語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】「フレンチトーストのもと」に含まれる大量の添加物

2014年11月20日 | 生活
 英名フレンチトースト(仏名パン・ペルデュ)は、牛乳・卵・砂糖などを混ぜた液に浸したパンをフライパンで焼いた料理だ。一日の始め、特に朝食におススメだ。なぜなら、
 ①生命維持に欠かせない3大栄養素を含む。
   ・牛乳・卵の良質なタンパク質
   ・砂糖・パンの炭水化物
   ・バターの油脂
 ② (b)卵黄に含まれるレシチンが脳細胞を活性化させる。

 しかし、食品メーカーや生協などで一定のニーズがある「フレンチトーストのもと」には警戒を要する。
 「フレンチトーストのもと(メープル&バニラ風味」(製造者:キューピー)や「フレンチトースト カスタード風味」(販売者:日本生活協同組合連合会)が市販されている。
 これらの「もと」の原材料には十数種類の原料が記載されているが、その背後に添加物がわさわさと影を潜めている。

 (1)原材料に使われる砂糖や植物油脂などの食品。「食品=安全」と信じては危険だ。
 砂糖の主原料はサトウキビやビート(甜菜)だが、白く精白する精製過程さまざまな薬剤が使用される。搾り取ったカスを薬剤の力でさらに搾り取って製造される植物油も同様。
 問題は使用される薬剤なのだが、これが「原材料の製造又は加工の過程において使用され、かつ、当該食品の製造過程において使用されないものであって、当該食品中には当該物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの」とされ、表示が免除される(キャリーオーバー)。
 「精製=純度が高い」とは、植物が持っている本来の栄養成分を削ぎ落とし、もやは食品とはいえないものに姿を変えることだ。この点をしかと認識しなくてはならない。

 (2)香料、増粘剤、甘味料、乳化剤は一括表示が認められている添加物だ。
  (a)増粘剤のアルギン酸ナトリウム(Na)・・・・添加すると滑らかさと粘性を出すことができる。ただし、動物実験で心臓や脳などの臓器に障害が出た、という報告がある。  
  (b)甘味料のステビア・・・・キク科ステビアの葉を粉砕あるいは水で抽出したもので、砂糖の250~350倍の甘さを持つ。ただし、純度の低いものには変異原性の不安があり、特に妊娠中の女性は注意が必要であると警告されている。
  (c)CO・OP商品に使用されているコーンシロップ・・・・トウモロコシのでん粉を酵素や酸で分解してシロップにしたものだ。ぶどう糖含有が高く、原料のトウモロコシ(ほとんどが遺伝子組み換え)が安価なため多くの食品に利用されているが、小腸を経由しないで直接血液に入り込み、血糖値上昇などの健康被害を引き起こすことが常に指摘されている。
  (d)乳化剤のソルビタン脂肪酸エステル・・・・ラットで肝臓や腎臓の肥大が報告されている。

 (3)聞き慣れない「乳等を主要原料とする食品」とは何か。
 これは、乳等省令で定められている食品の名称で、バターやチーズ等の乳製品と同様に分類されているものだ。生協では、「デキストリン、植物油脂、乳糖、脱脂粉乳」と説明している。一般企業よりも生協PB商品に、かくも沢山の添加物が使用されているのだ。

□沢木みずほ「これでもまだ、「フレンチトーストのもと」を使います?」(「週刊金曜日」2014年11月14日号)
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【食】もっと手間と費用をかけるべし ~輸入食品の検査体制~

2014年10月13日 | 生活
 今年7月、モニタリング検査で、中国産の生鮮タマネギから、基準値超のチアメトキサム(農薬)が検出された。
 二度、基準値を超えたので、8月8日に検査命令(全ロット検査)が出された。

 チアメトキサムは、EUが昨年全面的に使用・販売を禁止したネオニコチノイド系農薬3種類のうちの一つだ。世界各地で発生しているミツバチ大量減少の原因ではないか、と推定したからだ。
 日本や米国などでは、因果関係が特定されていない、として規制されていない。

 日本では、野菜には幅広く使われているが、タマネギには登録されていない農薬だ。よって、タマネギの残留基準値は0.01ppmだ。ちなみに、
  ほうれん草・・・・10ppm
  小松菜・・・・5ppm
  レタス・・・・3ppm
 今回検出された量は0.07ppmと0.03ppmなので、直ちに健康に大きな影響があるわけではない。

 問題はしかし、検査命令が実施された8月、中国産生鮮タマネギから、1か月間で17回も違反品が出たことだ。もっともい値は0.06ppmだったので、大幅な基準値超えではなかったが、検査命令になった途端に大量の違反品が見つかった。
 日本ではタマネギに使えないことは、中国側も百も承知だ。
 昨年は、届け出件数10,299件中123件についてチアメトキサムの残留農薬検査を行ったが、違反件数は0だった。
 これは何を意味するか。
 原因が特定できているのは、7、8月の19件のうち1件で、「隣接したサツマイモ畑からのドリフト(飛散)による汚染」だという。
 ドリフト汚染でこんなに大量のタマネギが汚染されるだろうか。仮にドリフト汚染のせいなら、昨年1件も違反がなかったことが不思議だ。

 日本に輸出する食品は、中国側でも検査している。その検査体制にも問題はあるが、日本の検査体制にも根本的な問題があるのではないか。
 モニタリング検査は、届け出のあった総件数の7~8%(検査命令などを含めれば10%)程度を抜き取って検査するにすぎない。
 届け出の件数についての話で、総量に係る話ではない。<例>1件の届け出(届出書類)が1,000箱の10トンだったとしても、そのうち1~2箱から500gか1kgを抜き取って検査するだけだ。
 10トンのうち1kgでは、重量換算すると、1万分の1の検査量にしかならない。しかも、残りの約93%はまったく検査されない。数量からすると、ほとんど検査していないことになる。
 これではすり抜ける違反品が多くても当然だ。

