わたしが勤務するミュージアムは,地(地球)と宙(宇宙)のワンダーを伝えることを理念としています。館内はプラネタリウムがあり,天文台があり,展示があり,と多彩です。天文台は大型反射望遠鏡があって,「昼間の星を観よう!」とPRに努めています。明るい昼間に1等星や惑星が見られます。ご覧になった方は口を揃えて,宙のワンダーについて語られるのが印象的です。夜は「スターウォッチング」をして,遠く離れた宇宙をご覧いただいています。
こうした施設を整えていて,たくさんご利用いただいているのはうれしい限りです。
とはいえ,体験が単なるロマン体験に終わることなく,ほんとうはわたしたち自身が拠って立つ地球やヒトを見つめるという原点に立ち戻ることがたいせつです。空を見上げることは,大地で歴史を刻む人類の一員として,地に足をどっかとおくことにつながっていく必要があります。地と宙がバラバラでは地球がよく見えてきません。
その地球を意識する“ものさし”“座標”が地球儀・立体地球だとわたしは考えています。それで,一連の地球儀と多面体地球をつくっては,館内のあちこちに置いているのです。それを手にされた方の目が,地球のふしぎにすこしでも向いたらなと願っています。つくっているのをご覧になった方が,「わぁー! 6面体の地球がつくれるんですか。どうやってつくるんですか」と驚かれたことがあります。
そうそう,先頃発売した“地球風船”もそんな立体地球の1つなのです。
この流れのなかで,このほど2つの立体地球を完成させました。1つは六面体。正三角形の集合体なので,正六面体ではありません。
もう1つは,正八面体。
どちらも展開図を描くところから開始。精密な図がいるわけではないので,そんなにむずかしいわけではありません。来館者の反応がたのしみで,つくっているようなものです。人の知的好奇心をくすぐりたい,とでもいったらいいか。一度触りにお越しください。
アッ,そうそう。近頃は世界地図とにらめっこして,いろんなパターンの地図を描いているので,基本図はほぼ暗記してしまいました。フリーハンドで世界地図が描けますよ。慣れっていうのはおもしろいものです。