自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その172)~植木鉢作戦Ⅲ⑥~

2012-11-02 | ジャコウアゲハ

10月31日(水)午前7時。前蛹・終齢幼虫(2個体)ともに変化なし。午後11時も変化なし。この日の最高気温18.3℃,最低気温10.1℃(23時現在)。

11月1日(木)午前8時。幼虫が帯糸を紡ぎ出して以来ちょうど4日が経ちました。まだ変化はありません。この期間がこの季節における前蛹期間です。幼虫2個体は相変わらず葉を食べています。

この日の最高気温17.0℃,最低気温7.2℃。

11月2日(金)午前6時30分。幼虫・前蛹とも変化見られず。 アメダスによる今朝の最低気温は4.3℃(午前4時51分)。今冬最高の冷えです。無事に通過できるか,気がかりです。

午後6時30分。暗くなって帰宅。さっそく観察すると,蛹化して間もない様子。色艶が瑞々しく,かたちも初々しいばかり。ときどき動くのを見ていると,やはり蛹になって時間が経っていないことがわかります。蛹になれたのを見届けられ,ホッとしています。糸を紡ぎ出して,おおよそ5日と半日が経ちました。これで無事に春を待つ態勢が整いました。

前から,つまり蛹の背側から見ると……。

一方,幼虫の方は1個体が見当たりません。前蛹期を迎え,どこかに移動したのでしょう。

この日の最高気温は15.0℃,最低気温は4.3℃(23時現在)。一日,寒かったー!

           


ススキが語る水田の荒廃風景

2012-11-02 | 随想

勤務施設のある地域は静かな田園地帯。昼休みにウォーキングをする道沿いには水田が広がっています。その一部に特異な姿が見られます。

ふつうなら生えて来ない筈のススキが水田の畦に生えているのです。ススキは荒地にまず入り込む雑草。畦は耕作者がこまめに草刈りをしますから,適当に雑草がそれぞれの陣地を占めていて,ススキが入り込む隙間がありません。

手入れを怠ると,いつの間にか入り込む余地のないススキが勢力を広げるきっかけが生まれるのです。

畦の向こうにある水田のイネは,沈水植物や浮葉植物などの水性植物と混ざって生えています。とにかくごちゃごちゃ状態です。イネの勢いが完全に負けているのが一目瞭然。植付時期が遅かったために十分生長せず,放置されているのです。もちろん,畦の草刈りもなされた形跡がありません。このままにしておくと,水田は湿地になり,畦にはススキがどんどん殖えるでしょう。種子が飛んで,それが発芽して勢力を拡大していくのです。2年も経つと,相当な光景になります。 

近くの水田に,もっとすごい,見本になるような箇所があります。イネが,田に生えてきた水生植物にやっつけられている様子は写真のとおりです。植生遷移が着実に進行しているのです。耕作を放棄されたこうした水田の畦は,ススキですっかり覆われます。水田風景としては,見るからに異様な雰囲気が漂っています。 ここまでになるには,相当期間放置されていたのでしょう。残念ですが,勤勉な耕作者の姿勢は見られません。

水を張って放っておくと,優良水田が荒廃湿地に変わっていきます。

田舎では,稲作の後継者が激減しています。わたしも,自分の田を知人に預けています。こんな例がどんどん増えて,必然的に耕作者が高齢化しています。 今後の米作りをどうするか,この対策が今大きな課題になっています。

ススキが生える田はこうした姿の典型例です。いったんススキが入り込むと,それを駆逐するのは至難の業でしょう。この畦ばかりか,近くの畦にも綿毛を付けた種子が運ばれていきます。やがて影響が出るのではないでしょうか。

田の所有者にも事情があるでしょうが,周辺の耕作者にも悩みの種になります。困った話です。