 アイスランド産ベトナム加工の子持ちシシャモに汚物や殺鼠剤が混入していた事件は、箱さえ開ければ簡単に見つかっていた。
 いかに検査されていないかの証明だ。

 検査命令になれば全ロットの検査になるが、1ロットが10トンであれば、その1kg程度しか検査されない。
 それでも格段に検査数量は増える。

 根本的な解決は、政府が食の安全にどれだけの予算を投入するかだ。
 中国製毒ギョーザ事件の時には検査体制にもっと金をかけろ、という声もあったが、今は公共工事優先で、本当に食の安全に関心があるのか、疑問だ。
 国民の命・財産を守るのが国の責任だ。
 せめて今の2倍程度の予算を食の安全に投入すべきだ。  

□垣田達哉(消費者問題研究所代表)「もっと手間とお金をかけるべき 輸入食品の検査体制」(「週刊金曜日」2014年9月19日号)
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【食】やはり添加物が多い市販品 ~栗甘露煮~

2014年10月12日 | 生活
 栗甘露煮は、「栗含ませ」とも呼ばれる栗の甘煮だ。
 鬼皮と渋皮を剥き(これが大変)、やわらかく茹でた後、薄みつから徐々に濃いみつで煮含めて作る。
 お節料理に欠かせない栗きんとんの、不可欠の食材だ。この時期、スーパーの「栗甘露煮」は心もち威風堂々としている。

 手間を惜しまなければ、「新鮮な栗と砂糖」のみで作ることができる。
 他方、各メーカー(例:加藤産業「カンピー 栗甘露煮」、リリーコーポレーション<三菱食品>「リリー 栗甘露煮」、国分「K&K 栗甘露煮」)の原材料を見ると、
 (1)酸化防止剤
 (2)漂白剤
 (3)クチナシ色素
などの添加物使用が一般的となる。

 (1)酸化防止剤
 酸化現象による食品の変質を予防し、品質の安定性を向上させるために使用される添加物だ。
 ビタミンCは、自身が酸化されることによって食品への酸化防止に働く。ビタミンといっても、酸化防止で添加されるビタミンCには栄養的な価値はない。過剰摂取による嘔吐や下痢などが報告されている。
 同様に酸化防止の目的で添加されるEDTA-Ca・Naは、使用が認められるのは缶詰と瓶詰の加工食品だけだ。催奇形性、胃腸障害、カルシウム不足などを引き起こし、他の化学物質の吸収を促進する働きを持つことから、複合的な毒性が懸念されている成分だ。

 (2)漂白剤
 着色物質を無色にするために使用される添加物だ。
 最終段階で、食品に残存しない場合は加工助剤とされ、表示義務はない。しかし、残存する場合は用途名と物質名を併記しなければならない(義務)。
 亜硫酸塩は、抗菌や漂白に強い効果を持ち、酸化や変色防止にも働く化学物質だ。次亜硫酸Naやピロ亜硫酸Kなど5種類あり、種類によっては遺伝毒性や発癌性が指摘されている。しかし、表記は亜硫酸塩で可とされているため、その表記からはどの種類の成分が使用されているか(その危険性はどうなのか)を知ることはできない。

 (3)クチナシ色素
 漂白剤で色を抜いた栗は、今度はクチナシ色素で鮮やかにして均一の黄色に着色される。
 漂白剤で色を抜いて白くすることで、その後の着色がきれいに仕上がるため、漂白と着色とがセットで行われるのが一般的だ。

 さらに、市販の栗甘露煮は、皮を剥いた剥き栗が使用される。あくを抜き、煮崩れを防ぐため、製造されるまでミョウバン水に浸けて保管されるのが一般的だ。
 ミョウバンは、硫酸アルミニウムと硫酸カリウムの結合物だ。古くからナスの漬け物の色付けなどに利用されてきた添加物だ。しかし、近年、含有されるアルミニウムの強い急性毒性が指摘されている物質だ。

 手作りが無理なら、せめて原材料が「栗と砂糖」だけのシンプルなものを選んで購入しよう。
 栗=黄色という消費者の思い込みが、漂白剤や着色剤などの添加物容認につながっている。
 食品の生活な知識を持つことなくして、食の安全は成り立たない。

□沢木みずほ(薬食フードライフ研究家)「季節到来!の「栗甘露煮」。市販品はやっぱり添加物が多い」(「週刊金曜日」2014年10月3日号)
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【料理】はシンプルに ~シンプル・ライフにつながる~

2014年09月29日 | 生活
 理想的な家庭料理は、
  プロが作るような本格的な料理ではなく、
  かといって手抜き料理でもなく、
  「○○の素」みたいな旨味調味料理で作られたものではないことは無論のこと、
  シンプルな手順でシンプルな料理を作ることだ。

 凝った手順を踏めば、複雑で美味しい味になると考えがちだが、実はそうではない。
 「凝っている方が美味しい」というのは、単なる思い込みだ。

 以下、とても簡単な手順で、しかし非常に本格的な味になるレシピ。
 題して「パイナップル入りの酢豚」。

 缶詰のパイナップル。
 しかも、ケチャップ味。
 それだと、酢豚に合わない。

 用意するのは、
  生のパイナップル。
  豚肉。油で揚げるから、豚肉は赤身のほうが重くならないでよい。
  ニンニク。
  ショウガ。
  長ネギ。
 調味料は、
  黒酢。
  オイスターソース。
  紹興酒。
  砂糖。 

