語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~

2019年03月08日 | ●佐藤優
 とはいえ、同じ年次に入省した人同士の競い合いはあります。でもそれが起きるのは、10年から15年後ぐらいのことです。最初の10年、15年ぐらいは、横並びで差がつきません。課長補佐ぐらいまではほぼ横並びです。しかも、その競い合いに参加できるのは、年次の中でもさらに少数にしぼられた一部の人に限定されます。
 要するに、役所の外側に対しては団結して、ある時期までは年次とともに「みんな一緒」の穏やかな世界。それがある時期から激しい競争が始まります。
 そこでの勝ち負けについては、同期が一歩先に行ったらみんな喜んで退く、という文化があります。その「細い道」を通れた人、つまり、晴れて課長になった人は、さらなる上に昇っていくための熾烈な本格レースが始まります。なぜなら、課長になってようやく政治家との関係が出てくるからです。そこから急に「よーい、ドン」というレースが始まるのです。
 ここで頭一つ抜けるコツは何か。もちろん、そつなく仕事をこなし、政治家との関係をうまく築き、省に有利に政策を進めることであるのは言うまでもありません。しかし有能ぞろいの官僚です。結局、そこで差がつくのは「上司からの評価」です。そこで認められた人だけがより上に行けるわけですが、そのポイントは「誰に認められるか」にある。要するに、「どの上司に評価されたか」ということに尽きます。身も蓋もないような話ですが、「芽のある上司のライン」に乗ることができれば、上に行けるのです。
 課長までなら部下も含めた評価になります。けれども霞が関の官僚は、課長職より上になると個室を持ちます。裏返して言うと、日常的に見ている部下という「実働部隊」がいなくなります。
 この点、財務省の力の構造は、他の省とだいぶ違って、課長より一段下の主査が、他の省の課長クラスを相手にします。実質的に予算の査定をするため圧倒的な力を持っているので、財務省の場合、昔の憲兵に似ていると言えるかもしれません。憲兵は自分より一階級上まで取り調べることができました。憲兵の兵長であっても、伍長を取り調べることができたのと同じです。
 もう一つ、特殊な省庁が、警察庁と防衛省です。この二つに入れば、最初から「超幹部」扱いです。というのは、両方とも25万~30万人ずつ抱える、中央省庁の中では大所帯ですから(警察は地方公務員と国家公務員で構成される)、20代のころから、警察庁では数百人、防衛省だと千人以上を束ねることになる。このとき重要な資質は何かといったら、責任が取れる人物かどうかでしょう。両組織とも、国家の中において正当に武器を使うことが許された役所です。ということは、必ず一定のリスクがあります。どうしたって事故が起きるものですから、そのときの責任の取り方が問われるのです。部下がとんでもない事件、事故を起こした場合は、どんなに能力があっても直属の上司は責任を取らされるので上には行けなくなる。だからある程度、「人事は運だ」という感覚が若いころからつくのだと思います。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「どの上司に評価されたか」を引用

 【参考】
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


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【佐藤優】「影の総理」の生涯

2019年03月07日 | ●佐藤優
★菊池正史『「影の総理」と呼ばれた男 野中広務 権力闘争の論理』(講談社現代新書、2018)

