こんばんは、へちま細太郎です。
今週の土日は、しんいち君とみきお君のところの夏祭りです。
みんなで遊びにいったら、あの付属小のにくたらしいキチローの姿をみかけた。
「やあ、ぼくんところの祭礼は、来週なんだよ。知ってるか?八坂神社っていうのは、いつもこの時期にお祭りをやるんだよね」
と、きいてもいないことをしゃべりはじめたので、ほっといてしんいち君たちとカキ氷をたべにいくことにした。
「おかあさんが塾に行けってうるさいんだけど」
「サマースクールってやつ?」
「うん」
しんいち君はいちごを、ぼくはレモンのカキ氷を食べながらお祭りとはなんの関係もない話をした。
なんだか、つまんないかも。
「で、そうするの?」
「どうしようかなあ・・・。ぼく行きたくないんだよね、せっかくの夏休みだし」
ぼくはしんいち君がちゃんと中学受験について考えていることで差をつけられたことに少しショックを感じていた。
しんいち君がはなれていっちゃう・・・。
「おまえら何くってんだよ~」
と、たかのり君やたかひろ君、みきお君がやってきて、
「みてみろ、おれらのべろ」
と、舌を出してみせました。
「げっ、信号じゃん」
たかのり君が赤、たかひろ君が黄色、みきお君がみどり・・・。
「げりするまで食ってやるぞ、かき氷」
あいかわらず元気だなあ。
「そういえば、さっき付属のなんとかっていう出っ腹のバカヤローがいたな、何してんだ、あいつ」
「偵察にきたんじゃないの、ほら、孟宗学院うけるから」
みきお君の言葉に、
「違うよ~、友達いねえんじゃん、あいつ」
たかひろ君は綿菓子を食べて、ほら、と指をさした。
と、むこうから一人で歩いてくるキチローをみかけた。
「見つかるとやばくね」
「ほっとけよ、友達じゃねえし」
と、口々にひどいことをいって、あいつにみつからないようにその場を逃げ出してしまった。
「そういえば、さあ、おれ、おかあさんにサマースクール行けって言われたけど、孟宗の先生に教わるっていってごまかしちゃった」
「それって、藤川先生のこと?」
ぼくはたかのり君の相変わらず口のうまい言い訳にあきれつつ、しかし、これは名案だな、と思った。
「そう、あの殿様んちの合宿楽しかったし」
「そうだ、そうだね、ぼくもサマースクールいかなくてすむかも」
と、しんいち君も手をたたいて喜んでいた。
「じゃあ、藤川先生にきいてみるよ。(仮)亀梨軍団の兄ちゃんたちもいるみたいだから」
「1ヶ月くらいとまっても、文句はいわれねえだろうなあ」
たかひろ君が、うなづくと、
「なんだい、君たち、楽しそうじゃないか」
と、どこでみつけたのかキチローがたっていて僕たちの話にくびを突っ込んできた。
「てめえには関係ねえだろう」
たかのり君がじゃけんにすると、
「いや、サマースクールがどうとかこうと聞こえたからさ」
「その話ね、みんなで美都進学スクールのサマースクールに行こうかなって話してたんだよ」
しんいち君、そんなこと、誰もいってないっしょ。
「そうかあ、美都進学スクールなんだね」
「そうだよ、まだ決めてないけどね」
みきお君もノリ出した。
「ふうん、いよいよ君たちも受験体制に入ったってことは、自覚が出てきたってことだね」
なんだ、このいやみな言い方は。こんでも小学生かよ。としくってんじゃねえのか。
そんなこんなでお祭りは、バカヤローのおかげで台無しになってしまった。
来週は、ぼくの地区だけど、あいつこないよなあ。