自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

晩秋のミヤマアカネ

2012-11-15 | 昆虫

11月13日(火)。

親子体験農園で野菜の手入れをしていると,アカトンボがいました。雨粒が付いて,何となく寒そうです。

よく見ると,4枚の翅の先付近に,褐色の帯があります。これはミヤマアカネです。赤味が全身にまでは及んでいないので,メスではないでしょうか。あとでわかったのは東日本ではごく普通に観察できるようですが,西日本ではそれほどでもないということです。改めて,「ソウナンカ」と思いました。

その場ではじっくり観察して,ついでに写真に収めました。すっかり弱っていて,飛びそうにありません。寿命が来ているようです。

そして翅先の縁にあたる曲線部分が,どうも痛んでいます。これまで精一杯生きてきて,今いのち果てようとしているのでしょう。誠に静かな風景に見えました。すべてはあるがまま,です。

和名を「深山茜」と書きます。“深山”は標高が相当に高いところを表します。このことからみると,丘陵地に多い種かと思われます。たぶん止水域でなく,流水域に棲息する習性を有しているのでしょう。このミヤマアカネを見た畑は,山間部の平地です。澄み切った,冷たい水が流れる地域です。何しろ,近くに平成の名水百選(環境省選定)に選ばれた水源があるほどですから。

トンボをそのままにしてわたしは作業を進めたのでした。

 


カラスガイを放流

2012-11-15 | 随想

集落の排水路で,泥が溜まった箇所があります。100m程の区間で,三面コンクリート張りながらそこだけに泥溜が造られているのです。事情はわかりませんが,もしかすると自然を残すことが意図されていたのかもしれません。

その箇所には,当然のことながら,泥がたっぷり溜まっています。それで,藻がたくさん生えています。夏になると,茂る程に水面を覆い尽します。

年に一度5月に生活排水路として,集落住民が清掃作業をします。そのときに泥を上げます。下水道が完備されているので,一般の生活排水は皆無ですが,,山から流れ落ちてきた石やら繁茂した藻やらが溜まって流れが悪くなるので,きれいにするのです。

毎年泥を上げていると,小魚やエビ,シジミ,タニシ,カラスガイ等を見かけます。ただ,カラスガイは殻だけです。とことん生きたカラスガイを探したわけではありませんが,ここはカラスガイが暮らせる環境かもしれません。

そう楽観的に考え,生きたカラスガイを他から採集してきて試みに放流することにしました。まずは,放流第1回です。直接のねらいは,カラスガイと共存共生関係にあるタナゴを呼び戻すことにあります。昔はタナゴ類が多く棲息していたのですが,今はほとんど見かけなくなりました。

 

これを少しでも,何とかできないか,と思うのです。親しい知人にこの旨を伝えました。彼は,タナゴにたいへん関心を持っているので,いの一番に賛成してくれました。

ただ一つだけ,難関と言えそうな壁があります。排水路のすぐに本流の河川に注ぐのですが,注ぎ口付近100m程の底面がコンクリート張りなのです。さらに,水量は大したことはありません。とくに稲作期が終わった期間は渇水期と同じ状況です。これでは,ふだん魚は遡上できません。

そんな中,タイミングよくタナゴが入り込む機会があって,居ついてくれればと願っています。

こんなことを考えると,生活排水路を清掃するのが何だか少したのしみになります。