくれていたという確信をつかむべく、周りの人々との面会を続けます。
しかし、マイケルが実はゲイだったことなどが判明しますが、アイルランドや母親の話を聞いたことのある人物は現れません。

最後に、そのゲイの相手だった男の自宅を訪ねます.
そこで見せられたビデオには驚くべき映像が残っていたのです。
エイズの末期であったマイケルは、アイルランドの例の修道院を訪れていたのです。
マイケルもまた母親の行方を捜していたのです。
すなわち、修道院側は、母親にも息子にも、知らぬふりを貫き通したのです。

マイケルの墓は本人の希望で、修道院の中に作られていました。

以前にも、"太陽とオレンジ"という映画作品をアップしましたが、英国の子供たちは結構悲惨な目に遭うことが多いように思えます。
さらに想い起せば、昔、"オリバー・ツイスト"なんていう映画もありましたよね。
なんだか、英国では子供たちの人権が、まるでないがしろにされているようにも見えます。




ジャズボーカルデビュー?

2014年04月22日 | 木曜会
昨夜は木曜会が上通り裏の居酒屋、"瑠璃庵"で開催されました。
そこのメニューには、菊鹿産のワインが何本か記されていました。
熊本県産のワインがうまいという話を耳にしたことはありましたが、飲むのは初めてです。
ライトな口当たりでしたが、フルーティーさが半端ではありません。
葡萄酒という漢字が頭に浮かびました。


その後は、焼酎をガンガン飲んだのですが、外飲み6連チャンの6日目で疲れていたので
二次会は遠慮させてもらって帰途につきました。
しかし、その店のすぐそばには、バー、"くれっしぇんど"がありました。
ふらりと一人で入ってしまいましたが、貸し切り状態です。
しめたとばかりに、マスターに生ピアノで伴奏をさせて、"素敵なあなた"を歌ってみました。
酔っぱらった頭でも、きちんと英語を間違えることも無く歌い終えることができました。

こうなると欲が出てきます。
次回までに、ヴァースの部分も記憶しておくことにしました。

この歳でのジャズボーカルデビューです。
我ながらやるもんですよね。

あしたのジョー?

2014年04月21日 | ゴルフ
昨日は坂田耳鼻咽喉科、野口皮膚科のゴルフコンペが、あつまるレイクCCで開催されました。
私たちの組は、妹とT君とガウディのマスターです。結果はマスターが85、T君が103、妹はレディースティーからではありましたが103でした。
私はボロボロで妹に、"ゴルフになってない。"と言われてしまいました。
その通りだと思いますが、めげずに工夫していくつもりです。

さて、40人くらいのコンペだったのですが、ダブルペリア方式で妹は6位にくいこみました。
さらには、レディースの優勝商品のゴルフバッグをゲットし、レダィースベスグロの駄菓子詰め合わせも手に入れました。
この詰め合わせは、はせがわクリニックのスタッフへのお土産に変身して有効に使用されました。
ゴルフクラブに触るのは2週間ぶりということでしたが、相変わらずの勝負強さで、
前半ボロボロの56を後半47と立て直したのは立派でした。

夜は焼き鳥の、"たば鳥"で赤ワイン1本とジョニ黒700mlを空けてしまいました。
身も心も疲れ果てて早めの就寝となりましたが、久しぶりの8時間睡眠となり、
朝の回復感はかなりなものでした。
今日は久し振りに練習を休みますが、また明日から再開します。

なんだか、打たれても、打たれても、立ち上がっていくボクサーになったような気分です。

漸悟と頓悟

2014年04月19日 | 妹ネタ
昨夜は妹とステーキの島崎に繰り出しました。
すると妹はバッグから新聞の切り抜きを取り出しました。
4月16日の日経新聞のコラム"あすへの話題"で、元宮内庁長官の羽毛田信吾氏の文章でした。

仏教用語で漸悟(ゼンゴ)とは、徐々に悟っていくこと。
頓悟(トンゴ)とは一挙に悟ることだそうです。

子供のころの遊びは、たとえば自転車やコマ回しのように、ある日突然に習得する頓悟的なものであることが多いと書かれています。

2012年の4月9日のブログで私は、"世の中には自転車に乗れる人と、乗れない人がいる。"
同じく、"ゴルフができる人とできない人がいる。"と書きました。
その後のブログで、"突然自転車に乗れるように、突然、ゴルフに開眼したい。"と述べました。
コラムが、その考え方にそっくりだということで持ってきたようです。
親切な妹です。