 小淵恵三政権で内閣官房長官、森喜朗政権で自民党幹事長をつとめ、政界に強い影響力をもった野中広務氏(1925~2018年)に関する優れた評伝だ。野中氏は保守政治家であるが、本気で平和を希求した人物だった。
 (中略)
 日本が戦争に巻き込まれることがあってはならないという信念から、野中氏は北方領土問題に関しても、四島一括返還にこだわるべきでなく、柔軟に対処したほうがいいと考えていた。野中氏が官房長官、自民党幹事長をつとめていた時期に、評者は2~3ヵ月に1回、非公式に会見していた。当時、野中氏は高輪の衆議院議員宿舎に住んでいた。宿舎に戻り「今日はもう部屋から出ない」と言って、SP(警護官)を帰した後、高輪プリンスホテルのレストランにやってきて、個室で評者と意見交換をした。北方領土交渉やロシア内政について、さまざまな質問をされた。野中氏と親しい鈴木宗男氏が、北方領土問題に熱心に取り組んでいたからだ。野中氏は鈴木氏から得た情報を、評者を通じてダブルチェックしていたのだ。その点では、最側近である鈴木氏のことも完全には信じない猜疑心の強い政治家だった。
 菊池正史氏は、野中氏の政治的最大の功績は、自民党と公明党の連立を成功させたことにあると評価する。
 (中略)
 評者も同じ見方だ。もっとも自公連立をめぐっては、鈴木氏が野中氏以上に水面下の根回しを行った。鈴木氏の下支えがなければ、野中氏による自公連携は成立しなかったと思う。
 小淵政権下で、野中氏は事実上、首相と同程度の政治力を持つに至っていた。2000年4月2日に小淵氏が脳梗塞で倒れ、再起不能になったときも、後継が森喜朗氏になる流れを作る上でも野中氏が重要な役割を果たした。森首相の下で、北方領土交渉が前進した背後にも野中氏の支援があった。
 2001年3月に森氏が辞意を固めた後、野中首班の可能性があった。
 (中略)
 野中氏が急速に権力を握ったことに抵抗感を強く示したのが、橋本龍太郎元首相だった。当時、鈴木氏が「橋本さんは、あれだけ野中先生にお世話になっていながら、どうして野中政権が誕生するのを邪魔するのか」と述べていたことが評者の記憶に残っている。(中略)
 あのとき野中広務政権が成立していたら、鈴木氏は外務大臣か官房長官に就任したであろう。森氏がロシアのプーチン大統領に対して行った秘密提案の延長線上で、歯舞群島と色丹島は2~3年で日本に返還されていた。かなりの確率で、国後島と択捉島もそれから5~10年くらいで日本に返還されていたと思う。野中政権が幻に終わったことは、北方領土問題解決の観点からも残念だった。
 反野中の小泉純一郎氏が首相となり、鈴木氏を敵視する田中真紀子氏が外務大臣になった。そのため、鈴木氏に近い外務官僚とみなされた評者も政争に巻き込まれることになった。野中政権が成立していたならば、評者が東京地検特捜部に逮捕されることもなかったであろう。もっとも、そうなれば作家・佐藤優も誕生しなかった。

□佐藤優「平和を希求し権力闘争に生きた「影の総理」の生涯 ~ビジネスパーソンの教養講座 名著、再び 第117回~」(「週刊現代」2019年3月16日号)から引用

 【参考】
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【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
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【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻
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【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~

2019年03月06日 | ●佐藤優
 なぜ、官僚の世界はそれほどまでに「競争なき世界」なのでしょうか。
 答えを先に言ってしまうと、官僚にとっては年次がすべてになるからです。
 とくにキャリアは入省が一年違えば、天国と地獄と言われます。体育会の先輩後輩どころの差ではなく、まさに軍隊における将校と兵隊ほどの階級差にも匹敵します。それはノンキャリにも当てはまることで、若いころは先輩から仕事を教わることばかりで、その結びつきはきわめて強い。
 年次がすべてという理由は、エリート集団の中で激しい競争でもされたりしたら、人材の潰し合いになって、組織としての機能不全を起こしかねないからです。府省への入り口で難関試験を突破した後に指標となるのは、まさに年次のみです。
 それは進学校の中における「棲み分けの論理」と似ているように思います。たとえば、灘とか私立武蔵とか県立浦和では基本的に、教師たちは学校の中で受験や成績や校内順位の話はあからさまにはしません。ましてや「お前はこの大学を受けろ」という進路指導などはないのです。そんなことをしたら、学校の中や生徒同士の関係が、ぎくしゃくして雰囲気が悪くなり、どうしようもなくなるからです。だから、期末試験結果の順位も出さない。
 私は今、出身校の県立浦和高校で教える機会があるのですが、誰が何位にいるのかという成績が分からなくなっていることに驚きました。細かく科目を分けて、個人ごとに選択科目の組み合わせが違うから、文系理系の別に加えて、たとえば「文系で世界史選択」とか「理系で物理選択」とか、選択科目が一人ひとり異なり、単純加算で順位が出せないような形にしている。ただし、駿台全国模試を受けた場合などの校内順位はわかります。そのあたりは、学校側も相当気を遣っていますが、まさに棲み分けの論理が働いていると言えます。
 官僚も同様に、ごく少数の閉鎖的な集団の中において、「競争はしない」という建て前のもと、年次ですべてが動く世界なのです。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「官僚は年次がすべて」を引用

