暇になると青空文庫の短編を読んでいます。
昨日は芥川龍之介の「桃太郎」を読みました。
これは桃太郎と鬼の善悪を逆転させたパロディで、
クスリと笑えたり、考えさせられるところも多々あるのですが、
気になるのは冒頭や最後の桃の木に関する部分。
そこを省略しても物語として十分成り立つと思うのですが、
わざわざ入れたのは作者の意図がそこにあるのではないかと考え、
読んでみました。
大昔、ある深い山の奥に、枝は雲の上にひろがり、
根は大地の底の黄泉の国にまで及んでいたという大きな桃の木があり、
大きな実の核(さね)には、美しい赤児を一人ずつはらんでいた。
実は一万年に一度結実し、一千年の間は地へ落ちないという。
ある朝、八咫烏(やたがらす)が突っついて、
下界に落ちてゆき、洗濯をしていたおばあさんに拾われたのが、
後の桃太郎ですが、ここで桃太郎がいざなぎの命に関係する
一族であることがわかります。
最後は最初の場面に戻り、桃の木は無数の実をつけ、
未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。
あの大きい八咫鴉は今度はいつこの木の梢に、
もう一度姿をあらわすであろう?となっています。
*八咫烏(やたがらす)
神武天皇東征のとき、熊野から大和に入る
険路の先導となったという。
30分もかからずに読めるので、何度か読みました。
最初はその出自から、桃太郎を悪人として描くのは、
理解しかねましたが、育ちようによっては暴君となり、
何一つ悪いことをせず、平和に暮らしている鬼を殺したり、
宝物を分捕るような、非道な人間になるのだと思いました。
そしてまた、大きな桃の木のもとに八咫鴉が現れ、
桃の実を地上に落とし、同じようなことがおこる。
桃太郎を権力者と置き換えても良いのかもしれません。
「桃太郎」は娘孫Kが幼稚園の時演じた役柄。
娘孫Mからは泊りに来た時、いつもお話をせがまれていました。
でも善悪が逆転したこんなお話はしてあげたくないな~。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/f1/3594512b014b01a191190fcea33b3817.jpg)
おじいさん役とおばあさん役を除き、幼稚園の桃太郎はWキャスト。
桃太郎と桃子、お供の犬と猿は2人ずつ、雉は3人、鬼は5人だったかな。
桃太郎は黍団子を、お供になった時と鬼が島に渡る前に1つずつ与え、
(芥川・桃太郎はケチって半分)
征伐はせずじゃんけん勝負。
全員で桃太郎の歌を歌ってハッピーエンドでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/39/fa26e793a4d58db4ceeca10560e6293e.jpg)
Kはこの時、高熱を押して出演。よく頑張ったね!
そのKが今では6年生に、Mちゃんが4年生になりました。