匂い立つ山百合
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天蚕の美しい繭を見た日、ラジオから流れるニュースを聞いた。
「岡谷市で毎年夏に開かれてきた「製糸夏期大学」が、7月22日、23日に開く第63回を最後に幕を閉じる」という
私はそういう歴史をもつ夏季大学があることを知らなかった。
当地に松本蚕糸試験場という公の研究機関があって、蚕の品種改良はもとより、生物に関わる高度な研究成果を内外に発信し、高い評価を得ていたという。
近年 研究機関は廃止されて、跡地は公園となり、更に総合的再開発が検討されている。
これらの研究施設で育み蓄積された膨大な知的財産や世界的頭脳は散逸してしまったのだろうか、地球の食糧自給研究等に引き継がれ、一層その輝きを増していることを期待する。
夏の夜を、お蚕様と同じ屋根の下で暮らした当時を思い出す。