 豚肉は、できるだけブロックを買ってきて、斜めに薄くスライスしておく。
 パイナップルは、皮を厚めに剥いて、サイコロぐらいの大きさに刻む。
 ニンニク、ショウガ、長ネギはみじん切りに。
 フライパンに油をひいて、これらを炒め、いい香りがしてきたら、パイナップルも加えて、調味料も全部足して、しばらく煮込む。水溶きかたくり粉でとろみをつけたら、ソースは完成。 
 豚肉はかたくり粉をまぶして、180度のてんぷら油でパリッとするまで揚げる。油を切ったら、揚げ豚を平皿に広げ、肉全体にかからないように中央にこんもりとソースを乗せる。ソースがかかっていない豚の、カリッの部分が残っているほうば美味しい。

 以上の料理は、中国料理「糖醋肉」(日本式酢豚の原型)をアレンジしたもの。
 ケチャップを使わないから、甘ったるくない。生のパイナップルの酸味とオイスターソースの旨味が調和して、新鮮に感じられるはずだ。手順も材料もとてもシンプル。だが、味は本格的だ。
 これぞ家めしの醍醐味だ。

 これからの時代は、料理に限らず、住む家も身につける衣服も持ち物も、なるべく減らしてシンプルに生きていくのが好まれるようになっていく。
 そういうライフスタイルで移動の自由を確保していくことが、楽しい人生につながっていく。

□佐々木俊尚「シンプルイズベスト! ~オヤジの家めし12~」(「週刊金曜日」2014年9月26日号)
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 【参考】
【料理】家事する男 ~家事しない男の時代は終わった~
【料理】する自由 ~調理道具に凝るな~
【料理】野菜料理のコツ ~美味な「ポテトサラダ」の作り方~
【料理】バブルが産んだのは外食だけ ~家庭料理のコツ(一例)~
【料理】基礎調味料だけでエコかつ経済的に ~回鍋肉で実践~
【料理】1日2食でも十分なワケ ~肥満防止~
【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~



【料理】家事する男 ~家事しない男の時代は終わった~

2014年09月28日 | 生活
 「男が家事」というと、消極的に受けとめてしまう男性陣は、いまもけっこう多い。
 しかし、これは家事を「負担」と考えるからだ。

 夫婦のみの世帯における「男が家事」の一例。過去15年間。
 夫・・・・すべての料理。ゴミ出し。日用品の補充。台所や居間の片付け。
 妻・・・・洗濯。ペット(犬)の世話。
 家事サービス(週に1回)・・・・掃除。

 朝早く起きて、ゴミを出し、家の中をきれいに片付ける。「今日も頑張るぞ!」という気になる。
 夕食もそうで、おおむね18時ごろに仕事を終え、調理を始める。冷蔵庫の野菜室を覗き、「どんな野菜があったっけ? 何をつくるかな」と考えるところから始める。できあがった料理を食卓に並べるまで、だいたい1時間ぐらい。この1時間は貴重で、頭を空っぽにして包丁や鍋を使っているうちに、仕事の疲れがほぐれ、精神が健全に戻っていく感じがする。気持ちの切り替えのため家事をやっている、と言ってもよい。
 「負担」ではない。
 家事をもっと前向きに楽しむとよい。

 最近「家事ハラ」という言葉が話題になった。家事ハラスメントの略だ。
 女性を主な家事・育児の負担者とし、家事労働を軽視・蔑視する社会構造によって女性が生きづらくなる・・・・という問題を竹信三恵子・和光大学教授が指摘し、その際に使った言葉がもとの意味だ。
 ところが、ある住宅会社のネットのCM動画がきっかけで、「夫の家事に対して、妻がダメ出しをする」という意味に転用されるようになった。動画では、妻が食事の後片付けをした夫に言う。
 「お皿洗いありがとう。一応もう一度洗っとくね」

 この動画は同社が共働き夫婦世帯に対して行ったアンケート調査結果がもとになっている。調査票には、
 「あなたは(あなたの夫は)自宅で家事を手伝ったことがありますか」
などの質問もある。
 この動画と調査内容には、女性だけでなく男性も含めて多くの人たちが、
 「共働き夫婦なら二人で家事を分担するのが当たり前で、『手伝う』という言葉遣いがそもそも間違っている」
 「夫が家事をきちんとこなすのは当たり前のことでは」
と批判している。
 「家事の中心は女性で、男性は補助的な役割」
という考え方の時代は、もはや終わったのだ。

□佐々木俊尚「男性諸君! 料理以外の「家事」していますか? ~オヤジの家めし11~」(「週刊金曜日」2014年9月19日号)
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 【参考】
【料理】する自由 ~調理道具に凝るな~
【料理】野菜料理のコツ ~美味な「ポテトサラダ」の作り方~
【料理】バブルが産んだのは外食だけ ~家庭料理のコツ(一例)~
【料理】基礎調味料だけでエコかつ経済的に ~回鍋肉で実践~
【料理】1日2食でも十分なワケ ~肥満防止~
【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~


【料理】する自由 ~調理道具に凝るな~

2014年09月19日 | 生活
 男性が台所で料理する、という文化は、1970年代から80年代にかけて、男性作家の料理本が登場してきたあたりに始まった(推定)。
  ①檀一雄『檀流クッキング』
  ②丸元淑生『丸元淑生のシステム料理学 男と女のクッキング8章』
 もう少し遡れば、1950年代の名著もある。
  ③邸永漢『食は広州にあり』

 ①も②も凝っていて豪快な、典型的な「男の料理」。
 ②の最初の章は、「丸腰で立ち向かうな」と記されている。丸底鍋(プロ用の厨房器具店で買う)、巨大冷凍冷蔵庫(デンマークのエレクトロラックス社)、鰹節削り器(電動)など特殊な調理器具が勧められている。
 バブルのころまでの男の料理は、こういう「道具愛」に溢れていた。高級な和包丁、銅の鍋、ずっしり重い鋳鉄のフライパンを使うことで、気持ちだけでもプロの料理人もどきになってみたいといった志向が、確かにあった。

 これはしかし、家めしを趣味の延長におさめてしまっている。
 たまの週末の料理ならば、鋳鉄のフライパンは使いごたえがある。しかし、日常的に使うなら、テフロンのフライパンのほうが扱いも後片付けも簡単だ。
 鋼の和包丁は、きちんと研げば見事な切れ味になるが、片刃なのでちゃんと砥石で研ぐ必要がある。
 そこまで凝った道具を、日常的な家めしで使いこなす必要があるのか?
 
