現在行われている医療は 「死なないための医療」です。
しかし、人間の死亡率が100%であることを考えれば、「死ぬことを前提とした医療」をも考慮して
両方のスタンスに立ちながらも、融通の利く医療が必要だと筆者は主張します。
まずは日本人の生存曲線を示します。
男は60歳くらいから死亡というイベントが少しづつ始まり、80歳を超えると急激にイベントが増える。
女は数年遅れるが、やはり同じような曲線を描く。
このグラフからは、80歳の男性の70%が90歳までに死亡するということです。
女性でも、その間に40%が死亡します。
これって、凄ましい現実ですよね。
これは筆者が得意とする4分割のグラフです。
長寿で幸福な人もいれば、短命で不幸な人、あるいはどちらかだけの人もいるという、当たり前のグラフです。
そかし、この単純な4分割のグラフが結構役に立つことが、後で分かってきます。
これは血圧と脳卒中リスクの関係を表したグラフです。
すべての年代で血圧が高くなるほどリスクが高くなっています。
血圧を下げれば下げるほどリスクは減ります。
ところが自治医大のグループが報告している脳卒中の頻度を参照すれば、50歳代の脳卒中の頻度は正常血圧で年率0.3%程度、
130以上の高血圧患者でその3倍とすると年率1%程度である。
これにより50歳代2000人を4分割すると次のグラフが得られる。
この表を薬品会社は、血圧を130以下に下げることによって、脳卒中のリスクを3分の1以下にできると読むのでしょう。
しかし、正確に言えば血圧が130以上の人達1000人に降圧剤を一年間投与すれば脳卒中の発症を10人から3人に減らせるということでしょう。
つまり降圧剤を投与された1000人のうちで、本当にご利益を賜るのは7人だけであり、さらに3人は投薬の甲斐も無く脳卒中を発症するのです。
このグラフは降圧剤が脳卒中を予防しているのでは無く、数か月遅延させているだけだと示しています。
また筆者は、動脈硬化が進むと拡張期血圧が低下して脈圧が上がることが脳卒中のリスクを高めると記しています。
これは初耳でした。
これまでは、拡張期の高血圧こそが動脈硬化の存在を示唆していると思っていました。
T君よ、本当のところ、どうなんだい?