ついに,この正体不明の卵に関する謎が解けてきました。
たまたまホトケノザの葉に産付された卵が一つあって,これまでそれの変化を見守っていました。真っ白だった卵の上部に黒点が現れ始め,「もしかすると孵化に至るかもしれない」と思った翌日のこと。上部がさらに黒くなり,今にも孵化しそうな気がしました。しかし,待っても孵化しません。
さらに翌日。「これはいよいよ孵化するかな」と思っていると,中の幼虫が殻を破り始めました。偶然観察したときにわかったので,もうびっくり。
穴が開けられて,頭部が見えてきました。黒っぽい色は頭部だったのです。下写真の左右幅は1cmですから,頭部は0.3mm弱の大きさになります。
やがて,幼虫はゆっくりゆっくり出てきました。
この写真を部分拡大したものが下写真です。頭のかたち,からだの毛がよくわかります。
殻から出ると,尺を取りながらすこし離れました。
殻から出ると,尺を取りながらすこし離れました。
そして,殻の方に向き直って,殻に近づき,それを食べ始めたのです。これにもまた,びっくり。確かに食べる動きがしばらく続きました。
すべてを食べたわけではありませんが,殻の脇に離れたとき殻には大きな穴が開いていました。確実に食べられた痕跡です。
今回の観察は,わたしにとって大きな生物的事実を知らせてくれるものとなりました。生態を気にかけるなら,やはり問題意識とか細かい観察といったものが欠かせないのです。