自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その356)

2016-09-20 | ジャコウアゲハ

9月9日(金)。卵の中央部でからだがつくられつつあります。


横方向から見ると,黒い影が上部にあります。激しい変化は上部中央付近で生じているようです。 


9月11日(日)。中の様子がぐんと変化。3つとも揃って縞模様が見えます。

 
横側から見ると,縞模様がからだの一部のようです。間もなく孵化しそうです。


上写真を撮ってから ,およそ3時間後。見ると,1つの卵の側面に穴が開いて,幼虫の姿が見えかけていました。「これは大急ぎで撮影開始だー!」。そんなわけで,見守ったものの,きちんと画像記録できたのは2個目の幼虫だけでした。

 

 
つづきは次回に。

 


クサカゲロウの幼虫とアブラムシと

2016-09-19 | 昆虫

キクの葉を,なんだかゴミに見えるものがかすかに動いているのが目に留まりました。なにかなあと思って確かめました。すると,肉団子のようなからだと大あごが見えました。「アッ!! クサカゲロウの幼虫だー!」と直感。からだにはアブラムシの死骸がいっぱい! もしかすると,夏,わたしがそこに置いた幼虫が成長したものかもしれません。それなら,「スゴイ!」。 

 
死骸は,外敵の目を欺くために積み重ねたものでしょう。これだけ次々に捕食してここまで成長したとはまことに立派。

幼虫は葉の表側に移動しました。頭部がはっきり確認できます。

 
トリミングせずにはおれないコマです。大きな,大きな顎。つまりは牙です。

 
たくさん,たくさんの捕獲されたアブラムシたち。「なんとにぎやかな!」と感じる光景です。

イヤー,まったくスゴイものを見ました。感動ですね。大あごでアブラムシを捕らえた瞬間なら,さらにスゴかったでしょう。 

この個体を飼育箱に入れていると,ご覧のとおり,蓑に新たな材料としてキクの一部が加わっていました。これも驚きです。

 

 


クサカゲロウの卵とアブラムシと

2016-09-18 | 昆虫

キクにはたくさんのアブラムシがいます。アブラムシがいると,当然のことながら,それを捕食する昆虫たちがいます。テントウムシの幼虫もクモも。それにヒラタアブの幼虫たちも。

そこでわたしがふと思うのは,「クサカゲロウの幼虫を昨年見たけれど,今年は見ないなあ」という点。そんな思いで,観察を続けていたら,なんとクサカゲロウの卵があったのです。あの“ウドンゲの花”です。


葉から1本の柄が出ていて,先に細長い卵が! ふしぎにあちこちにあるのです。ところがふしぎなことに,たった1つだけ独立してあるって,びっくり事実です。すでに空になった卵殻,間もなく孵化しそうな卵,成長に差が見えます。


クサカゲロウは,アブラムシがいるってことを知ってここに卵を効果的に産み付けていったようです。さすがです。

さてさて,卵を数個かためて産む,そうでなくてバラバラに産む,その違いはどこから生じるのでしょうか。 

 


シママメヒラタアブとアブラムシと

2016-09-17 | ヒラタアブ

庭にあるキクの株が育ち,先近くにアブラムシがいっぱい。どの茎先にも黒いアブラムシが付いています。生きものたちの生態が適当に観察できるだろうと放っておいたら,やっぱりそのとおり。

ハナグモがアブラムシを捕らえていました。クモにしてみたら簡単に捕獲できる獲物で,いくらでも口にできます。 

 

 
アブラムシの存在を敏くとらえ,飛来したのがシママメヒラタアブ。体長5mm。茎先を探すようにして飛翔していると思ったら,案の定,産卵行動だったというわけです。

 

 
降り立って,葉裏に卵を産み付けました。アブラムシの近くにちゃんと産むという習性はさすが。

 


産み終わると,葉先に移動しました。 

 
そんな行動を繰り返したものですから,いくつか確認してみました。すると,長さが1mm程度の卵がありました。そこはアブラムシの脇。

 

 
トリミングしてみると,表面模様もわかります。

 

 
葉の表側にもありました。

 

 
ヒラタアブの幼虫が1匹いました。成虫の名は,これでは特定できません。シママメヒラタアブかもしれないし,そうでないかもしれない,といったところです。

 

 
アブラムシはやはり適当に放っておくのが,わたしのように呑気な観察者にはぴったりのようです。 

 


秋,アカタテハの卵(続)