 和包丁を週に一度、時間をかけて研ぐのと比べれば、毎日の料理の直前にステンレスの包丁をシャープナーでさっと研ぐほうが楽だ。そのほうが、常に切れ味のよい状態を保てる。
 プロでない以上、その程度で十分。
 テフロンのフライパンを振り、ステンレスの安い三徳包丁を、1,500円くらいで売っているシャープナーで毎日研ぐ。これでちっとも不自由しない。

 道具に凝るのをやめると、料理も自由になる。
 友人の家、キッチン付きの宿泊施設、アウトドア。
 どんな場所でも、どんなチープな調理道具でも料理できるほうが、料理の楽しみを味わえる。
 友人から料理を依頼されたら、小型シャープナーだけ持参し、その家の台所にある調理器具、その冷蔵庫にある食材だけを使って、いろいろなものを作る。
 こういう自由な料理スタイルで十分に楽しめる。

□佐々木俊尚「家めしに必要なのは「道具愛」より「料理愛」 ~オヤジの家めし10~」(「週刊金曜日」2014年9月12日号)
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 【参考】
【料理】野菜料理のコツ ~美味な「ポテトサラダ」の作り方~
【料理】バブルが産んだのは外食だけ ~家庭料理のコツ(一例)~
【料理】基礎調味料だけでエコかつ経済的に ~回鍋肉で実践~
【料理】1日2食でも十分なワケ ~肥満防止~
【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~



【料理】野菜料理のコツ ~美味な「ポテトサラダ」の作り方~

2014年09月13日 | 生活
 中年でメタボになってしまった夫を気遣い、妻がたんねんに作った野菜料理をたくさん夕食のテーブルに並べると、肉が好きな夫が怒り出す。
 家庭でよくありそうな光景だ。

 野菜料理というとサラダをすぐさま思い浮かべ、「サラダなんかでお腹が膨らむわけがない」と思いがちだ。
 しかし、野菜料理はサラダ以外にも素晴らしい広がりがあり、本当はとても奥深い世界だ。
 <例>根菜まで含めると、けんちん汁はとても食べごたえがある。・・・・ダイコン、レンコン、ニンジンなどをごま油で炒め、だし汁と薄口醤油で味付ける。
 <例>ガツンとくる夏の揚げ料理・・・・ゴーヤを厚めに輪切りにし、苦いワタの部分もそのままにしてフライにする。
 <例>ラタトゥイユ・・・・夏野菜をニンニクと一緒に塩味で炒め蒸し、ローズマリーで香りをつけた南仏料理。これとフランスパン、すっきりした赤ワインだけでかなり満足できる夕食になる。

 野菜は保存が簡単だ。冷蔵庫の野菜庫に入れておけば、たいてい1週間ぐらいは軽く保つ。
 その点、肉は面倒だ。日にちがたつとすぐ傷むし、冷凍にすると解凍する手間が面倒だ。

 野菜で唯一たいへんなのは、調理に工夫をこらさないと美味しく食べられない点だ。豚こま肉ならフライパンで炒めて醤油をかけたぐらいでも十分楽しめるが、野菜だと包丁で切らなきゃいけない。味つけもマヨネーズばかり、というわけにはいかない。
 蒸してから焼いたり、塩で揉んでから絞ったり、薄く小口切りにしたり・・・・けっこういろんな技術や手間が必要だ。
 しかし、そういうハードルを乗り越えれば、野菜料理の面白さが分かってくる。

 「ポテトサラダ」のコツ・・・・野菜料理に慣れていない人でもビックリするぐらい美味しくなる。
 ポテトサラダの最大のポイントは、マヨネーズをからめる前、熱々のジャガイモにまず下味をつけてしまうことだ。
 ジャガイモを柔らかく茹でて皮をむき、ボウルに入れてマッシャーで潰す。
 オリーブ油、塩、酢を加えて味をつけておき、最後にマヨネーズを少々からめる。
 具材は、タマネギ、キュウリ、セロリ、ニンジンなど。スライスして塩もみして、水気を絞る。
 「豆腐の白あえ」のように、野菜が中心で、ジャガイモがソースとしてからんでくる程度・・・・という具合に作ると、品がよい感じになる。

□佐々木俊尚「基礎調味料さえあれば、エコで経済的で、お得です ~オヤジの家めし9~」(「週刊金曜日」2014年9月5日号)
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 【参考】
【料理】バブルが産んだのは外食だけ ~家庭料理のコツ(一例)~
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【食】市販品には添加物が多数 ~鮭フレーク~