 【参考】
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


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【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~

2019年03月05日 | ●佐藤優
 さて、2017年度の日本の一般職の国家公務員は、約28.5万人です。30万人にも満たない極めて狭い世界です。このほか国家公務員法が適用されない特別職が約29.9万人、その中では自衛官が24.7万人ぐらいいます。一方、地方公務員は約273.9万人。窓口業務などで直接、市民や社会と接する機会が圧倒的に多いからこのボリュームです。それと比べても、国家公務員はひとにぎりの特殊な世界の住民です。
 さらに医師と比べてみると、その少なさは一目瞭然です。医師国家試験は約1万人が受験し、約9千人が合格しているから合格率は9割です(2018年3月)。するとこの9千人が、職業として医師を50年ぐらい務めるとすれば、ざっと40数万人の医師がいると考えられます。それに対して、外交官なら毎年約70人が試験に合格して、35年勤務するとして、在外公館でだいたい3,500人、国内の外務省本省で約2,500人いますから合わせて6千人ぐらい。ケタ違いに少ない職能集団です。財務省だって本省でのキャリア、ノンキャリアだけなら年間50人ぐらいしかいない。
 しかも、官僚の仕事は、政治家なしには一日たりとも動きません。日常的にいちばん多く政治家に接する特異な職業でもあります。とくに外務省は政治家との接触が多い役所だったので分かるのですが、誰の目にも明らかなほどエキセントリックで非常識な人は、長く政治家で居続けることはできません。そんな人は選挙で選ばれず、淘汰されるからです。「このハゲ~っ!」などの暴言を吐く人もいましたけれど(あの議員も官僚出身でした)、少なくとも、次の選挙では落とされます。しかし、官僚に「落選」はありません。エキセントリックであろうと倫理観が欠如していようと、法令に違反しない限りクビにはならず、年功序列でそれなりに出世もできます。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「官僚に「落選」はない」を引用

 【参考】
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


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【佐藤優】安倍長期政権を維持する鍵

2019年03月04日 | ●佐藤優
 ①瀧澤弘和『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』(中公新書 880円)
 ②池田浩士『ドイツ革命 帝国の崩壊からヒトラーの登場まで』(現代書館 3,000円)
 ③田中秀明『官僚たちの冬 霞が関復活の処方箋』(小学館新書 800円)

 (1)①は、現下の経済学の潮流を分かりやすく解説した好著だ。
 <現在では、科学研究の本質は法則探求にあるのではなく、むしろメカニズムの解明にあると考える哲学者が登場してきている。実際、本書でこれまで述べてきたことからも明らかなように、経済学においても、普遍的法則と明確に呼べるものはほとんどないことがわかるだろう>
 と瀧澤氏は指摘する。経済学は、人間を対象とする社会科学の一分野だ。従って、法則を定立するよりも、個性を記述することの方が重要になる。このアプローチは、19世紀末から20世紀初頭にかけてアカデミズムで影響が強かった新カント派の方法に近い。

 (2)②は、民主主義について深く考え直すための材料を提供してくれる。4年の大量破壊と大量殺りくに疲弊し、ドイツは第1次世界大戦に敗北した。帝政は崩壊し、一時、共産主義革命が起きた。その後、政権を社会民主党が担う。当時の社会民主党は非共産党系マルクス主義者も無視できない勢力となっていた。
 <ドイツ革命のなかで、自由と自治と共生の夢を現実のものとする機会を逸し、思考と意志と行動とを共に模索し実行する場を見失った主権者は、選挙権を行使するという議会制民主主義の主権だけを享受した。日常の現実が絶望的になればなるほど、決断力と実行力を誇示し売り物にする強い政治家にすべてを委ね、みずからが共に思考し意志し行動することからますます遠ざかったのである>
 と池田氏は指摘する。形骸化した民主主義が、ヒトラーの独裁への露払いとなったという歴史の教訓から学ぶべきことが少なからずある。

