美しい食材
花オクラという風雅な食材があって夏の食卓を演出するという。
野菜オクラの花は少し小ぶりだけれど、その味わいを満喫できるとある人に聞いた。
雨の日曜日 開花直前の淡い黄色の蕾を数個収穫してきた。
何故か 野菜の蕾を切り取ることには 多少の後ろめたさを感じるものだ。
雨に濡れた幼花はしっとりとして、花と云うより野菜の重量感があった。
緑のバトミントンシャトルを思わせるヘタの部分を切り離すと、蝶のように花びらがバラける。
金ザルに入れて熱湯をくぐらせ、手早く上げる。
花の色素が湯に溶けだし捨てがたい、草木染専門家には食指が動く色合いかもしれない。
さっと冷水ですすいで、薄味の三杯酢で食べた。
香りはないけれど、ぬめりと、食感はどこかでオクラに連なった。
素人料理ではここまで、 折角の食材を生しきれない。 決して不味くはないが、さりとて何回も食べたいと思わない。