2016-09-16 | アカタテハ

9月9日(金)。下の方でからだが形成されているようです。頂部付近はやはり空間ができているように見えます。


9月11日(日)。中の様子がどうも変。幼虫の姿らしい影が見えて来ません。


9月15日(木)。やっぱり変です。濃い褐色になっただけで,姿が現れて来ません。9月5日に観察を始めて10日が経ちました。大変化が起これば再スタートしますが,これで一応記事アップを終了します。ここまでの観察をとおして卵の段階でこのように異変が生じうるという結論を導き出しておきます。

 

 


地域ミュージアムで考える(29)

2016-09-15 | 随想

わたしが勤務するミュージアムは,地(地球)と宙(宇宙)のワンダーを伝えることを理念としています。館内はプラネタリウムがあり,天文台があり,展示があり,と多彩です。天文台は大型反射望遠鏡があって,「昼間の星を観よう!」とPRに努めています。明るい昼間に1等星や惑星が見られます。ご覧になった方は口を揃えて,宙のワンダーについて語られるのが印象的です。夜は「スターウォッチング」をして,遠く離れた宇宙をご覧いただいています。

こうした施設を整えていて,たくさんご利用いただいているのはうれしい限りです。

とはいえ,体験が単なるロマン体験に終わることなく,ほんとうはわたしたち自身が拠って立つ地球やヒトを見つめるという原点に立ち戻ることがたいせつです。空を見上げることは,大地で歴史を刻む人類の一員として,地に足をどっかとおくことにつながっていく必要があります。地と宙がバラバラでは地球がよく見えてきません。

その地球を意識する“ものさし”“座標”が地球儀・立体地球だとわたしは考えています。それで,一連の地球儀と多面体地球をつくっては,館内のあちこちに置いているのです。それを手にされた方の目が,地球のふしぎにすこしでも向いたらなと願っています。つくっているのをご覧になった方が,「わぁー! 6面体の地球がつくれるんですか。どうやってつくるんですか」と驚かれたことがあります。

そうそう,先頃発売した“地球風船”もそんな立体地球の1つなのです。

この流れのなかで,このほど2つの立体地球を完成させました。1つは六面体。正三角形の集合体なので,正六面体ではありません。

 


もう1つは,正八面体。

 


どちらも展開図を描くところから開始。精密な図がいるわけではないので,そんなにむずかしいわけではありません。来館者の反応がたのしみで,つくっているようなものです。人の知的好奇心をくすぐりたい,とでもいったらいいか。一度触りにお越しください。

アッ,そうそう。近頃は世界地図とにらめっこして,いろんなパターンの地図を描いているので,基本図はほぼ暗記してしまいました。フリーハンドで世界地図が描けますよ。慣れっていうのはおもしろいものです。 

 


秋,アカタテハの卵

2016-09-14 | アカタテハ

9月5日(月)。庭のカラムシの若葉を何げなく見ると,アカタテハの卵がポツンと一粒。「ははーん,産卵にやって来たんだ」。そう思って卵を確認。

 
産み付けてからそれほど日は経っていないと思われる色をしています。ほかにも卵はないかと探しましたが,見当たりません。唯一の卵! 「よし,この卵の変化を追いかけようか」。そう決めました。


卵殻の凹凸を数えると,12。この卵にこの数字がふさわしいわけは何なのでしょう。考えれば,ふしぎです。

アカタテハはわたしのたいせつな観察対象です。しばらく見ていきます。

9月6日(火)。正午前。中になにか影が見える感じがします。

 

 
9月7日(水)。朝。昨日と変わったようには見えません。

 
9月8日(木)。雨。頂部に空間が見えてきました。

 
雨が上がった昼。別の株で葉をつづった幼虫を見かけました。確かに中に幼虫の気配が。


覗くと,幼虫と排泄物が横たわっていました。

 


ジャコウアゲハ観察記(その355)

2016-09-13 | ジャコウアゲハ

9月5日(月)。午前11時。ジャコウアゲハが1頭,アゲハの庭園で産卵場所を探していました。しばらくして,葉を探し当てて産卵ポーズ。産卵直後写したのが下写真です。3個産み付けていました。近頃,ジャコウアゲハにはすっかりご無沙汰しています。久しぶりに孵化を追ってみようと思います。


瑞々しい色合いをしているといったらいいか。ツヤがあります。


幼虫たちは,草むらから生えたウマノスズクサにしがみ付いて生きています。

 

