ほしちゃんの「続・なるようにしか、ならん」。

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「おかえりモネ」、最終回…

2021-10-29 18:00:00 | エンタメ

NHK朝ドラ「おかえりモネ」が、本日最終回となった。
気仙沼・亀島生まれのモネこと永浦百音が気象予報士になり、東京で修行し地元の役に立ちたいと気仙沼に戻るというストーリーだった。
主人公モネの清原果耶をはじめ両親役の内野聖陽・鈴木京香、フィアンセ菅波先生役の坂口健太郎、気象予報士役の西島秀俊ら超豪華俳優陣による芝居は素晴らしかったのだが、その割に視聴率は期待ほどの伸びはなかった。
私の中では、この「おかえりモネ」はかなりの異色作という位置付けになった。
とにかく、モネと妹・みーちゃん(蒔田彩珠)の姉妹が暗い。暗すぎる。
朝から元気をもらい、晴れやかに家を出られるタイプの朝ドラではなかった。

その暗さこそが、この「おかえりモネ」で描きたかった部分なのだろう。
この「おかえりモネ」は、東日本大震災から10年の節目として宮城を舞台に作られた。
綿密な取材に基づいて作られたストーリーなのだろうが、あの震災から生き延びた人達の心の闇を、ここまでクローズアップしたドラマになるとは思わなかった。
モネはあの3.11当時、高校の合格発表のため父と仙台市内に居てあの津波を見ていない。
一夜明けて島に戻り、同級生達と再会した瞬間のあの同級生達の何とも言えない表情…
みーちゃんには
「お姉ちゃん、津波見てないもんね」
と言われ、気象予報士になって地元へ戻って来た時に同級生のりょーちんに
「(人の役に立ちたい、というのは)綺麗事にしか聞こえない」
などと、厳しい言葉を浴びせられる。
いや、まだりょーちんならともかく、いきなり出て来た女子中学生(母の教員時代の教え子)にも「綺麗事」と言われる。
主人公のピュアな頑張りを否定するかのようなセリフは朝ドラではあまり見なかっただけに、その時の苦労を知らない者が地元のために頑張ろうとするのは綺麗事だ、というのは偽らざる本音なのかもしれない。

そういうみーちゃんも、今週ついにその暗さの理由を述懐した。
大津波が来て避難する時に、祖母(竹下景子)は拒否したため、家に置いて自分だけが避難。のちに大人達が祖母を避難させたため無事だったのだが、言わば祖母を見殺しにした行為をみーちゃんはどうしても自分で許せなかったのだ。

母・亜哉子もしかり。
震災当時はまだ小学校教諭で、児童を避難させながらも10分だけ我が子の無事を考えてしまった。
亜哉子はその事が引っかかり、教諭を辞めてしまった。

りょーちんの父・新次は、津波で妻の美波を亡くして以来
「港でオレを待っててくれる人がいないと、オレは船に乗れない…」
と心に深い傷を負い、また代わりの船を買う資金繰りが上手くいかず漁師を辞めて酒びたりの日々を送るまでになってしまった。

私は関西人で、阪神淡路大震災を経験したものの京都だったため直接的被害はなく、このドラマのそれぞれのキャストのような心境になる事はなかったのだが、今回本当に作者が描きたかったのはそういった震災から10年を経ても自分を許せないでいる人達が東北には沢山いる、という事だったのかもしれない。

最愛の母を亡くし、父が荒れてしまったりょーちんはみーちゃんに対し
「オレ…幸せになっていいのかな…」
と尋ねた。
私はこの一言にこのドラマの、そして東北の人達の全てが込められているように思い、このドラマはおろか朝ドラの歴史に残る名ゼリフになる予感を覚える。
そして永瀬廉には、このドラマの助演男優賞を個人的に差し上げたいと強く思うのである(笑)。

残念なのは、「#俺たちの菅波」が社会現象化するまでに人気を博した菅波先生とモネとの結論が出なかった事だ。
菅波は2020年1月に「東京で呼吸器の専門医が必要になって…」と呼び戻され、それがコロナであろう事は明白なのだがラストシーンは浜辺でのモネとの再会が2年半ぶりとなる。
そしてマスクもせず、消毒もせず手をつないでハグして…という事は、2022年7月にはひとまずコロナは終わっている、とう予言でよろしいのでしょうか、菅波センセ(笑)!


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