11月13日(火)。
親子体験農園で野菜の手入れをしていると,アカトンボがいました。雨粒が付いて,何となく寒そうです。
よく見ると,4枚の翅の先付近に,褐色の帯があります。これはミヤマアカネです。赤味が全身にまでは及んでいないので,メスではないでしょうか。あとでわかったのは東日本ではごく普通に観察できるようですが,西日本ではそれほどでもないということです。改めて,「ソウナンカ」と思いました。
その場ではじっくり観察して,ついでに写真に収めました。すっかり弱っていて,飛びそうにありません。寿命が来ているようです。
そして翅先の縁にあたる曲線部分が,どうも痛んでいます。これまで精一杯生きてきて,今いのち果てようとしているのでしょう。誠に静かな風景に見えました。すべてはあるがまま,です。
和名を「深山茜」と書きます。“深山”は標高が相当に高いところを表します。このことからみると,丘陵地に多い種かと思われます。たぶん止水域でなく,流水域に棲息する習性を有しているのでしょう。このミヤマアカネを見た畑は,山間部の平地です。澄み切った,冷たい水が流れる地域です。何しろ,近くに平成の名水百選(環境省選定)に選ばれた水源があるほどですから。
トンボをそのままにしてわたしは作業を進めたのでした。