 
9月6日(火)。晴れ。午前11時。産卵後24時間経過。変化は目ではまったくわかりません。この殻が毒成分アリストロキア酸を含んでいて,卵を守っているなんてふつうは想像がつかないでしょう。表面のでっぱった筋は何列あるかわかりませんが,筋ができるしくみを解きたい気がしてきます。


9月7日(水)。朝。葉の表面には朝露が付いています。卵には変化は感じられません。顕微鏡モードで極端に倍率を上げたものですから,画質はかなり落ちています。

 


9月8日(木)。雨。水滴が付いています。色の濃淡は徐々に進行する変化を物語っているようです。

  

 


ルリタテハ,卵から羽化まで(11)

2016-09-12 | ルリタテハ

9月5日(月)。昨夜の雨でホトトギスには水滴がたくさん残ったまま。葉の裏では脱皮を終えてしばらく経った5齢幼虫がいました。


卵はほとんどが孵化してしまいましたが,たった2個だけ残っていて,下写真のような様子です。幼虫のからだができてきているのに,なにかよからぬ事態が生じているように見えます。


これは順調のようです。


葉の上に,幼虫の死骸がありました。どうやら終齢幼虫のものらしいです。カマキリかサシガメか,なにかに襲われたのでしょう。 


全部で3個体見かけました。受難が続きます。

 
9月7日(水)。「なにかよからぬ事態」が起こったと思われる卵がこんなに黒っぽくなっています。


ウンコが出る瞬間を撮り逃しました。外に出たばかりの排泄物はまだでっかい! 乾くとぐーんと縮まります。


9月8日(木)。雨。この卵はもう成長を停止してしまったようです。

 

 
夕方,終齢幼虫になったばかりの幼虫を撮影。あと一歩早かったら脱皮中を写せたのですが……。新しい突起が現れるシーンはスゴイでしょう,きっと。

 


野草紙のことでアクセスいただいている皆さまへ

2016-09-11 | 野草紙

  野草紙づくりに関心のある皆さま方へ

野草紙をキーワードに,度々本ブログにアクセスをいただきまして,ありがとうございます。

子どもと土をつなぎつつ,地味で,それでいて魅力的な提案を発信し続けている雑誌に『N誌』があります。ファミリーでの取組を主眼においた季刊誌で,そのとおり,優等生的な取組を取り上げるのではなく,誰にでもやさしくって,どの子にもできるおもしろいアイデアが満載された雑誌です。その最新号に“自然となかよしおじさん”の紙づくり手法が写真たっぷりで紹介されています。

わたしが敢えてイニシャル名で雑誌を紹介するのは,どうしても野草紙情報を必要とする方はお調べになってたどり着いていただければと思うからです。固有名詞を出すとか,余計な情報を提供し過ぎるのは控え,抑制的な紹介話程度になります。

一方,本ブログではコメントを受け取らないように設定しているために,実際にはご迷惑をお掛けしているのではと感じています。そうならほんとうに申し訳ございません。それで本記事をとおしてほんのすこしだけ最新情報をお伝えすることにしました。

N誌の編集者Kさんとやり取りを始めたのが昨春。取材訪問をいただいたのが昨秋。当時の様子についてはすでに記事にしています。その後,さらにやり取りがあって,今夏,N誌の記事として掲載されるという経緯をたどりました。

本号の特集タイトルは見事ないい切り表現になっています。記事内容に対する責任・自信のようなもの,あるいは内容の充実ぶりといったものが伝わってきます。実際,紙漉き記事は6ページにわたっていて,しっかり仕上がっているとわたしは感じています。もしご自分で野草紙を漉いてみたいと思われる方にはとても参考になるのではないでしょうか。可能な限り情報を盛り込み読者に良質の情報を届けたいという,Kさんの情熱が伝わってきます。


そう思って他の記事を見ると,それらもやっぱりそうなのです。雑誌を貫いて,子どもの目を土やら風やら水やらに向けたいと願う熱意がみなぎっています。親子で関心が膨らめば,どのファミリーでもチャレンジでき,充実感が味わえるというのが魅力です。

本ブログのサブタイトルに“風を聴き 水に触れ 土を匂う”とうたっています。雑誌の編集の方向が,わたしの気持ちとなんだかつながっているような。重なっているような。

野草紙づくりに強い関心をお持ちの方には,一読をおすすめします。

                             自然となかよしおじさんから