ある生徒が、相談に来ました。
学級のことでいろいろ悩んでいるみたいです。
「リーダーとして、責任が重い。」とつぶやいていました。
「あなたにとって、リーダーシップって何?」と聞いてみました。
「う~ん。まとめること?」
「まとめるって具体的には?」
「ぼく、小学校の時から、けっこうリーダーやっていた。地域の野球チームも5,6年生の混合だったので、練習の日以外もみんなで遊んだりしてたんだ。」
「へぇ。みんなで遊びに行ったんだね。そういう中に、あなたがリーダーシップということの本質のヒントがあるね。」
「え?」
「みんなで遊びに行くってことで、チームとしてどんなメリットがあった?」
「仲良くなって、本音で話ができるようになったことかなぁ」
「へぇ、それってどういうことができるようになったんだろう?」
「心がつながった・・・?」
「そうだね。リーダーシップの本質って、コミュニケーションなんだよ。リーダーシップって言うと、〈上から目線〉で(みんなをまとめる)とか〈ぐいぐい引っ張って行く)って考えがちなんだけど、そうじゃないんだよね。」
そんな話から、YOUメッセージではなく、Iメッセージで伝えることなど、いろいろな話ができました。
この生徒は、仲間の中にはいって他の生徒たちと同じ目線で、いっしょに考えることができます。
彼が、この学年の中で果たしてきた役割というのはとても大きいのですが、そんな自覚もない謙虚な彼。
昨年度、なかなか言うことを聞かないクラスメートが、彼の言うことは唯一聞いていました。
それは、怖いからではなく、強力なリーダーだったからではなく、彼がそのクラスメートを受け容れていたからです。
リーダーシップがコミュニケーションであることってどういうことでしょう?
いかに、自分のチームなり組織の掲げる目標を、メンバー個人のレベルで納得し意欲を高めることができるがか、ということです。
「なんでもいいから付いてこい」は、リーダーシップではないのですね。
リーダー育成ということばがあります。
それは、いかに、組織の人間の一人一人のモチベーションをあげるためのコミュニケーションの力を育てることだと思っています。
リーダーとして、頑張っている生徒が、壁にぶつかって、保健室でその悩みを打ち明けることがよくあります。
・・・私には、彼らの前にある壁を壊すことはできませんが、
その壁を乗り越えていくための方法を彼らから引き出すお手伝いができれば・・・と思っています。