 (3)③において、
 <日本の公務員制度の建前は英国型だが、実態は独仏に近いとも言われる。独仏では、幹部公務員は政治家のパートナーであり、政治と一体化している。幹部は政治任用だが、それでも、両国では、米国とは異なり、官僚の自律性と威信が高い。日本も、昔はそうだったかもしれないが、官僚バッシングと誤った政治主導の結果、自律性はかなり低下した>
 との指摘がなされている。安倍政権下では、中途半端な政治任用がなされている。すなわち、国家公務員試験に合格し、身分保障がなされ、政治的に中立とされている官僚の中から、政権中枢によって評価された者が、首相官邸と内閣府に集められて「第二官僚群」を形成している。今井尚哉・首相秘書官に代表される「第二官僚群」は、士気、能力共に高く、人間性も魅力的だ。この「第二官僚群」を中核に据えたことが、安倍晋三首相が長期政権を維持する鍵になっている。

□佐藤優「安倍長期政権を維持する鍵  ~知を磨く読書 第286回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年3月9日号)

 【参考】
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【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
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【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
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【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~

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【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~

2019年03月03日 | ●佐藤優
 官僚社会では、身分保障がしっかりしています。ぬるま湯で、コップの中の嵐はしょっちゅうあるけれど、総じて守られている世界です。あのソ連が1991年に崩壊するまで持ちこたえられたのもまさに官僚制によって支えられていたからです。どういうことかというと、ソ連の官僚はモラルが高くて、あの共産主義体制を実現することが、人生の目的だと本気で考えている人が多かったのです。それだから、給与はぜんぜん上がらなくても、出世できなくても、「エリートというものは人民や社会のために働かないといけない」と鉄のようなモラルがあり、それが強かったのです。その意味においては、聖書の中の「使徒言行録」20章35節にある「受けるより与える方が幸いである」というイエスの言葉をまさに地で行く人たちが多かった。言い方を変えれば、共産主義というのは、世俗化された形でのキリスト教だったのです。
 遠藤周作が『沈黙』で描いてみせたように、江戸時代の鎖国という状況の中でも殉教を恐れずやって来たカトリック教会の宣教師たちと同じだけのモラルがあったと言えます。私がつきあったソ連の官僚も、とくに選び抜かれたエリートたちは、滅私奉公型の人たちが多かったと思います。深夜の1時、2時まで仕事をするのは普通のことだと考えていたし、それでも文句一つ言わずに働いていました。
 だからこそ、ソビエトという体制が破綻してボロボロになっても、崩壊する寸前まで、あの国はもっていたのです。「この体制の中で何とかしないといけない」と必死に考えながら、しかし、エリート官僚たちにも「大局」は見えなかったわけです。この体制にはもう発展可能性がない、ということが見えずに、なんとかこの中で生き残ろうという弥縫策をいろいろ考えていたのです。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「ソ連官僚の鉄のモラル」から引用

 【参考】
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次

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【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~

2019年03月02日 | ●佐藤優
 小泉改革以来、新自由主義の浸透した我々の社会には、成果主義と競争原理が持ちこまれ、富裕層と貧困層の格差が広がり、能力主義による実力の差が可視化されるようになりました。東日本大震災以来、「絆」や「人とのつながり」ということが強調されるのは、そう言わなければならないほどに、人間関係のギスギスした社会が出来してしまったからと見ることができるかもしれません。
 ところがそんな社会の中に、ほんの一部だけに張られた。ある種の「結界」のような聖域が残されている。それが官僚の世界なのではないか、とひとまず考えてみます。その中にいれば、絶対に脅かされることのない安全な場所、競争にさらされることもなく、ひとたびそこに入ってしまえば自分を守ってくれる「あたたかい世界」であること。
 第三者的に見れば、官僚というのは、常にモラルも金銭感覚も、国民の目によって監視される息苦しい職業だ、それなりに地位のある役職につけば国会で答弁しなければならないし、勉強不足や適性の欠けた大臣の背後で、分厚い資料のファイルの束を抱えながら「回答」を耳打ちする黒衣だ。いざとなれば佐川・前国税庁長官のように総理をかばった挙げ句に国会で吊るし上げられ、事実上、更迭される。それのどこが「あたたかい世界なんだ?」そう思う人がいるかもしれません。
 たしかに、上司の小間使いをして、下働きもイヤと言うほどして、組織防衛に汲々としているように見えるかもしれませんが、それは競争のない世界と「表裏の関係」にあるふるまい方です。これは私の実感として言えることですが、中央官庁というのは「競争の土俵に上がらない」「自分を追求して個性を発揮できなくても生きていける」まさに保証された安全地帯でもあるのです。
 官僚は組織の中にいるからこそ、新自由主義の荒波を受けずに済んでいる。なぜなら彼らは競争から免れているからです。官僚社会は、一般社会のような勝ち負けがない、まったくの別社会です。官僚である限り、「対外試合」に出かけて無様な目に遭うことはない。官僚は「公」の中にすべて自分を埋没させることができて初めて「競争なき、あたたかい世界」をまっとうできるのです。そのためなら、バカバカしいように見えることでもひたすら滅私の精神で奉仕できる。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない 」の「競争の土俵に上がらない」を引用