しかし、私が飲み方に老眼鏡を持っていくことはありませんので、昨夜に、その新聞記事を直接読むことはできませんでした。
そこで、妹が漸悟と頓悟の漢字を口頭で説明するのですが、なんとなく理解できませんでした。
その原因は妹が漸悟を、"ザンゴ"と読み違えたことにありました。
漸近線のゼンと暫定予算のザンを取り違えるという、初心者がよく陥るミスに、妹はどっぷりと浸かっていたのです。

ザンゴですか......ザンというと無残だとか、慙愧の念などの漢字を連想するのは私だけでしょうか?


修猷館高校・熊本県人会・平成の卒業生を集めて

2014年04月18日 | 同窓会
昨夜は、"居酒屋二貝"にて上記が開催されました。
7時半からだったのですが、することも無いし、喉も乾いたので、6時半に着いて一人で飲み始めました。
反則ですが、私が会長を務めるユルユルの集まりですので、個人的に可と判断しました。
十数名が、自己紹介の後、和気藹々と飲み方を繰り広げたのですが、T君は私が差し入れた日本酒を中心に飲んでいました。
私は最初から最後までジョニ黒を飲んだのですが、早くから飲み始めたせいか、10時半に店を出る時には、足取りがおかしかったそうです。

朝、目覚めると、シーツが血だらけでした。
左ひじを負傷して出血していたのです。
しかし、全く記憶にありません。
左ひざも痛いので、転倒したということなのでしょうか。
一生懸命に記憶をたどりましたが、結局思い出せませんでした。

その後、ポケットからスナック、"KONS"の領収書が出てきました。
行った記憶はまるでありません。

しかしT君と、どこかで腕相撲をした記憶がありましたので、KONSでだったのかもしれません。

今夜も明日も飲み会です。
明後日の日曜日はゴルフですが、その夜は、おそらく焼き鳥屋に繰り出すことになりそうです。
そして月曜日も木曜会の飲み方が入っています。
おとといの水曜日から6日間の連チャンとなります。

とにかく、自分で濃い水割りを作ることを禁止してみようと思いますが、さて、どうなることやら.....

SGLT2阻害薬と食事指導

2014年04月17日 | 糖質制限食
昨夜はA社とO社共催のweb勉強会に出席しました。
大阪での講演をwebで全国の会場のモニターに生中継するというものです。

毎回のことではありますが、勉強会というよりは、商品説明会、端的に言えば宣伝会です。

商品は4年前に欧米で販売が開始されたSGLT2阻害薬で、日本でも来週新発売となります。
以前にもアップしましたが、摂取した糖質の何割かを尿中にタレ流しにする薬です。

一日に1800カロリーを摂取する患者さんがいたとします。
バランスを考えて、炭水化物1000、タンパク質400、脂質400カロリーを毎日食べていたとすれば、
ブドウ糖が尿中に60gから80g排泄されますので、カロリー的には280も、炭水化物からのカロリーを失うことになります。
その結果、不都合なことが2つ発生すると思われます。

一つ目は、低カロリーです。1800-280=1520カロリーしか摂取できません。
二つ目は、バランスです。結果的には炭水化物は1000-280=720カロリーとなり、
総摂取カロリーである1520カロリーの47.4%しか炭水化物を摂取しないことになります。
すると、日本糖尿病学会が推奨する、炭水化物を50%以上摂取するという目標から逸脱してしまいます。
結果的に、学会が忌み嫌うところの、高タンパク、高脂質になってしまいます。

私が最も危惧するのは、患者さん達の空腹感が増大するのではないのかということです。
結果的にはカロリー制限を強化されたことになるからです。
そして、50%近くも炭水化物を摂るので、糖質制限にもなっていません。

