こんばんは、へちま細太郎です。
学校の大きな鳥かごの中に、うこっけい(烏骨鶏)がかわれています。
マンガの「おいしんぼ」にも、栄養価の高い鶏だ、としょうかいされていますが、ぼくは、学校やおじいちゃんやおばあちゃんの田舎で見なれているので、別にそんなに大さわぎするほどのものかなあ、とよんでいて思います。
なんか、おおげさなんだよね、と鳥かごをのぞくたびにみんなで言い合っています。
「だいいち、こんなきれいな鶏を食べちゃうなんて、しんじられないよね」
「でも、ぼく、からあげ好きだよ」
しんいちくんがいいました。
「ぼくは、ケンタッキーフライドチキン大好き」
みきおくんもいいました。
「やきとり、おいしいよね」
「うん、そうだよね」
「そしたら、このうこっけいのやきとりは、さいこうにおいしいってことだよね」
「そ、そうだよねえ」
みんな、自分のいったことにショックをうけて、うなだれてしまいました。
「かわいそうだから、いわないようにしようか」
「そうだね」
そのとき、うこっけいのオスの“こけ吉”が大きな声で「こけっけっけっけ~」と鳴きました。
まるで、ぼくたちの会話をきいていたみたいです。
そばにいたうさぎが、その鳴き声をきいて、とろとろっと動きました。
「うさぎって、すばしっこいんだよね」
「なんか、動きニブ~」
「とじこめられていたら、みんなこんなになっちゃうのかなあ」
「あたりまえじゃん」
と、ぼくたちの後ろからきょうこちゃんたちの声がしました。
げ、なにしにきたんだよ、また、けんかになっちゃうよ。
「運動不足なんだもんね。たまに、外に出して運動させないと、動物だって体力がダウンしちゃうんだからね」
と、きょうこちゃんとよしこちゃんとはるみちゃんが、鳥かごのかぎをあけて中に入り、
「さあ、運動しようよ」
と、うさぎをつかまえたとたん、しめていたドアがあいちゃいました。
「あ」
中から、“こけ吉”が飛び出してきました。
「ああ、にげちゃうにげちゃうつかまえて」
“こけ吉”は、あっというまに校庭の真ん中に飛び出していってしました。
「ばか、役立たず」
よしこちゃんがどなりました。
ばかは、どっちだよ~。
ぼくたちは、ランドセルをほうりなげると、“こけ吉”をおいかけてつかまえようと校庭中をダッシュしました。
でも、なかなかつかまりません。
6年生や5年生も仲間に入って、“こけ吉”をおいかけてやっとつかまえましたが、とりかこにもどったときには、きょうこちゃんたちはどこにもいませんでした。
「やられた」
みきおくんはカンカンです。
ぼくたちは、さらだ先生にさんざんにおこられてしまいました。
まったく、なんで、うちのクラスの女子は、ひどいのばっかりなんだろう…。
ついてないや。