白菊の花には,朝からハエ類やアブ類がどっさり訪れます。秋でも,暖かい日中は羽音が盛んに聞こえます。ところが,雲が空を覆って肌寒くなると,途端にそれらが脇のキンカンの葉に移動したり,動きが鈍くなったりします。変温動物である昆虫の自然な成り行きです。
それらの一部は,花の上でじっとしたり,ちょこっと動いたり。夕方のことで,一層,動きが鈍いように思われました。そういうときは,当たり前のことですが複眼にピントを合わせやすくなります。
複眼を構成する個眼が並んでいます。三個ある単眼も見えます。このハエは完全に休んでいるわけではなく,口器を花に差し入れて餌を舐めていることがわかります。
この後,花弁に移動。それをすこし斜めから見てみました。棘の一本一本のスゴサが伝わってきます。
一部のハエは花の裏側に回って,どうやらねぐらと決めたようです。金属光沢をした外骨格はまるでよろいです。とても丈夫に見えます。大きな複眼は外界を認識する中枢を担っています。
大した個眼です。みごとな配列です。これで外界から入ってくる光を感じます。両眼の間には,感度良好な触覚が備わっています。じっとしているときは,それが収納されています。
こうして見ると,頭部は感覚器官の集合体であることが理解できます。すっぽりと感覚器官に包まれている感じです。
空模様のお蔭で,じっくり撮影できました。感謝。