2014年09月12日 | 生活
 サケは、年間消費量が世帯あたり3,026g(2人以上の世帯、2011~2013年平均)、2010年度の一人あたり購入数量はイカやマグロを抑えてトップとなった人気魚だ。
 生では塩焼き・ムニエル・フライなど、加工食品では新巻・塩鮭・燻製などに利用される。
 サケのフレーク(薄片・小片の意)も家庭で作ることができる。道具も添加物も一切必要がなく、誰でも簡単に作ることができる。
 しかし、これを購入すると、添加物がたくさん付いてくる。市販「鮭フレーク」に共通して使用されている食品添加物は、(1)「調味料(アミノ酸等)」と(2)「着色料」だ。
 
 (1)調味料(アミノ酸等)は、多くの加工食品に使われ、一括表示が認められている。構成成分によって、
  (a)アミノ酸
  (b)核酸
  (c)有機酸
  (d)無塩酸
の4つに分類され、アミノ酸を構成成分とする(a)は、主にグルタミン酸Naを主体にイノシン酸などを混ぜ合わせて作られる。
 グルタミン酸Naは、微生物を廃蜜糖【注】で増殖させる「発酵法」で製造したグルタミン酸を、水酸化ナトリウムで中和して作られる化学物質だ。
 1960年代の頃、社会問題になった「中華料理店症候群」は、グルタミン酸Naが引き起こした健康被害だ。腕や首のしびれ、ふるえ、興奮などが生じた。その後多量使用が改善されたことで顕著な症例は出ていない。しかし、焦げたものから発癌物質が生じるという報告があるし、あらゆる加工食品に添加されているから、危険度は依然として高い。
 
  【注】サトウキビなどから砂糖を取った後の黒褐色の液体。

 (2)着色料には、次のものがある。
  (a)赤102と黄5・・・・化学合成のタール系色素
  (b)紅麹とカロチノイド・・・・天然系色素
 タール系色素は内蔵障害や発癌性の疑いなどで多くの諸外国では禁止されている。にもかかわらず、日本では依然として菓子・漬物・魚介・畜産加工食品への使用が許可されている。
 黄5は、喘息やじんましんを引き起こす、と指摘されている。
 特に、合成着色料は子どもの脳に障害を与え、多動症や学習障害を引き起こす、という報告もある。【ベン・F・フィンゴールド博士(米国・小児科医)】

 (3)タンパク加水分解物は、より複雑なうま味を求める企業と消費者が生み出した物質だ。
 安全性に問題があるにもかかわらず、調味を目的に使用されるという理由で、添加物ではなく食品扱いとなっている。
 タンパク質を分解してアミノ酸を取り出す際の製造法には、
  (a)塩酸分解法
  (b)熱水抽出法
  (c)酵素分解法
があり、一番多く用いられているのが低コストの(a)だ。だが、(a)では発癌性の疑われるクロロプロパノール類の少量発生が報告されている。

 (4)乳化剤、酸化防止剤は、一括表示の添加物だ。
 ソルビットの多量摂取は下痢を引き起こす。  
 溶剤を用いて搾り取られる植物油にはトランス脂肪酸含有の危険性も潜んでいる。 

□沢木みずほ(みずほ・薬食フードライフ研究家)「鮭を焼いてほぐすだけの「鮭フレーク」 市販品よりお手製が安心なのよ」(「週刊金曜日」2014年9月5日号)
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【料理】バブルが産んだのは外食だけ ~家庭料理のコツ(一例)~

2014年09月11日 | 生活
 1970年代までと比べると、それより以降の日本の外食は、とても豊かになった。
 バブル経済の1980年代末、社会の金回りがよくなったことで、都心にはそれまで見られなかったフレンチやイタリアンのレストランがたくさん出現した。エスニック料理(タイやベトナムなど)が普通に食べられるようになったのもこの頃からだ。それまで、フレンチやイタリアンは一部の富裕層のものだった。庶民は居酒屋や大衆食堂しか選択肢がなかった。

 じつはバブルが盛り上げたのは、外食「だけ」だった。
 家庭料理については、この頃から「**の素」みたいな半調理品や冷凍食品がすごい勢いで普及し、さらにコンビニ弁当やスーパーの総菜も普通に買われるようになって、家庭料理がどんどん衰退していった。
  (1)新聞で「標準家庭」と呼ばれていた「専業主婦と子ども二人」の家庭が少なくなって、たいていの夫婦は共稼ぎになった。
  (2)単身家庭が増えた。
 といったことも家庭料理があまり作られなくなった要因かもしれない。
 (1)や(2)のニーズに合わせるようにして、さらにコンビニ弁当や半調理品が進化・・・・という循環が起きてしまった。

 この頃から朝食は、「ご飯と味噌汁」や「トーストと目玉焼き」ではなく、前日に買っておいた菓子パンをただテーブルに並べておいて、起きてきた家族が順ぐりに勝手に好きなものをとって食べる・・・・といった信じられない食生活があちこちで見られ、家庭料理が崩壊する危機が叫ばれた。

 危機的状況は今もあまり変わっていないようだ。
 一方、家庭料理は次の二極に分化しつつあるみたいだ。この二極化も現代の格差社会の一側面だろう。
  (a)新たな層・・・・最近の若者の中には、男女を問わず料理好きで、週末ともなるとファーマーズマーケット【注】に立ち寄るのが楽しみというような層が都市部で目立つようになった。事実、東京の青山や代々木などで週末に開催されるファーマーズマーケットは、どこも大賑わいだ。
  (b)家庭料理は放棄してしまった(放棄せざるをえない状況に追い込まれてしまった)層。
 
 日本の伝統的な家庭料理に、「油揚げと小松菜の煮びたし」がある。
 じっくり煮た油揚げと、しゃきっとした小松菜の食感の組み合わせがこの料理の最大のポイントだ。
 小松菜・・・・水を出しっぱなしにしてボウルの中で振り洗いし、冷たい水に10分ほど活けておく。
 油揚げ・・・・昆布とかつお節でだしを引き、うすくち醤油と塩少々を加えて、大きめに刻んだ油揚げを弱火でじっくり煮る。質のよい油揚げなら、油は抜かないほうが旨い。
 小松菜をざっくり刻んで、油揚げの鍋に投入し、ほんの15秒だけ加熱する。
 深い皿にこんもりと盛って、まわりに煮汁を流し込む。