最初の演者である滋賀医科大の前川聡先生は、"この薬を服用するからといって、
どんどん食べても良いということではありません。"と厳しく釘を刺されました。
2番目の演者であるドイツ人の医師は、"この薬を処方すると、
患者さん達は、お腹がすくのか、どんどん食べるようになります。"と、さらりと述べられました。

SGLT2阻害薬を処方する患者さん達への食事指導をどのように行うのか、次回は質問してみようと思います。

最後に、関西電力病院院長の、"玉無しチキンハート"である、清野裕先生が、長々と理論を述べられました。
まあ、以前と同じような内容だったのですが、最初は、"人間の脳と赤血球は毎日130gのブドウ糖を必要とする。"いう発言で始まります。
冒頭から間違っていますのでなんとも言いようが無いのですが、
そこまで断定するのであれば、脳が何グラムで赤血球が何グラムと、詳細を明らかにして欲しいと思います。
私の勝手な推測ですが、詳細は無いと思います。
昔は、脳と赤血球はブドウ糖しか利用できないと言われていましたので、その頃の文献からの単なる引用に過ぎないと思います。
ならば、その出典を公表する義務があると思います。
彼の理論はそこからスタートするのですから。

終了後は、土産の弁当を持ってガウディに行き、別の会合に出ていたT君と合流しました。
9時半から飲み始めたのですが、11時になった頃、T君が、"そろそろ最後の一杯にしましょう。"と提案してきました。
やはり。自分自身でクリニックを経営していると、昔みたいに野放図に飲んだくれるわけにはいかないと考え出すのでしょう。
えらいぞ、T君!
私に異存があるはずも無く、タクシーを呼んでの散会となりました。
しかし私は、帰宅して1時半まで飲んだくれてしまいました。
これでは早くに帰宅する意味はないかも.....

本屋大賞・村上海賊の娘

2014年04月16日 | 読書


今回の本屋大賞受賞作品です。

私が本屋大賞を読むのは、"舟を編む"、"海賊と呼ばれた男"に続く3作目です。

結論から言うと、読後感は良くありません。
上下二巻組で、上巻は次々に登場して来る、際立ったキャラ達の絡み合いが面白く、展開もスピーディーだったのですが、
下巻ではストーリーが淀み始めて、その後半部分は、最後まで戦闘シーンが延々と続くだけの単調なものとなります。
タフな主人公と、化け物みたいにタフな敵役との死闘が、辟易とさせられるほど続きます。
なんだか、ハリウッドの二流アクションムービーを見せつけられているような印象で、"いい加減にせんかっ!"と言いたくなります。
最後に決着が着いた頃には、"ヤレヤレ、やっと終わったか...."という感じで、テンションが下がりまくっていました。

このコンテンツで上下二巻組、消費税込みの3456円はコスパ悪すぎです。
日本中で売れまくっているはずですので、新潮社と作者の和田竜氏は儲けまくりでしょうね。

なんだか一杯喰わされたような気分になりました。
今後は、私が本屋大賞受賞作品に対して、購入時に懐疑的になることは必至のようです。
とくに、値段も張り、かなりの読書時間も要求される二巻組の作品には、慎重な吟味が必要かと思われます。

投稿はすべて公開します。

2014年04月11日 | 日記
たった今、気づいたのですが、奈良県吉野郡けんさんから
"がんと糖質の関係の反論楽しみにしてます。"とのコメントをいただきました。
けんさん、有難うございます。

しかし私のブログに対する基本的なスタンスは、私のプライベートな考えを、普通に書き連ねていくだけなのです。
当然、そこには間違いや勘違いも発生するでしょう。
したがって、コメントでの御批判、御叱責は大歓迎です。
ただ、そのコメントに対して逐一反応していくことは差し控えさせていただきます。
そのコメントに私が納得し、感謝したのか、あるいは疑問や反発を感じたのかは、読者の皆さんの想像にお任せ致します。
このサイトは、討論しあうような性質のものではありません。

ただしコメントは、すべて、そのままアップしますので、宜しくお願い致します。

村上春樹・色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

2014年04月11日 | 読書


とても面白く読み終えることができました。

主人公の多崎つくるは高校生時代に5人で仲良しグループを形成していました。
男子生徒の赤松と青海、女子生徒の白根と黒埜で、全員がカラフルな名前です。
グループ内では、アカ、アオ、シロ、クロと呼び合っていたのですが、多崎つくるという名前には色彩がありませんので、
主人公だけは、"つくる"と本名で呼ばれていました。