 【参考】
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次

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【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~

2019年03月01日 | ●佐藤優
 キャリア、ノンキャリア(一般職、専門職)ともに、いったん採用されると、重大な刑事事件でも起こさない限り、安泰な役人生活を送ることができます。役所は居心地の良い場所なのです。その意味についてはすぐ後で説明します。いずれにしても、必然的に役所内の流動性は低くなります。
 流動性が低くなると、そこにいる人たちの共通の価値観を反映したローカル・ルールが生まれます。そうしたルールを土台にして、長い年月を経て「官僚独自の文化」ができあがっていきます。明治時代から続く官僚階級には、すでに独自の文化が形成されていると言えます。
 たとえば「自殺の大蔵(財務省)、汚職の通産(経産省)、不倫の外務」という言い方があります。この慣用句からは、この三省がそれぞれ、どこに神経をとがらせているかが分かります。
 大蔵省はメンタルが弱いことに関しては寛容だが(→裏返せば自殺者が多かった)、汚職や女性問題やセクハラには厳しいという意味です。通産省は企業や業界団体とのつき合いがあるから金品のやり取りには寛容な面もあるが(→汚職が多かった)、メンタルが弱い人や女性問題でトラブルを起こす人物はダメ。外務省は、省内のアルバイトの女性を愛人にするなど女性問題には甘く、ルーズなところはありますが(→不倫が多かった)、金銭トラブルを起こす人やメンタルが弱い人物には厳しい、ということです。
 いずれも、こうしたタブーに触れれば「こいつは使い物にならない」との判を押されかねません。つまり、それぞれの組織の中で長年かけて共有されてきた文化のようなもので、言い換えれば鉄の掟と言えます。
 過去と現在で似たような不祥事が時間をおいて繰り返されるのは、それが文化になってしまっているから「ここまでならやっても大丈夫」という暗黙の了解がある、とあの人たちは思い込んでいるのでしょう。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務」から引用

 【参考】
【佐藤優】『官僚の掟』の目次

 
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【佐藤優】『官僚の掟』の目次

2019年02月28日 | ●佐藤優
 
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 第1章 こんなに統治しやすい国はない
  周期的にくる「官僚の危機」
  自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務
  競争の土俵に上がらない
  ソ連の官僚の鉄のモラル
  官僚に「落選」はない
  官僚は年次がすべて
  どの上司に評価されたか
  「劣位」の元キャリアの特徴
  官僚が起こす不祥事の質
  ヤル気の搾取とタダ働きの心理学
  官僚の背後にある存在
  内閣人事局と首相官邸
  世論と信頼
  信用した自分がみじめになる
  出口戦略も立てられず
  超然内閣の根にある反知性主義
  ロシアと似た無関心
  混乱にはうんざり
  安定してさえいればいい

 第2章 「死んだふり」を続ける外務省 ~清武英利『石つぶて』の原理
  20代で2,000万円貯められる
  815億円をたった一人で差配
  健康診断で嘘発見器にかけてチェック
  あいつに急所を握られているぞ
  「下は上を守る」のが外務省の掟
  『今だから言おう』に書かれたこと
  「佐藤が早く辞めてくれればいいんですけれどね」
  日本外交二つの敗北
  ジャパン・バッシングの流れ
  外務省は「死んだふり」

 第3章 官僚たちのローカル・ルール ~城山三郎『官僚たちの夏』という神話
  「坂の上の雲」を目指していたころ
  『官僚たちの夏』という神話
  「官僚指導経済」という夢
  批判のない城山作品
  政治家に共通する口癖
  「処分」に現れた傲慢
  中型帝国主義という思想
  岸信介という生き方
  やり返された石原莞爾
  型破りの官僚の末路

