自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その180)~植木鉢作戦Ⅲ⑬~

2012-11-14 | ジャコウアゲハ

11月13日(火)。かなり冷えました。早朝の最低気温3.6℃(午前6時53分)。体内で大きな変化が起こっているはずです。準備をしっかり整えて,そうして蛹に移行していくでしょう。最高気温16.7℃。

11月14日(水)。午前2時以降の気温は6℃を下回っています。最低は午前6時4分に記録した4.5℃。それほどに寒くなってきました。

前蛹は外見は変わりありませんが,内部組織は寒さに耐えているでしょう。わたしの当初の予感では,今日が蛹化日です。タイミングよく勤務が休みなので,家で仕事をしながら気にしておこうと思います。

昼間,変化なし。

午後8時になっても蛹になる兆候なし。寒い,寒い。この冷え込みが影響しているのでしょう。わたしの読みは外れ,この時点で半日伸びてしまったことになります。これで帯糸を出し始めてからちょうど6日が経過しました。

最高気温14.0℃,最低気温2.8℃でした(24時現在)。最低気温は今秋の記録を更新。

 


ヨモギハムシの恋,また

2012-11-14 | 昆虫

道端のヨモギに,ヨモギハムシがあちこち付いています。それがマア,実にたくさんなのです。恋の季節だと言えばそのとおりなのですが,それだけ棲息しているということがふしぎな程目に付きます。

人間なら住民の混み具合を人口密度で表します。ヨモギハムシなら,“虫”口密度と言い表せそうです。人口密度なら単位は“人/平方キロメートル”,虫口密度ならさしずめ“匹/㎡”というところでしょうか。

それほどに混み合っているのです。単独でいる個体,ペアになった一対。それらがあちこちにいます。恋に陥っている最中だとか,相手を探し求めているとか,パターンはいろいろあるのでしょう。

どうやら寒い季節が訪れ,大慌てで子孫を残さなくてはならないようです。

オスはメスのからだをガチッとつかみます。メスの肉質に食い込んだ爪が相当に効いているようです。メスは痛みを感じないのでしょうか。

密度が高いと,三角関係も生じます。と言うより,一方的な恋の邪魔者の出現のようです。

追い払いたいし,横取りしたいし。そんな感じです。オスの苦労が見えてきます。

それで卵の話なのですが,まだ見つけることができないままです。

 


ジシバリと訪花昆虫

2012-11-14 | 昆虫と花

道端でジシバリが黄色い頭花を付けています。キク科のやさしい花です。ふつうなら4~6月に開花するのですが,中には小春日和を感じてか,今どき咲くのもあるようです。

ふと見ると,昆虫が吸蜜しているのが目に付きました。キタヒメヒラタアブです。よほどおいしい蜜が詰まっているのか,この時期,あまり訪れる昆虫がいなくて安心して蜜をいただいているのか,集中し切っている様子。何しろ花茎を左手で持って,右手でカメラを操作しても,ちっとも気がつかないのですから。

からだは花粉まみれ。

このジシバリの花が道路に沿って適当に,点在するように咲いています。変わった名を付けられていますが,漢字で「地縛り」と書きます。いよいよ変わった草だという気がしてきます。別名をイワニガナと呼ばれています。こちらは「岩苦菜」。

どちらもこの草の特徴を言い当てて妙です。

生活形はロゼット。株になっていて,地表を這うほふく茎があちこちに伸びて,途中で根を張り,地面を覆ってしまうというわけです。こんな調子で殖えると,たとえば困るのは農家。所によっては厄介者扱いになっているのです。漢字を覚えると,この命名が腑に落ちるでしょう。ただし,退治にほとほと困るといったタイプではありません。この道端にしても被害を受けているわけではありません。

もう一方の「岩苦菜」の由来はどうでしょう。葉や茎を切ると,白い乳液が出ます。わずかでもそれを舐めるとほろ苦い味,口内に広がります。明らかに,虫に食べられるのを防御しているのです。わたしたちの感じる苦さは,昆虫の味覚にも違和感があると考えられます。よく似たものでは,タンポポやコニシキソウがあります。そんな苦さを持った菜でありながら,岩の上でさえ生えていけるようなたくましさをも備えているという意味なのです。

こんなにして生きながら,昆虫の手助けを得て種子をつくります。種は熟すと,綿毛を広げて大空に舞い上がります。他の花から花粉を運んでもらって,多様な遺伝子を残すこともちゃんと心得ているのです。