これからのミュージアムの運営には市民感覚が欠かせません。市民のセンスが生かされ,市民の目線で中身をつくり変えていくということがたいせつです。持ち込まれるちょっとした情報でも,“ミュージアムをつくる”という視点で検討するまなざし,あるいはちょっとしたことでもいろんな機会を活用して「今,これに力を入れている」ってことを伝える努力,それを忘れないようにしようと思います。
象のウンチ・ペーパーをつくったときに,5年生のFさん(女児)に作業補助のボランティアを務めてもらいました。わたしは冒頭で彼女を紹介するとき,子どもボランティアの話をし,募っている点にも触れたのでした。
後日(土曜日),5年生のYさん(男児)が紙を受け取りに来館。そのときこういったのです。「たのしそうだから,ぼくもボランティアのメンバーに入れてください」と。びっくり。きちんと話をしようとする姿勢に好感が持てました。進んでやろうとするのですから,わたしとしては願ってもない話です。ボランティア活動を見てボランティアになりたいと思ったのは,活動について実感を抱いたということです。大歓迎。
一緒に来られていたお母さんに活動内容を説明して,さっそく申込書を手渡しました。
わたしが期待したい小学生ボランティアの学年は4,5年です。6年生ではすぐに卒業してしまい,力を発揮しにくいでしょう。その点4,5年なら,練習しながら活動のしかたを覚え,次の機会に生かすことができます。Yさんは5年生。この条件にぴったり当てはまっています。
さっそく,そのときやっていた『土曜ちょこっとサイエンス』を手伝ってもらいました。メニューは昔の火起こし。来館者とボランティア,そしてスタッフがふれ合ってたのしく活動している雰囲気に,どんどん溶け込んでいっているようでした。
やればなんとかなります。なんとかなれば,なにか充実感が生まれるでしょう。その充実感がこころをくすぐるかどうか,です。くすぐられたら,居場所として悪くはないなあと感じるでしょう。おまけに,人とふれ合うおもしろさがたのしさを増します。Yさんは「おもしろい」といって帰って行きました。