子どもたちに,ささやかでも実体験を通して生活上の知恵を数々授けたいと思います。理屈が体験に先行する教えでなく,体験と理屈とが相まって血になり肉になる教えをたいせつにしようと考えています。それで,どんな機会であれ,わたしは子ども自身の発見を大事にしながら,肝心なことはきちんと伝える姿勢を保持しておこうと思うのです。
今,ふるさとを感じる『ちょこっと探検隊』活動を展開しているところで,子どもは6人集まって来ています。この中でも,知恵授けを大事にしていこうと試みています。
先日は,裏山へ炊きつけ用の枯れ木を集めに行きました。その際にあった例を列挙しておきます。
例1。「一輪車を持って段差を登るときは,バックの姿勢になれ」。
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枯れ木を運ぶために一輪車を持って行きました。途中,階段で一人の子が押して,もう一人が引き上げて無事に上がりました。そのとき,「もう一度下に降りて,今度は一人で上がってごらん」と伝えました。子どもは一瞬ためらったようですが,結局押して上がろうとしました。しかし,無理。それで,わたしは「バックして引っ張れば一人でできる」と言いました。実際その通りうまくできました。子どもたちは「なるほど」といいました。
例2。「ノコギリは,引くときに力を入れよ」。
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ノコギリを使う経験は極めてすくないはず。見ていると,木を切るとき,前後構わず力を入れてゴリゴリッとやり始めました。それでわたしは,刃の並び方を見るように促した後,手本を示しました。あとはじつに簡単です。慣れない手つきなので上等とはいかなくても,できるようになりました。ここでも合点があります。
例3。「枝をある程度切った後,切り口を反対に向けて折れ」。
おしまいまで切り落とす場合もあれば,適当なところまで切ってあとはボキンと折る場合もあります。後者のときは,切り口を考えて折りやすい方向に力を入れる必要があります。ここでも納得がありました。
集めた枯れ木(焚き木)を一輪車で畑に運び込みました。一輪車の担当は交代していました。畑は太い木枠で囲まれ,その枠は一定の高さがあります。黙って見ていると,担当の子どもはちゃんと後ろ向きに上がっていきました。もちろん,スッと上がれたのです。
以上の内容はじつに簡単で,とりとめもないことです。しかし,体験を通さないことには身に付かない知恵でもあります。こうした知恵をできるだけ子どもたちに伝授しておきたいと思うのです。