 【注】農家が都市などで直接消費者に産品を売る市場。

□佐々木俊尚「バブルが産んだのは外食だけ 日本の「食」は豊かになった? ~オヤジの家めし8~」(「週刊金曜日」2014年8月29日号)
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 【参考】
【料理】基礎調味料だけでエコかつ経済的に ~回鍋肉で実践~
【料理】1日2食でも十分なワケ ~肥満防止~
【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~


【料理】基礎調味料だけでエコかつ経済的に ~回鍋肉で実践~

2014年08月30日 | 生活
 スーパーにあふれかえっている調味料。近年特に目に入るのが「合わせ調味料」。
 醤油、塩、酢など基礎調味料があらかじめ混ぜ合わせてあって、特定の料理を作るときにそえだけで味が作れてしまう。
 <例>サラダのドレッシング、鍋の素、中華料理、豚肉の生姜焼き、ゴーヤチャンブルー、タンドリーチキン、etc.。
 家庭料理はもはや、野菜や肉を買って、あとはできあいの合わせ調味料を加えるだけになってしまった感がある。

 こういう製品は、一見便利ではある。しかし、合わせ調味料を使い始めると、冷蔵庫の中にボトルが乱立して、それだけでいっぱいになってしまう。賞味期限がくれば捨てなければならない。
 合わせ調味料を大量に用意して使うのは、エコでない上にお金がかかる。それに、うま味調味料がたいてい含まれているので、どうしても味が濃くなる。多用は健康的でない。

 だから、基礎調味料だけ用意しておくとよい。
 <例>濃い口醤油、薄口醤油、酢、味醂、オリーブ油、ごま油、柑橘類(レモン・シークァーサーなど)の果汁瓶詰め。あとはお好みで、バルサミコ酢(イタリア料理)、アンチョビ瓶詰め、ナンプラー(東南アジア料理)、オイスターソース(中華料理)、豆板醤、甜麺醤。
 これぐらい揃っていれば、たいていの料理はカバーできる。おまけに、こうした基礎調味料は保存がきくので、長く使えて結局は安くつく。

 もっとも重要なことは、たいていの料理はそんなに複雑な調味料の技を必要としないのだ。
 <例>回鍋肉(中華料理)・・・・豚肉、キャベツを味噌味で炒めた料理。
 味噌味をつくるのが難しそうに見えるが、そんなことはない。
   オイスターソース 小さじ1、
   豆板醤 小さじ1
   甜麺醤 大さじ1.5
 以上を小さなボウルに入れて、大さじ1ぐらいの湯を足して溶いておく。これだけだ。
 回鍋肉をおいしくつくるコツは、あらかじめ豚もキャベツも火をとおしておくことだ。豚は「冷しゃぶ用」のバラ肉の薄切りをさっと茹でてざるにとっておく。キャベツはざく切りにして、芯はなるべく取り除く。大きめの鍋にぐらぐらと湯を沸かして、1枚ずつ、サッと5秒程度湯通しして、これもざるに挙げておく。
 フライパンにごく少量の油を加え、茹でた豚肉をさっと炒め、キャベツも加えたら、即座にボウルの調味料を流し込む。箸でざっくり混ぜて、全体にからまったら完成。
 すでに湯通ししてあるので、火を入れすぎないこと。

□佐々木俊尚「基礎調味料さえあれば、エコで経済的で、お得です ~オヤジの家めし7~」(「週刊金曜日」2014年8月22日号)
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 【参考】
【料理】1日2食でも十分なワケ ~肥満防止~
【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~

【食】お手軽「流水麺」の落とし穴

2014年08月25日 | 生活
(1)流水麺
 (a)そうめん・・・・麺のみ、水にさらしてから市販ないし手作りのつゆに浸けて食べる。
 (b)そば・・・・麺のみ、水にさらしてから市販ないし手作りのつゆに浸けて食べる。
 (c)和風つゆざる中華・・・・麺+つゆ
 (d)醤油味冷やし中華・・・・麺+つゆ
 (e)その他

(2)そうめん・そば
 すべての安全性が確認されているわけではないが、問題は余りなし。

(3)和風つゆざる中華/醤油味冷やし中華
 安全性に問題が多数あり。

 (a)クチナシ色素
   麺を黄色くするため使用されている。クチナシの実から抽出された黄色い色素だが、ラットに体重1kg当たり0.8~5gを経口投与した実験では、下痢が見られ、また肝臓の出血と幹細胞の壊死が認められた。ゲニポサイド(クチナシ色素に含まれる)が腸内で変化し、毒性を発揮すると推定される。ただし、おの投与量は体重50kgの成人に単純換算すると40~250kgという大量になるため、麺に添加物として少量添加されていた場合、同様な毒性が現れるのか、不明。 

 (b)合成甘味料
   つゆに添加されている。
    ・「和風つゆざる中華」・・・・アスパルテームとアセスルファムK
    ・「醤油味冷やし中華」・・・・スクラロース
   食品メーカーは何でもかんでも低カロリー甘味料を使えば売れると考えているようで、本来ダイエットとほとんど無関係な麺つゆにまで合成甘味料が使われているが、合成甘味料には幾つも問題がある。
    ①アスパルテームが確認されている。
    ②アセスルファムK・・・・イヌを使った実験で、肝臓に対するダメージや免疫力を低下させることが示唆されている。
    ③スクラロース・・・・有機塩素化合物の一種で、ラットを使った実験で免疫力を低下させることが示唆されている。

