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1958年ベルリンの町。15歳のマイケルは21歳年上のハンナと肉体関係に陥る。この導入は官能的ですばらしい。
ハンナ役のケイト・ウインスレットが良い。坊やと関係を持ってしまった中年おばさんの戸惑いと葛藤を見事にこなしている。
ハンナの住む下町のアパート。薄汚れた狭い一室で繰り広げられる恍惚のひと時。私たちはいつしかマイケルとなり、匂いたつようなひと時を彼女とすごす。
忘れられないシーンがある。始めてその部屋に訪れた日のこと。マイケルが部屋の一角にあるバスで入浴を終えて立つと、ハンナが拡げたバスタオルで背中を包まれる。
「ぼうや、これを望んでいたんでしょ?」
なんと、彼女は素っ裸!
ちょっと待ってください!これが終始すればただのエロ映画です。ところが違うんです。崇高な人間ドラマに仕上げてしまうスティーヴン・ダルトリー監督の手腕の冴えです。否、原作「朗読者」が名作なのでしょうか。
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ハンナはセックスの合間に、名作や古典を読み聞かせるようにマイケルに頼む。このあたりのやり取りが知的なのです。われわれも、本は読まなければいけません(ハンナは居ないけど)
ところがある日、彼女は突然マイケルのもとから姿を消す。
1966年、法学生(将来は弁護士)となったマイケルは、大学での学習のため、裁判所で傍聴することになる。なんとそこには被告となったハンナの姿を見つけるのでした。彼女は以前ナチスの看守を勤めていた、そのため法廷にかけられることになったのです。
裁判が進むうち、マイケルは二人だけの関係で知ったある秘密に気づく。それが彼女の判定を有利に導く秘密でした。マイケルは悩みます。
何も怖くない 何も
苦しみが増せば 愛も増す
危険は愛を一層強め
感覚を磨ぎ 人を寛容にする
私はあなたの天使
生の時より美しく
この世を去り
天国は あなたを見て言うだろう
人間を完全にするもの
それこそが愛だと
フリードリヒ・シラー「たくらみと恋」
官能映画と純愛映画と裁判映画と人間ドラマが入り混じったような、忘れがたい作品となりました。
ひさびさに観た 大人の映画です
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