自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その306)

2014-05-22 | ジャコウアゲハ

庭の手入れをしているとき,ジャコウアゲハが飛来して産卵を始めました。移動しては,次々に卵を産み付けていきます。慌てる様子でもないので,写真に撮ろうと思って構えていると,目の前にやって来ました。

茎が産卵できる場所であることを確かめると,6本の足でぶら下がるようにして茎を抱きかかえました。その後すばやく腹部を曲げ,排卵孔を茎にくっ付けました。すると,卵が一粒茎に付きました。

一息ついて,また腹をぎゅっと曲げて産卵姿勢に入りました。 

 
そうして,ひらひらと舞い上がりました。

後を見ると,卵が2個ちゃんと付いていました。


茎に産卵するのを目撃できる機会はそうありません。なかなか貴重な場面を撮影できたことになります。コンデジなので出来栄えは大したことはありませんが,なかなかすてきな風景が撮れました。 

 


エライオソームとアリ

2014-05-22 | ホトケノザ

草引きの途中,気づいたことを一つ。地面すれすれの高さのホトケノザが玄関先にたった一本。そこに黒いものたくさんいるようなので,ようく観察してみるとアリがたくさん来ていたのです。 


アリは,頭を種子があったところに突っ込んで,熱心にある動きをしていました。じっとしているというわけではなく,結構動き回っていました。 

 
この動きの真相なのですが,たぶん,いいえきっと,甘味の成分エライオソームの名残りを舐めていたのでしょう。これだけのアリが一箇所にかたまっているのを見るのは初めてなので,たいへん驚きました。

エライオソームはカタクリやスミレの種子に付いていることでよく知られています。それをアリが好んでやって来ます。そうして,種子を巣に運びます。カタクリ・スミレは種子を散布してもらえるので,大歓迎なのです。

ホトケノザの種子もまた,このエライオソームを準備しています。ホトケノザの株下に落ちた種子を観察していると,アリが運ぶのを見かけることがあります。

こうした事実から推測すると,地面近くなのでアリが訪れやすい上等の餌場だということがわかります。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その305)

2014-05-21 | ジャコウアゲハ

我が家に植えたウマノスズクサは数十株です。50は下回らないと思われます。それぞれの株に平均20個の卵が付いているとすると,単純計算では全部で1000個の卵があることになります。

それだけあると,印象深い光景がよく目にとまります。

卵が3個しかないのに,2個は二段になっています。排卵孔をもっとずらす予定だったのが,たまたま重なってしまったのです。 下の卵から孵化した幼虫は,自分が入っていた殻を半分食べて,どこかに行ってしまったようです。


かためて卵を産むと,重なる例が増えます。下写真は,2個の上にちょうど卵が1個載っている例です。 


葉の表面に産み付けられた卵が,孵化近くなっています。 

 
産卵の様子からは,多様なすがたが見えてきます。それを観察するのはたのしいことです。 

 


ノースポールと虫たち(1)

2014-05-21 | 昆虫と花

ノースポールには昆虫たちがたくさん集まってきます。白い花弁と,それらに取り囲まれた黄色の集合花が,よほど目立つのでしょう。

訪花する昆虫を待ち受けるハナグモがいます。そのほかのクモもいますが,ハナグモはごくありふれて目にするクモです。そこを生活空間にしているだけあって,たとえば,脱皮する光景も目にできます。下写真を撮った直後,クモはわたしに気づいてそそくさと避難していきました。もうすこし時間をかけて納得のゆく画像が残せたらよかったのですが,叶いませんでした。 


ハナグモは花の上でじっと獲物を待ちます。いつまでも待ちます。 


すでにハエの一種を捕獲しているハナグモを見かけました。抱えている格好からは,どうやら捕って間もない様子が窺えました。 

 
ハナグモは獲物の向きを巧みに変え,頭部に噛み付きました。


今度は,ハエを逆さにして腹部に噛み付きました。口元を見ていると,モグモグ食べる様子が手に取るように観察できました。 


これだけ長い脚は,捕獲する際の武器として発達させてきたものでしょう。複数の脚で囲い込まれると,餌食になる虫はもがいても逃れるることはできません。 

ノースポールの花では,自然の摂理が淡々と展開していきます。粛々として続いていきます。

 