 (c)さらに、これらの麺つゆにはカラメル色素(発癌性物質を含む可能性がある)が使われている。

□渡辺雄二「お手軽すぎる「流水麺」に落とし穴はないだろうか」(「週間金曜日」2014年8月22日号)
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【料理】1日2食でも十分なワケ ~肥満防止~

2014年08月14日 | 生活
 フリーランスは仕事時間を会社に縛られない。
 1日の食事は2回で十分だ。
  (1)10時から11時ぐらいの間・・・・朝食と昼食兼用。
  (2)18時から20時ぐらいの間・・・・夕食(仕事の終わりに合わせて)

 以前、朝食をしっかり食べていた。1日3食を守っていた。朝からバターたっぷりのオムレツとトマトスープ、パンを組み合わせた献立を作ったりしていた。
 でも、朝食をこれだけしっかり食べると、よほど激しい運動をしない限り、お昼どきにはそれほど腹が減らない。食べ過ぎではないか、という思いがあった。
 そういう時に、伊豆高原の断食施設に通うようになり、その施設の院長に「間食しなければ、1日2食で十分だ」と教えてもらった。
 ちゃんと食べないとダメというのは、間食して食事の習慣が崩れてしまいがちだからだ。きちんと食習慣が規則正しく保てるのであれば、1日2食で十分だ、という話だった。
 事実、その施設における食事時刻は10時と18時の1日2回だった。
 以後、1日2食の習慣を守るようになった。
 最初はともかく、慣れてしまうと1日2食で十分なことが肌で実感できるようになった。おかげでカロリー過多になることもなくなり、健全な生活を送ることができるようになった。

 「食」は結局習慣の問題だ。
 江戸時代ぐらいまでは、日本人はたいてい1日2食だった。
 世界的に見ても、人間が1日3食になったのは、産業革命が起きて、工場などの仕事場に長時間縛られるようになったからだ、という説がある。職住接近の農村時代には、1日2食だった。
 そういう時代にいま立ち戻っていくというのは、私たちの生活の未来への再構築という視点からも大切なことではないか。

 それでも、どうしてもお腹が空いたらどうするか。
 低カロリーで高タンパクのおやつを食べるのだ。十分にお腹がふくらんで、満足感がある。
 <例>無塩のナッツ類(アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ)。ドライフルーツ。甘くないピュアな炭酸水。

□佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト・「TABI LABO」共同編集長)「朝ご飯、食べてますか? 1日2食でも十分なワケ ~オヤジの家めし 6~」(「週刊金曜日」2014年8月8・15日合併号)
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 【参考】
【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~


【料理】2つのポイント ~片付けの技術~

2014年08月03日 | 生活
 料理は好きだが、片付けは嫌い・・・・という人は多い。
 料理を作り慣れていない人にとっては、片付けの手順もよくわからない。
 せっかくだから凝った料理を作りたい、となれば、手順は複雑、鍋やフライパンがたくさん必要、頭の中は料理のだんどりでいっぱい。洗い物まで手がまわらない・・・・ということになりがちだ。

 ポイント1:料理をしながら、同時に洗い物をする。
 料理の手順を分解してみると、何もしない時間が意外とある。
 <例1>パスタを茹でるために大鍋の湯が沸くのを待っている時間。
 <例2>天ぷらが揚がるのを待っている時間。
 <例3>鶏肉をフライパンでソテーして、火が通るのを待っている時間。
 こういう時にボンヤリしていてはいけない。この時間に「他にやることがない」と気づいたら、すかさず鍋やフライパンやキッチン道具を洗って、水切りかごに重ねてしまうのだ。水切りかごに洗いずみの鍋がだんだん山になってきたら、今度は空き時間にそっちを乾いたふきんでどんどん拭いて、台所の空いている場所に積んでいく。
 この手順がうまくできるようになると、「料理完成!」「さあ食べるぞ!」というタイミングに、ちょうど洗い物も全部片付いて台所にはピカピカの鍋とフライパンが積まれている、という状態にもっていける。これが完璧にできるようになると、超爽快だ。

 ポイント2:失敗の少ないシンプルな料理を心がける。
 実は、こういう料理のほうが女性には受けがいい。
 <例>用意する食材はホウレンソウ、調味料は醤油だけ。道具は、大きめの鍋が一つとボウルだけ。
 まずボウルに水を張って、ホウレンソウを振り洗いする。根っ子を水の中に入れてゆさゆさと洗ったら、次はひっくり返して頭のほうを洗う。泥が落ちたら、ボウルの水を替えて、ホウレンソウを「生け花」みたいに水に生けておく。15分ぐらいは放置しておく。
 この間に鍋に湯を沸かす。ボウルからホウレンソウを取り出し、ボウルにはもう一度きれいな水を張って氷を入れておく。
 ここからが肝心で、ホウレンソウをひと束ずつ、ぐらぐらの湯にわずか10秒だけ茹でて、さっと氷水に取り出す。
 これを何度も繰り返して、ホウレンソウを全部茹で終えたら、氷水から取り出してギュッと絞り、ざく切りにして、さっと醤油をかけまわすだけ。
 驚くほどにシャキッとしたホウレンソウのおひたしができあがる。
 これは、料理好きの人ほど驚いてくれる、シンプルだけれど、奥の深いレシピだ。

□佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト・「TABI LABO」共同編集長)「合間にササッと片付けてできあがりにはピッカピカ ~オヤジの家めし 4~」(「週刊金曜日」2014年7月18日号)
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 【参考】
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~