 第4章 「第二官僚」の誕生 ~民主主義の危険な「迂回路」
  傲慢なだけではない
  総理のポジション
  各部会の利益の代弁者
  政治家と官僚の争い
  国策捜査の上手なやり方
  地に落ちた「特捜部神話」
  脱官僚、脱根回しのツケ
  うごめく通産官僚たち
  省庁から厳選された超エリート官僚
  官邸の評価が人事面で優遇される
  領土問題の責任は誰が負うか
  「全体の奉仕者」から「一部の奉仕者」へ
  ワイマール憲法とナチス
  経産省が官邸の下請けに
  「第二官僚」の視線の先

 第5章 無意識の中の「ケガレ祓い」
  オウム死刑報道への違和感
  刑執行に前のめりだった法務官僚
  「天皇の赤子」から「天皇の官吏」へ
  揺らがなかった東大法学部出身者優位
  古事記に描かれた祓いの行為
  神道に根差した日本人の集合的無意識
  大本への内務官僚の警戒
  法務官僚の論理と行動

 第6章 官僚とは何か ~階級・新自由主義・税の収奪
  「生きづらさ」を」抱える若者限定
  「絶対転落したくない」という危機感
  アンダークラスの誕生
  労働者と資本家の関係
  資本主義社会の階級関係
  資本主義のメインプレイヤー
  支配・被支配の関係
  官僚の本質が言えた改正法案

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「」の「」から引用

 【参考】
【佐藤優】少しだけしか成長しない時代
【佐藤優】外交交渉にも当てはまる暗号通貨の経済学
【佐藤優】人生設計と価値観の転換
【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻
【佐藤優】良い情報を手に入れる早道
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
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【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~

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【佐藤優】少しだけしか成長しない時代

2019年02月25日 | ●佐藤優
 ①村松剛『新版 ナチズムとユダヤ人 アイヒマンの人間像』(角川新書 840円)
 ②片山杜秀『平成精神史 天皇・災害・ナショナリズム』 (幻冬舎 900円)
 ③博報堂買物研究所『なぜ「それ」が買われるのか? 情報爆発時代に「選ばれる」商品の法則』(朝日新書 790円)

 (1)①を読むと凡庸で出世にしか関心がない人が、巨悪に手を染める構造がよく見えてくる。
 <アイヒマンは自分の階級が上がった日付は、じつによくおぼえています。彼は万年課長でいることに不満をもち、大佐になりたくて仕方がなかった。しかしナチの官僚機構では、学歴のない彼には、戦場に出て手柄でもたてればべつですが、大佐になれる望みはありませんでした。
 (中略)アイヒマンが自分のこの欲望をとげるみちは、ユダヤ人狩りにおいて、その技倆を発揮することをおいてはなかったのです。アイヒマンはシオニストには好意をもっていましたが、もちろんそういう「個人的好意」よりは、ヒトラーの命令の方が彼には、重大でした>
 との村松氏の指摘が重要だ。このタイプの人は、中央官庁や大企業によくいる。

 (2)②は、文芸批評としても優れている。
 <村上春樹は、平成に入ってからも『ねじまき鳥クロニクル』や『海辺のカフカ』『lQ84』『騎士団長殺し』など、大長編小説をコンスタントに発表し、そのたびにメディアも書店もお祭り騒ぎです。(中略)村上春樹はどこまで平成的でしょうか。
 とりわけ彼の長編作品には、共通したパターンがあると思います。未成熟な男がどこか時空が暖昧なところに放り出され、帰還したところ若干の成長を遂げる--というものです。
 つまり主人公の精神的な成長を描いた近代的な教養小説として読めるのです。成長小説とも言える。(中略)
 春樹作品の主人公は、間違っても司馬遼太郎作品のように「坂の上」まで登ろうとはしません。そんなことには最初から関心がない。誇張して言えば、無理やり事件やらトラブルに巻き込まれ、さんざん苦労をさせられた挙げ句、ようやく落ち着きを取り戻しても、ほとんど一歩か半歩前に進んだくらいの成長しかしていない>
 村上作品は、少しだけしか成長しない平成という時代を反映した教養小説なのだろう。

