朝焼け


公民館が企画したバス旅行の集合場所は、集落を東西に流れる河川の橋の上である。
出発を待つ間、欄干にもたれて何人かが川の流れに見入っていた。
先夜の雨による水の濁りはなく、清流が岸辺の若草を洗って躍動している。
河原の景色は子供のころと一変している、戦後国が荒れていたころ大石小石が一面に転がっている河原に緑はなかった。
少しの降雨でも河川は増水し、赤く濁った土臭い濁流が渦巻き、木橋を飲み込んでいった。
半鐘が鳴って、消防団の若者が堤防をえぐる本流の中に、木製の牛を設置し懸命に流れの向きを変えて人家や田園を守った。
「水がきれいだね」と昔を知っている人が云った。
「石の下にはカジカがたくさんいるらしい」若い人がいった。