【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~

2014年07月27日 | 生活
 Q:毎日のように料理を作るのは面倒じゃないですか?
 A:面倒くさくならないような料理を作ればいいんです。そのコツは次の2つ。

 (1)料理レシピから考えない。レシピから考えると面倒になっちゃう。
 <例>夕方になって、「よし、今日はミートソーススパゲティを作ろう!」と決めたとする。ミートソースを作るのには、挽肉・タマネギ・トマト・ニンニクなどが要る。食材が足りなかったら買いに行かなくちゃいけない。もうその時点で、「買い物面倒くさいなあ」になっちゃう。
 でも、冷蔵庫にトマト・ニンニク、乾物の棚にパスタがあれば、わざわざミートソースにする必要はない。シンプルなトマトのソースを作ればいい。
 冷蔵庫にナスもあれば、ナスのトマトソースができちゃう。
 ツナ缶があれば、こってりしたツナのトマトソースができちゃう。
 要するに、冷蔵庫や台所の棚にどんな食材があるかを見て、そこから料理レシピを決めればいい。買い物に行ったり、「これがない、あれがない」と悩むこともない。料理の献立が一発で決められる。

 (2)余計な手順はどんどん省いてしまう。トマトソースのスパゲティでいうと、
 <例>麺を茹でる時に大鍋に塩を入れる・・・・のは、家めしレベルだったら、ほぼ不要。厳密に言えば多少の味や食感は変わるが、家めしならそんな微妙な違いよりソースのでき具合とか、茹であがった後の段取りとか、そういう別の要素で味が大きく左右されちゃう。塩を入れるかどうかは、そんなに大きく影響しない。だから麺を茹でる時の塩は省く。
 トマトソースを作る時も、レシピ本には「まずニンニクとタカノツメを弱火で熱し、その後にみじん切りのタマネギを入れてさらに炒め、そして最後に潰したトマトを加えて、うんぬん」というように手順が書いてある。しかし、家めし的には具材はどんどん放りこんでしまってかまわない。むろん正式にやったほうが美味しくなるが、味つけや手際のよさなどの他の要素の方が比重が大きい。具材を投じる順番など、重要ではない。

 アウトドアの、例えば登山の時に料理を作る際も、調理道具が乏しくて手間をかけられない山中では、トマトソースはたいていこのやり方で通せばいい。これで十分に旨い。
 こんなふうに省力化してしまえば、家庭料理はかなりシンプルで簡単になる。
 面倒でなくなる。
 
□佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト・「TABI LABO」共同編集長)「毎日の料理もちっとも面倒くさくない ~オヤジの家めし 2~」(「週刊金曜日」2014年7月11日号)
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【食】農薬が添加物扱い ~バナナに使われるポストハーベト~

2014年02月26日 | 生活
 (1)バナナは、1903年に正式輸入され、1961年の自由化後、徐々に価格が下がっていった。今やその消費量は、定番みかんを抑えてトップの座に位置し、1世帯当たりの年間消費量は20kg(2001年財務省貿易統計)となっている。

 (2)消費量の大半は、フィリピンなど諸外国から輸送されてくる。その間にカビが発生しないよう、収穫後のバナナには防カビなどの農薬が使用される。
 収穫後の農薬(ポストハーベト)は日本では認められていない。収穫後の農薬残留は収穫前に比べて比較にならないほど多いからだ。
 にもかかわらず、日本政府はポストハーベトを食品添加物と位置づけた。輸入を推進する米国の圧力と、輸入業者に屈した結果だ。

 (3)バナナにしようが許可されている「添加物」は、
  (a)チアベンダゾール(TBZ)・・・・強い殺菌・防腐効果。1972年農薬登録、1978年食品添加物認可。輸入バナナ、柑橘類などの防腐処理剤、塗料や冷蔵庫のドアパッキン、衣料品の抗菌加工などに用いられる。
  (b)イマザリル・・・・比較的水に溶けやすく、強い防カビ効果。ヤンセン社(ベルギー)の防腐剤の商標名で、一般名称はエニルコナゾール。日本では農薬登録はなく、1992年食品添加物認可。殺菌剤、動物用抗真菌薬などに用いられる。 
 (a)は、ラットによる実験(東京都立衛生研究所の毒性実験)で、催奇形性や肝臓障害などが確認された危険度の高い農薬だ。
 (b)は、急性毒性が強く、発癌性が指摘されている。
 (a)も(b)も強い防カビ・殺菌効果を持ち、バナナにはスプレーするか、溶液に浸漬して使用される。残留は人体に影響がないほど微少と言われているが、(a)も(b)も果肉まで浸透する、と指摘されている。妊娠している女性には特に注意が必要だ。

 (4)バナナには、さらに懸念される危険性が潜んでいる。
 すなわち、消毒措置の「燻蒸」時に使用される農薬の残留だ。
 輸入時の植物検疫で害虫が発見された場合、廃棄、返送、消毒のいずれかの措置が取られる。この選択は輸入業者が行う。よって、当然ながら消毒措置が大半となる。多くの場合「燻蒸」の消毒法が取られる。
 「燻蒸」は、密閉した倉庫の中でガス化した農薬で害虫を撲滅させる。使用農薬は害虫の種類により、
  (a)表面の害虫駆除には「シアン化系(青酸ガス)」
  (b)内部まで入り込んだ害虫駆除には「臭化メチル」
が使われる。
 (a) は、揮発性が高く、残留の問題はないとされているが、残留していないとは決して言い切れない。
 (b)は毒性が高く、果肉部への影響が避けられない。

□沢木みずほ(薬食フードライフ研究家)「バナナに使われるポストハーベト 農薬なのに添加物扱い」(「週刊金曜日」2014年2月21日号)
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