非常にバランスのとれたグループで

五人はそれぞれに「自分は今、正しい場所にいて、正しい仲間と結びついている」と感じた。

と表現されます。

アカは抜群の秀才だけれども、そのことを恥じるように、一歩後ろに引いて周囲に気を配るというキャラで、
アオはラグビー部のキャプテンで性格が明るくみんなに好かれて、よく人の話を聞き,場をまとめるのが得意なキャラ、
シロはモデル体型の美人だが、人の注目をひくことが苦手なピアノの名手というキャラ、
クロは容貌については人並みよりもいくらか上というところだが、表情が生き生きとして愛嬌があり、
自尊心が強く、タフな性格で頭の回転が速いというキャラでした。

つくるは、彼らの際立ったキャラを考えると、自分自身に目立った個性や特質が無いことにコンプレックスを感じます。
それでも、
そしてもちろん多崎つくるも、自分がひとつの不可欠なピースとしてその五角形に組み込まれていることを、嬉しく、また誇らしく思った。
彼は他の四人のことが心から好きだったし、そこにある一体感を何より愛した。

若木が地中から養分を吸い上げるように、思春期に必要とされる滋養を つくるは そのグループから受け取り、
成長のための大事な糧とし、あるいは取り置いて、非常用熱源として体内に蓄えた。


高校卒業後、つくるは東京の工業大学に進学します。
他の四人は生まれ育った名古屋にとどまります。
つくるが帰郷する度に、五人は集まって、依然と変わることなく旧交を温めていました。

ところが大学二年の夏にある事件がおこります。
そのことで、つくるは四人を代表したアオから理由も伝えられずに、電話で絶交を言い渡されます。
つくるには、その理由がまったく想像できませんでした。
しかし、ひどく恐ろしいものが出てきそうだと考えて、一切、追及することはできませんでした。

その後、彼らとの音信不通を続けた つくる は36歳の独身サラリーマンとなり、38歳のOLである沙羅との交際を始めます。
絶交を言い渡されたまま、追及することも無く現在に至った つくる に対して、沙羅は人生の区切りとしても決着をつけるべきだと諭します。
そして、四人の現住所を調べ上げて つくる に渡します。

これ以降はネタバレを避けて省きますが、以下のような素敵な文章も出てきます。

仕方ないじゃないか、と つくる は自分に言い聞かせる。
もともと空っぽであったものが、再び空っぽになっただけだ。
誰に苦情を申し立てられるだろう?
みんなが彼のところにやってきて、彼がどれくらい空っぽであるかを確認し、
それを確認し終えるとどこかに去って行く。
あとには空っぽの、あるいは より空っぽになった多崎つくるが再び一人で残される。
それだけのことではないか。


さて、この作品には、大学の2年後輩である灰田(グレー)という男が登場します。
その灰田の父親は大学生時代に辺鄙な温泉宿でジャズピアニストと出会い、不思議な体験をします。
羊シリーズにちょっとだけ似ているような、村上春樹得意のファンタスティックストーリーですが
灰田も、このネタも、本編に全く関わってきません。
灰田自体は、つくる が苦しい時代に助けられた存在として、まあ、ギリギリ許容範囲内ですが、
その父親のファンタジーネタには、違和感というか、場違いな感じを受けてしまいました。


岩田健太郎・感染症は実在しない

2014年04月09日 | 読書


不思議な本です。
さらに、読み終えた後に、作者のプロフィールを確認して驚きました。
その大人びて洗練された文章から、私よりも少しは先輩の先生の著書だろうと、疑うことなく想像して読み終えたのですが、
著者の岩田健太郎氏は私よりも20歳年下だったのです。

