朝焼けは雨降りの前兆という。
それは比較的高い確率で当るように思う。
今朝は桜の紅葉と張り合うように東の空が燃えた。
案の定 午後からの時雨は、時おり霙交じりの冷たい雨になった。
急死した縁者の家系が絶えて、間もなく解体される家の仏間の霊を慰める為、菩提寺にお願いして、仏具の魂抜きをした。
空は暗い雲に閉ざされて、鬱蒼と茂る木立に囲まれた廃屋の仏間は、既に電気を止められ、暗い冷気が満ちていた。
それぞれの縁を持つ5名が集まった法要は、重い沈黙の中を進み、障子を開け放った薄明かりの中に、住職の読経が時に激しく流れた。
この家を五代を遡れば、初代の生誕は安政5年(1858)11月25日と記されている。