自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その179)~植木鉢作戦Ⅲ⑫~

2012-11-13 | ジャコウアゲハ

11月11日(日)。朝8時頃から雨模様。しとしと降っています。今日これまでの最低気温8.5℃。前蛹に水滴がたくさん付いています。

光の効果を生かして写してみると……。

「雨粒が付いてさぞ寒かろう」 と思うのは人間の感傷に過ぎないと思われます。この程度の寒さへの耐性は整っていることでしょう。ただ気象条件が激変して,幼虫期に,濡れたまま凍る事態が生じると決定的なダメージを受けることになると思います。氷点下の寒さに体表がさらされるのは想定外に違いありません。

最高気温15.6度。

11月12日(月)。雨が上がったものの,昨日濡れたからだはそのままの状態です。異常はありません。

最高気温16.6℃,最低気温5.0℃(24時現在)。 

 


アカハラゴマダラヒトリの幼虫

2012-11-13 | 昆虫

自宅脇の路上を,毛虫が一匹のこのこ歩いていました。この“のこのこ”の何と速いこと! びっくりものです。 

毛の有無を問わず,この種の虫を一般にイモムシと呼んでいます。見かけたイモムシは明らかにガの幼虫と思われました。しかし,毒があるのかないのか,何というガの幼虫なのか,さっぱりわかりません。こうしたイモムシは,まず毒を持っていると思うのがいいでしょう。それで,素手で触らないに越したことはありません。

毛を持ったイモムシを接写で撮影する機会はこれまでにあまりなかったものですから,「ちょっとやってみるか」という誘惑に駆られました。それで,細い木の枝でつつくと,丸まってしまいました。それを少強めに押すと,今度は大急ぎで逃げにかかりました。大した動作です。

正体を突き止めなくてはおもしろくありませんから,検索しました。何とかわかってきました。どうやら,ヒトリガ科に属するアカハラゴマダラヒトリらしいのです。漢字で書くと,“赤腹胡麻斑火取”。これは成虫の腹やら翅やら,さらには習性から付けられたものといいます。幼虫は背に橙黄色の筋をもち,側面に刺毛を密生させているらしいので,これでぴったり合っています。なお,刺毛とはいっても通常の有毒物質を出すわけではなく,発疹のアレルゲン程度にはなるということで,触らない方がよいという解説がありました。そういえば,爪楊枝を使って向きを変えていると,毛が何本も容易に落ちました。

こんなのがいったいどこに棲んでいるのかということですが,基本的には食草・食樹は選ばないそうで,敢えて挙げればクワやミズキと書かれていました。わたしの家の周りには,こうした木はないのでいろんなものを食べているのでしょう。「農家や園芸家からひどく嫌われる」(ウィキペディア フリー百科事典)とありました。ここから考えるとずいぶん広く分布していると思われます。

触ると,完全に丸まって死んだ振りをし,難を逃れようとしました。これはこの毛虫の生きる知恵なのです。そのままにして観察していると,いかにも柔毛に覆われているなあといった様相です。昔からこれを「クマケムシ」と呼んできたのだそうです。

 

からだをぎゅっと押すと,大急ぎで退散しようとしました。これも生き伸びる知恵。胸脚が三対,よく見えます。腹脚も!

 

ついでに,頭を撮りました。口器のかたちがよくわかります。この口で葉をばりばり,ぼりぼり食するのです。撮影中,からだに似合わないような大き目の糞を一つ落としました。粘っこいので,下の紙にシミが広がりました。

撮り終わって,逃がしてやりました。幼虫は耐寒性がたいへん強く,このまま越冬するとか。見てみる,調べてみる,そうした小さな試みを重ねて,自然が前より少し広く見えてきます。