この作品は半分は医学書ですが、もう半分は哲学書に近いと思われます。

まずは結核という病気が例として取り上げられます。
現在世界中の人口の3分の1は、結核菌の保菌者なのだそうですが、実際に発症している人は、ごく少数です。
さて、最近のアメリカでは、保菌者にも投薬して、結核を完全に撲滅しようとする動きが出てきたそうです。
そこで保菌者と呼ぶのをやめて、潜伏結核と名付けたのです。
もともと結核は、原因も分からずに、咳が続いて、やせていき、やがては喀血して死んでいくという現象(コト)でした。
そういう症状で死に至るコトを結核と呼んだのです。
その後、結核菌が発見されます。
そこで、結核菌を持っていることが、培養やレントゲンやCTで証明された人に結核という病名が与えられたのです。
しかし保菌者では、そのような証明はなされません。
証明された瞬間に保菌者ではなく、結核患者になってしまうからです。
せいぜいツベルクリン反応の結果から推定するしかないのでしょうが、その線引きも国によってバラバラです。
つい最近まで、結核ではないとされてきた人たちが、いきなり潜伏結核という病名を頂戴することになるのです。
このようなことから、結核をモノでは無く、そのようなコトとしてとらえたほうが分かりやすいのかも知れません。

10年間で脳卒中になる人が100人中5人いたとしましょう。
ある薬を全員に10年間投与して、脳卒中患者が1人しか発生しなかったとすれば、
脳卒中になるはずであった5人のうちの4人を救ったことになりますので有効率は80%と表記されます。
しかし母数の100人から考えると脳卒中を4%しか下げていません。
また別の見方をすれば、この薬を飲まなくても、10年間で95人は脳卒中を発症しません。
しかし、この薬を10年間飲み続ければ、99人は脳卒中になりませんよということなのです。
さらに見方を変えれば、100人治療して4人が助かるわけですから、25人治療してやっと1人が恩恵を受けるという計算になります。

私が100人の中に入っていたとするならば、また何らかの症状に苦しんでいなかったとすれば、
その薬を10年間も飲み続ける可能性はゼロでしょう。
しかし、これは患者自身が、それぞれの異なる人生観を踏まえて決定するべき事柄でしょう。


実は、この読書感想文を書き始めてすでに3日間が経過しております。
作品自体がとりとめのない話の連続で、この逸話が特に面白いという物も見当たりません。
しかし、医師にとってはとても読み応えのある作品です。
読後感はとても良いのですが、その良さをうまく説明することは非常に困難です。
申し訳ありませんが、ギブアップさせていただきます!スミマセン....




年寄りには甘い物?

2014年04月05日 | 糖質制限食
老人施設での常識と言いましょうか、スタッフは皆、"年寄りには甘い物"と考えているようです。
3時のオヤツは殆どが甘い物ですし、飲み物もジュースやヤクルトやポカリスウェットなどの甘い物が主流です。
"年寄りは甘い物で幸せになる。"ということが100%の常識とされているのです。

糖質制限という考え方が、今後どのように、またどれくらいのスピードで広まっていくのかは予想できませんが、
いつの日か、すべての施設が年寄りに甘い物を提供することをストップするようになったならば、
入居者の認知症進行にかなりのブレーキがかけられることを期待できると思います。

夏井睦・炭水化物の奴隷

2014年04月04日 | 糖質制限食
最近、夏井睦先生が、"炭水化物の奴隷"という表現を使っておられます。

炭水化物を食べて血糖値を上げ、セロトニンやドーパミンを分泌させて満足感を味わい、
数時間後には余ったインスリンによる低血糖からの激しい空腹感に襲われて、再び炭水化物を摂取せざるを得なくなる。
このことを一日に何度も繰り返すことを端的に表現したものでしょう。

昔の自分自身を思い起こせば、言いえて妙だなと感心してしまいます。

当時の私は、朝、目覚めた瞬間から腹が減っていました。
とりあえず、サッポロ一番味噌ラーメンを胃にたたき込みます。
とにかく空腹というか、反応性の低血糖に耐えられなかったのです。

昼食は行きつけの飲食店がいくつかありましたが、
中華料理屋でのチャーハンの大盛りが最大のお気に入りでした。
しかし、そのボリュームは半端ではありません。
食べ終えての帰りの車の中では苦しい満腹感に襲われて、毎回、普通盛りにするべきだったと後悔しました。
しかし、次に行った時にも、つい大盛りを頼んでしまうのです。
500円の普通盛りに100円追加するだけで大幅なボリュームアップとなるからです。