 (3)③では、
 <消費するだけでなく、商品をつくり上げる側に自分も参加できる仕掛けがあるからこそ、全世界に展開するメジャーブランドでありながらも「これじゃなきゃダメ」という深いファンを抱え込むことに成功しているのだ。まさに熱心な顧客からみた無印良品は「消費だけでなく、参加」できることで「やり甲斐」を得られる存在になっているのだ>
 との指摘がなされている。消費者に自分も生産ゲームに参加しているという意識(ほとんどの場合は幻想にすぎない)を持たせることがビジネスを成功させるこつなのである。

□佐藤優「少しだけしか成長しない時代  ~知を磨く読書 第285回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年3月2日号)

 【参考】
【佐藤優】外交交渉にも当てはまる暗号通貨の経済学
【佐藤優】人生設計と価値観の転換
【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻
【佐藤優】良い情報を手に入れる早道
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
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【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
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【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~

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【佐藤優】身代わりの死

2019年02月24日 | ●佐藤優
 <イエスは言われた、「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」。人々はイエスの着物をくじ引きで分け合った。 --「ルカによる福音書」23章34節

 十字架に掛けられたイエスを、その場にいた人たちは揶揄する。くじを引いて、イエスから脱がした服を分配する。役人たちは、「彼は他人を救った。もし彼が神のキリスト、選ばれた者であるなら、自分自身を救うがよい」、兵卒たちは「あなたがユダヤ人の王なら、自分を救いなさい」とからかう。
 この人たちは、神の子とは超能力を発揮し、死の危機から自らを救い出すことができる存在であると勘違いしている。キリストの強さが、弱さにあるということを理解していない。イエスは、罪がないにもかかわらず、真の人になって、他の人間の代わりにその罪を引き受けて死んだのである。イエス・キリストの代理の死が、人間が救済される根拠なのである。
 人間は愚かな存在だ。自分が行っていることがどういう意味を持っているかを理解できていないことが頻繁にある。ただし、その後、どこかの時点で「しまった」と気づくことがある。そういうときは、妙なプライドにとらわれずに軌道修正することが重要だ。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「身代わりの死」を引用

 【参考】
【佐藤優】肉体は弱い
【佐藤優】裏切りの予告
【佐藤優】白く塗った墓
【佐藤優】警戒すべき人
【佐藤優】悪い交わり
【佐藤優】神の怒りに任せよ
【佐藤優】他人を裁くな
【佐藤優】木はその実でわかる
【佐藤優】人を汚すもの
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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【佐藤優】肉体は弱い

2019年02月23日 | ●佐藤優
 <誘惑に陥らないように、目をさまして祈っていなさい。心は熱しているが、肉体が弱いのである。 --「マタイによる福音書」26章41節

 ゲッセマネは、エルサレムの東方にある小高い丘(オリーブ山)の中腹にある。官憲に逮捕されて殺される危機が迫っていると認識したイエスは、ここで三回の苦しみに満ちた祈りをする。
 ここでは、イエスがその後受ける苦難が先取りされている。イエスは、真の人間である。一人の人間として、捕えられ、拷問にかけられ、殺されることは恐ろしい。イエスも悩み、不安に陥ったのである。このイエスを救ったのが祈りの力だ、キリスト教は、祈りを重視する宗教である。なぜなら、祈りによってのみ、人間は神とのコミュニケーションが可能になるからだ。
 しかし、ゲッセマネでイエスが必死になって祈っているときに、弟子たちは眠り込んでしまう。すなわち、弟子たちはイエスと祈りを共有していない。それは、これからイエスが直面する苦難を弟子たちが精確に予測していないからだ。弟子たちも頼りないという現実の中で、イエスの孤独が浮き彫りになる。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「肉体は弱い」を引用

 【参考】
【佐藤優】裏切りの予告
【佐藤優】白く塗った墓
【佐藤優】警戒すべき人
【佐藤優】悪い交わり
【佐藤優】神の怒りに任せよ
【佐藤優】他人を裁くな
【佐藤優】木はその実でわかる
【佐藤優】人を汚すもの
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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【佐藤優】裏切りの予告

2019年02月22日 | ●佐藤優
 <今夜、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう。 --「マタイによる福音書」26章34節