ジャガイモの真正種子栽培,本実験(その10)

2014-05-20 | ジャガイモ

5月14日(水)。平苗床の苗はぐんぐん成長しています。本葉はジャガイモらしさをくっきり見せています。

一方,植え替えたポット苗の方はトラブルに見舞われました。土が合わなかったのか,肥料が多すぎたのか,時期が問題だったのか,それともジャガイモ苗そのものが植え替えを嫌う性質を持っているのか,なぜか成長が芳しくありません。かなりの本数が萎れて枯れてしまいました。

5月16日(金)。枯れたものについて補植しました。他の,比較的元気な苗についても,土を畑のものと交換しました。これで順調に育てば,トラブルは土の問題だったとわかります。現在残っているのは95ポット。最終的には80本残れば上々と思っています。


それにしても,写真を見れば,ダメージが相当なものであることが歴然としています。右は平苗床の直播のものです。ずいぶん大きくなってきました。敢えて密植のままにしているので,茎は頼りないばかりの太さですが。

 

 

 

 

 

 

 


ジャコウアゲハ観察記(その304)

2014-05-20 | ジャコウアゲハ

『ジャコウアゲハ観察記(その303)』 で取り上げたきょうだいたちは,それぞれに孵化し終え,これまで自分が入っていた殻を食べていきました。最後まで食べる個体,途中で食べるのをやめる個体,いろいろです。やめても,しばらくは殻のある場所から去るということはありませんでした。それは,この幼虫の習性と群集性を物語っているのでしょう。

さて,問題は二段の団子状態に重なった卵のことです。写真では,左側から二番目がそれです。先に下側の幼虫が出てきて,卵の殻のほとんどを食べ尽くしました。おもしろいというか,なるほどというか,そんなふうに改めて感じたのは上側の卵の支えだけは残している点です。落とさない律儀さ(?)のようなものが垣間見えます。

 
わたしは,てっきりそのままの状態におかれて,いずれ上の卵が孵化するとばかり思っていました。ところが。事情が大きくちがってきました。

しばらく時間が経ってから見てびっくり仰天! その卵の底部分がぽっかり穴が開いていたのです。見る角度を変えてようく観察してみました。すると,中が空っぽです。「これは食べられたんだ!」と思いました。しかし,その場面を目撃したわけではないので,100%そうだとも言い切れません。たとえそうであっても,これまでに同じような場面を撮影していますから,そう類推することはあながち間違ってもいないでしょう。 

 

 
上写真中で卵の下にいる個体は,左側から移動してきたものです。全体の個体数は食べられた殻の個数と同じ5です。つまり,上側の殻から個体が出てきたとすれば,6個体になっていると考えられます。

そうした点を含めて総合的に状況を解釈すると,やはり共食いがあったとしか思えないのです。ジャコウアゲハの幼虫間では,共食いは時としてあります。残酷だという印象を持ちやすいのですが,それはわたしたちの主観にすぎません。ただ淡々と割り切って受けとめるだけ。さて,今回の真実はどうだったのでしょうか。 

 


触覚を誇るヤブキリ

2014-05-19 | 昆虫

アゲハの庭園にヤブキリの幼虫が一匹棲みついています。

この日は,ホトトギスの葉の上でその長い触覚を誇示して見せてくれていました。日差しを浴びて,なんとも気持ちよさそう。触覚の長さは体長の2倍はあるように見えます。これの探知能力は立派なものなのでしょう。敵やら仲間やら,さらには餌場の環境をとらえるのに,見事なアンテナ役を発揮しているはずです。


翌朝は,隣りのレモンの木で見かけました。

わたしが近づいても,気づいていない様子。「そっとそっと近寄って,感づかれないように!」というのが,撮影の鉄則です。


撮っているとき,肛門からプクッと褐色のモノが見えかけました。「ははーん,排泄だな」と思い,その瞬間を待ちました。すぐにウンコが見えてきました。水分を含んだウンコは肛門をあっさり離れて,落ちていきました。

