サギソウ
1週間ぶりに曇天が晴れて、久しぶりに見る青空は既に秋の憂いを含んでいる。
数日間 雨が続き、灰色の空の下でうずくまる様に暮している間に、季節は足早に移ってしまった。
松本市街地東方に連なる2000メートル級の高原台地美ヶ原、その西端に位置する王ケ鼻は特異な形状の岩山である。
その白い岩場の周辺から緑の色彩が急速にあせて、淡い枯れ葉の色調が日々にひろがって行くのが観察できる。
高原では冷たい風が草紅葉をなびかせて、風露草の残花と、薄紫の松虫草が風に揺れながら咲いているに違いない。
窓辺から白い雲の被ったような王ヶ鼻を見ていると、ひさしく高原の風に当っていないことに気付かされた。