 ペトロはイエスの一番弟子であるが、少し調子がいいところがある。官憲に逮捕される日の夕刻、イエスが弟子たちに「今夜、あなたがたは皆わたしにつまづく」、即ち「お前たちは全員、俺を裏切る」と言った。これに対して、ペトロが「たとい、みんなの者があなたにつまづいても、わたしは決してつまづきません」と宣言する。これに対して、イエスが「今夜、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言い返す。ペトロは「たといあなたと一緒に死なねばならなくなっても、あなたを知らないなどとは、決して申しません」と言う。しかし、実際には、ペトロは鶏が鳴く前に三度イエスを知らないと言うのである。
 人間は弱い存在だ。自分の弱さを素直に認めず、イエス・キリストに徹底的に従うことができるなどと調子のいいことを言ってはいけない。ちなみに遠藤周作氏の小説『沈黙』で、何度も転ぶ(信仰を捨てる)キチジローのキャラクターは、ペトロを基にしている。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「裏切りの予告」を引用

 【参考】
【佐藤優】白く塗った墓
【佐藤優】警戒すべき人
【佐藤優】悪い交わり
【佐藤優】神の怒りに任せよ
【佐藤優】他人を裁くな
【佐藤優】木はその実でわかる
【佐藤優】人を汚すもの
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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【佐藤優】白く塗った墓

2019年02月20日 | ●佐藤優
 <あなたがたは、わざわいである。あなたがたは白く塗った墓に似ている。外側は美しく見えるが、内側は死人の骨や、あらゆる不潔なものでいっぱいである。このようにあなたがたも、外側は人に正しく見えるが、内側は偽善と不法とでいっぱいである。 --「マタイによる福音書」23章27-28節

 他人を評価するときに、わたしたちはその人の肩書き、出身校、所属している組織を、無意識のうちに基準としてしまう。しかし、そのような基準で人間を判断することは間違っている。人間の外面と、内面が異なっていることがよくあるからだ。
 このことを外務省にいるときに私は実感した。対外的には人格者と見られている大使が、能力のある公使に意地悪をして、古い公用車しか使わせなかったり、政治家におべんちゃらを言って、米つきバッタのように頭を下げたりする。注意深く観察すると、こういう人は、心の中に闇を抱えていた。
 私を含め、人間には自分を取り繕おうとするところがある。そうやって外面だけきれいに見せても、心の闇を克服することはできない。そして、きれいな白く塗った墓のような外面を維持しながら、心の中では闇が広がり、腐敗していく。イエスは、社会的評価の高い人々に自分の内面を見つめよと繰り返し説いている。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「白く塗った墓」を引用

 【参考】
【佐藤優】警戒すべき人
【佐藤優】悪い交わり
【佐藤優】神の怒りに任せよ
【佐藤優】他人を裁くな
【佐藤優】木はその実でわかる
【佐藤優】人を汚すもの
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】警戒すべき人

2019年02月19日 | ●佐藤優
 <兄弟たちよ。あなたがたに勧告する。あなたがたが学んだ教にそむいて分裂を引き起こし、つまづきを与える人を警戒し、かつ彼らから遠ざかるがよい。なぜなら、こうした人々は、わたしたちの主キリストに仕えないで、自分の腹に仕え、そして甘言と美辞とをもって、純朴な人々の心を欺く者どもだからである。 --「ローマ人への手紙」16章17-18節

 右のように述べるパウロは、類い希な政治力がある。どの宗教でも危険なのは、教祖の教えの一部を教義の全体であると誇張する人たちだ。一見、この人たちは純朴に見える。しかし、純粋さを武器にして、自分たちが権力を握ろうとする野心を持っている。大抵の場合、こういう人たちは自分の野心を意識していないので質(たち)が悪い。
 当初は、教会内に分派を作る。分派ではあっても同じ教会に属しているからと、事態を放置すると深刻なトラブルに発展する。分派は協会内の権力を奪取するために、外部の敵と手を握るようになるからだ。「敵の敵は味方である」という論理に分派は支配されるようになる。その結果、教会に危機が訪れる。組織人であるパウロは、このような危機を芽のうちに摘み取っておかなくてはならないと考えている。
 純朴な人々の心を欺くようなつまづきを与える人々がもっとも有害であるという組織論は、教会だけでなく、企業にも応用することができる。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「警戒すべき人」を引用

 【参考】
【佐藤優】悪い交わり
【佐藤優】神の怒りに任せよ
【佐藤優】他人を裁くな
【佐藤優】木はその実でわかる
【佐藤優】人を汚すもの
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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