ホトトギスやらレモンやらの柔らかい若葉は格好の餌なのでしょう。見ても,手で触れても瑞々しいばかり。それは人間にとっても,ヤブキリにとっても同じような見え方,触感だと思われます。もちろん,ヤブキリ語・ヤブキリ感覚ではありますが。

翌々日の早朝。またホトトギスに戻っていました。それも,たくさんの葉の間に入り込んでいました。わたしの目を誤魔化すことはできませんでしたが,外敵の目にはなかなかとまらないでしょう。緑の保護色は,身を守るなんとも巧みな策です。

 

 


ジャコウアゲハ観察記(その303)

2014-05-18 | ジャコウアゲハ

卵が6個行儀よく並んでいます。どうやら,同じ成虫が産んだものらしいです。つまり,“6虫きょうだい”なのです。

わたしが見たとき,すでに一番目の虫が誕生した後で,殻を食していました(下写真の左端)。そして,二番目の個体が殻から出終わったばかりのようでした(右から二つ目)。これが午前0時51分のこと。

 


その後右端の幼虫が出てきて,午前1時42分のこと。四番目の個体が出てきました(左から二つ目)。


午前1時50分。四番目の幼虫が出終わりました。


午前3時04分。五番目の幼虫が出てきました(左から三つ目)。


午前3時12分。五番目の個体が出終わりました。これを見届けて,わたしは寝ました。


午前5時31分。生まれ出た幼虫は,揃って殻を食べています。右下に頭が見える幼虫は,他のところから移動してきたものです。


これで,一つを残して5きょうだいが無事に誕生しました。これから,多くの困難を乗り越えて生きていかなくてはなりません。生存率は2%! 厳しい掟が待ち受けています。

二段になった上側の卵(写真の右から二つ目)のその後については,次回報告しましょう。

 


ジャコウアゲハ観察記(その302)

2014-05-17 | ジャコウアゲハ

5月8日(木)。午後10時。今季第一号の幼虫誕生。孵化直後の幼虫を見つけました。卵から出て,静かに休んでいました。このからだが,すぐ前までこの卵に入っていたとは想像できない程の大きさです。


すぐ近くの葉に付いた卵を見ると,誕生が近い個体がありました。中がわずかに黒っぽく見えます。


5月9日(金)。午前8時。孵化直後の初齢幼虫を見た昨夜から,10時間後のこと。幼虫は殻を食べていました。ふつうの場合,孵化直後に食べかけます。それと比べると,ずいぶんゆっくりしています。食べ始めた頃のようで,あまり減っていません。 


しばらく観察していると,急にからだの向きを変えて上側に向かいました。


殻を食べるのを止めたようで,そのまま上に歩いて行ってしまいました。


あとには,殻がポツンと取り残されました。こんなふうに残るのはけっして珍しくはありませんが,なんともあっさりと殻を放棄したものです。


いのちの変化は,同じ種でも多様だということです。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その301)

2014-05-16 | ジャコウアゲハ

ジャコウアゲハの棲息地を一括して管理していると,たいへん貴重な生態資料が手に入ります。茎が巻き付いて登っていくように竹を立てています。その代わり,自分でこの区域について,草刈りも含め維持管理する約束を所有者と交わしているのです。

これまで以上にいつでも自由に足を踏み入れて,観察できます。それだけに,おもしろい事実が見えてきます。

今冬は蛹がいたって少なかったので,産卵数に影響が出ないか心配していたのですが,結構,卵が見つかるのでヤレヤレです。その卵を観察していて見えた事実をすこしご紹介しましょう。

その1。狭い葉に卵がぎゅうぎゅう詰めになっている例です。これまでに,これだけ密度の高い産卵風景を見たことがありません。成虫一頭が産んだのでしょうか,それとも複数の成虫がかかわっているのでしょうか。

 


その2。ここにも,卵が重なって産み付けられた“二段団子” の例がありました。

 


もう一つありました。

 


上写真中,左から5番目の卵に小さなハエが付いています。そこにピントを合わせて撮ったのが下写真です。


これは,どうやら寄生バチのようです。卵の直径が1mmですから,その大きさ(小ささ)が手に取るように理解できます。

自然界には,驚くような話題が詰まっています。