午後は毎日、強烈な睡魔との戦いを強いられました。
そして睡魔が退散した頃には、もう空腹感がちらほらと姿を見せ始めます。
あまりにもすきっ腹で飲み方に出かけるのは良くないという理由で菓子類に手を出していました。

飲み方では、それほど食べる方では無かったのですが、最後はきっちりとラーメン屋に立ち寄りました。
そのことによって翌朝の低血糖を誘発していたのです。

一日中炭水化物の支配下にある、まさに奴隷ですよね。

現在は空腹感をそのまま放置することができるようになっています。
低血糖ではありませんので、お腹がグーグー鳴っていても、切迫感の無い、放置可能なレベルの空腹感なのです。
このことを、たがしゅう先生は、"融通の利く空腹感"と表現されています。

糖尿病・SGLT2阻害剤

2014年04月03日 | 糖質制限食
昨夜は日航ホテルで開催された糖尿病の勉強会に出席しました。
テーマは近日中に新発売となる新薬、SGLT2阻害薬についてです。
腎臓でのブドウ糖の再吸収を阻害して、ブドウ糖を尿糖としてタレ流しにする薬です。
欧米では4年前から使われているそうで、減量効果も確認されているようです。

そこまでして炭水化物を食べるのかとも思うのですが、
糖尿病の専門医は、皆さん、"3食バランス教"の信者ですので、ゆめゆめ疑いは持たれません。

私が疑問に思ったのは、食事指導を変更する必要性が出てくるのではないのかということです。
3食バランス教では、患者さんにカロリー制限を課すことが必定です。
そこで、1800キロカロリー以下に制限されている患者さんが、この薬の服用を始めたとすれば、
バランス良く摂取された1000キロカロリー(1800キロカロリーの60%)のブドウ糖のうちの何割かが、
吸収されずに尿糖として捨てられるわけですから、一日の純粋な摂取カロリーはかなり低下するはずです。

低カロリー症を避けるための指導が必要になるのではないでしょうか。

私の妄想によれば以下のような指導になるのかも知れません。

"この新薬を飲み始めたならば、1枚しか食べなかった食パンは2枚に増やすように。
ご飯はできるだけオカワリをするように。毎日、甘い物を食べるように。"

糖質制限・食事記録

2014年04月01日 | 糖質制限食
糖質制限を始めて以来、毎日の食事内容を記録するようになりました。
今年になって、最も外飲みが少なかった3月3日からの一週間の記録をアップしてみます。

月曜日:(朝)味噌汁 (昼)鯛の塩焼き、ハムエッグ (夕)刺身、肉もやし炒め、ホルモン煮込み
火曜日:(朝)味噌汁 (昼)鰤の塩焼き (夕)刺身 すき焼き
水曜日: (朝)味噌汁 (昼)オムレツ (夕)刺身、オムレツ、野菜炒め
木曜日: (朝)味噌汁 (昼)鰤の塩焼き (夕)ステーキ、野菜炒め
金曜日: (朝)味噌汁 (昼)鰤の塩焼き (夕)ステーキ、刺身
土曜日: (朝)味噌汁 (昼)ケンタッキーチキン2個 (夕)スナック安楽でのボウリング大会打ち上げ
日曜日: (朝)味噌汁 (昼)ゴルフ場でのステーキのみ (夕)刺身、ケンタ1個、イカと大根の煮物、サラダ

朝の味噌汁は野菜と豆腐と熊本名産の南関揚げに半熟卵を落とした物です。
夜は飲みながら、さらにチーズやピーナツをつまみます。

糖質制限を始めた当初は、朝の味噌汁も無く、朝昼兼用で生野菜サラダに半熟卵やハムを乗せて、マヨネーズをかけて食べるのみでした。
79Kgもあった体重が9か月で64Kgを切りそうになったので、あわてて現在のパターンに切り替えました。
体重は66.5Kg(BMI:22.2)で安定しています。
体重は安定していますが、ブレスダイエットを続けているせいか、依然としてウェストは縮小傾向にあります。

"体重を維持するために、きちんと昼食を摂る"というような人生が、自分を待っているとは夢にも想いませんでした。