hiroの花便り

我が家に咲く花や日々の暮らしを綴っていきたいと思います

宮本輝『泥の河』& 庭に来る蝶

2021-09-08 | 本・雑誌など

『泥の河』
あたりはまだ戦争の傷跡が残る昭和30年の大阪。
安治川の河口べりでうどん屋を営む家の小学2年生の信雄と
対岸に繋がれた廓船で母親が体を売りながら生活をしている姉弟との
束の間の交流を描いた物語。
(第13回太宰治賞を受賞作品)


平成3年7月30日45版『泥の河・螢川』収録

とても読みやすい作品でした。
良かったと思う点は、いろいろありましたが、
信雄の両親の温かさもその中の一つ。
子供が初めて友達を家に連れてきたときなど、
「お父さんは何をしているの?」「兄弟は?」等と
あれこれ、家族の身上調査をする親もいると思いますが、
信雄の両親は、廓船の家の子供と知りながら、
銀子と喜一に優しく接している。
悲しいと思うのは、貧しいがゆえに、母親のすることを
見て育たなければならなかった銀子と喜一。

天神祭りの帰り、「夜はあの家に行ったらいけない」と
父親から言われていたのに、蟹の巣を見せてあげると誘われ、
喜一の家に寄った信雄。
喜一が蟹を竹ぼうきでとって、大きな茶わんにランプ用の油を入れて
蟹をひたし、それを舟べりに並べて火をつける。
恐ろしくなってやめさせようと叫ぶ信雄。
何気なく喜一の母親の部屋を見て、仕事現場を見てしまう信雄。
喜一はどんなに、辛くやりきれない思いをしただろう。

作者自身の幼少期をモチーフに書かれたそうです。
『蛍川』もそうでしたが、自分の育った環境などを土台にしながら、
ここまで想像力を膨らませて、物語を作り上げることができるなんて
作家って本当に凄いなぁ~と感心するばかりでした。
『泥の河』は本のタイトルと同様、暗くて汚くて臭いまで
漂ってきそうな物語でしたが、心に残る作品でした。

*・゚✽.。.:*・゚ 庭に来る蝶 *・゚✽.。.:*・゚

雨が上がり涼しい日が2日ばかり続きました。
暑い夏は蝶を追いかける元気もありませんでしたが、
やっと落ち着いて写真が撮れるようになりました。
蝶はじっとしてくれないので、ボケ写真も多いですが。
お好きな方はご覧ください。



クロアゲハ
後翅に赤い模様があります。
吸蜜中(花:ハナトラノオ)



アゲハチョウ
黒い帯がくっきりとしています。
吸蜜中(花:ハナトラノオ)



キアゲハ
表羽の黄色が強いのでわかります。
吸蜜中(花:ハナトラノオ)
それにしてもアゲハの仲間はハナトラノオが好きですね。



ツマグロヒョウモン♂
ランタナの花の上で一休み。
普通、雌の方が翅は傷むのですが、
雄なのに後翅の端の黒い模様がちぎれて無くなっています
天敵の鳥に襲われ、逃げ回ったのでしょうか。



ヒメウラナミジャノメ
目玉模様のある薄茶色のチョウ。
翅の裏面には細かい波形の模様があります。
モンシロチョウより少し小さい。
ルドベキアタカオの蜜を吸っているようですが、美味しいのかなぁ~



ヤマトシジミ
翅の表面はやや光沢のある水色で、
裏面には灰色地に黒い斑紋が散りばめられています。
木はヒメウツギです。



イチモンジセセリ
チャバネセセリとよく似ているのだけれど、
翅の裏側の白点が大きく並んでいるので、イチモンジセセリかな…。
吸蜜中(花:ランタナ)
コメント (12)
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