語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】悪い交わり

2019年02月18日 | ●佐藤優
 <まちがってはいけない。
 「悪い交わりは、良いならわしをそこなう」。
 目ざめて身を正し、罪を犯さないようにしなさい。あなたがたのうちには、神について無知な人々がいる。 --「コリント人への第一の手紙」15章33-34節

 キリスト教徒には独自の価値観がある。ここで言う「悪い交わり」とは、キリスト教の価値観を否定する人たちと交遊し、その基準で生活することを意味する。金銭を求める、出世を追及するといったことも「悪い交わり」の典型的な例だ。子どもを少しでも偏差値の高い学校に入れようとし、小学生の時から進学塾に夜遅くまで通わせることも「悪い交わり」から生まれている。
 キリスト教徒は死後の復活と永遠の命を信じている。従って、無神論的、世俗的なこの世界に住んでいても、別の価値基準に基づいて生活している。もちろん、それは金銭、出世、子どもの受験などを全面的に否定することではない。世の中の基準で生きるとともにキリスト教徒としての基準でも生きるというハイブリッドな生活を意味しているのだ。
 世の中の価値観に過剰に引き寄せられそうになったときは、イエス・キリストならばこのような生き方を是認するだろうかと自問自答すれば、道を踏み外すことはない。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「悪い交わり」を引用

 【参考】
【佐藤優】神の怒りに任せよ
【佐藤優】他人を裁くな
【佐藤優】木はその実でわかる
【佐藤優】人を汚すもの
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】神の怒りに任せよ

2019年02月17日 | ●佐藤優
 <愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と書いてあるからである。むしろ、「もしあなたの敵が飢えるなら、彼に食わせ、かわくなら、彼に飲ませなさい。そうすることによって、あなたは彼の頭に燃えさかる炭火を積むことになるのである」。悪に負けてはいけない。かえって、善をもって悪に勝ちなさい。 --「ローマ人への手紙」12章19-21節

 「目には目を、歯には歯を」という復讐刑は、古代バビロニア帝国で実施されていた。この伝統をユダヤ教も継承した。今でもイスラム世界では復讐法が機能している。
 これに対して、キリスト教は復讐法を採用しない。なぜなら、復讐は人間ではなく、神が行う専管事項であるからだ。この世界の支配者は神であり、人間が犯した罪に対する復讐についても全面的に神に委ねられる。敵に対してキリスト教徒が取るべき態度は、憎しみではなく、愛に基づくのでなくてはならない。日本的に言うならば「罪を憎んで人を憎まず」ということになる。
 ちなみにヨーロッパでは世俗化が進む過程で、復讐する主体が神から成文法(刑法)に転換した。欧米や、それに範をとった日本の近代法が復讐を禁止している背後には、「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」というイエスの言葉がある。聖書の言葉はこのような形で現代文明に埋め込まれているのである。現在、普遍的な価値観とみなされている国家主権、人権、法の支配などの発想の背後にはキリスト教があるのだ。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「神の怒りに任せよ」を引用

 【参考】
【佐藤優】他人を裁くな
【佐藤優】木はその実でわかる
【佐藤優】人を汚すもの
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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【佐藤優】外交交渉にも当てはまる暗号通貨の経済学

2019年02月16日 | ●佐藤優
 ①松岡正剛『千夜千冊エディション 理科の教室』 (角川ソフィア文庫 1,280円)
 ②笠原梢『私の生まり島 オキナワ ヤマトから想いを込めて』 (萌文社 1,200円)
 ③小島寛之『暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論』(講談社 1,500円)

 (1)①における1861年に原著が刊行されたファラデーの『ロウソクの科学』に関する記述が興味深い。
 <その躍動するシナリオといい、その本質を衝く機知といい、かつてどんな科学者も見せたことのないものだった。かつてなかっただけではない。フロックコートを脱ぎ、帽子を取って、おもむろにロウソクを取り出せる科学者なんて、そこに科学の本来と思索の探求を語れる科学者なんて、あれから一四〇年、一人も出なかった>
 と松岡氏は指摘する。その通りと思う。現在でも、小中学生にとって『ロウソクの科学』は最良の理科入門書だ。

 (2)②で1948年生まれの著者は琉球語(沖縄方言)について、こう記す。
 <私が小学校の頃といえば、一九五〇年代。その頃は確かに、方言は使ってはいけないと先生から言われた。学校では共通語励行週間、月間目標などもあり、「方言札」なるものをぶら下げた学友たちもいた。そして、方言を使った友だちを、先生に言いつけたり、反省会では「懺悔」などもあったように記憶している。
 家に帰れば方言を使っている家庭がほとんどで、我が家もそうだった。でも、中学生、高校生になると、方言云々というのは聞かなくなった。
 「共通語励行」なるものは昔のことで、復帰後は沖縄独自の文化が見直されたと信じていた。
 しかし、現実は、方言を話せる子どもが減り、孫と年寄りとのコミュニケーションが取れないことが問題になり、テレビで「ウチナーグチ」教室の番組があるほどだ。方言で暮らしてきた私には、目の玉が飛び出るほどの驚きだった>
 琉球語が衰退したのは、都市文化と大量消費文明が急速に沖縄に入ってきたからだ。言語は文化の基礎なので、沖縄県が琉球語を維持、発展させるための方策を取る必要がある。

 (3)③では、
 <ゲーム理論とブロックチェーンの関係について、もう一つ面白い着目点があります。それは、「限定合理性」と呼ばれる視点です。
 (中略)これまでのゲーム理論では、「プレーヤーは全知全能」のように仮定されてきました。無限に近い知識、数学能力、論理能力を備えている、という仮定です。これはいくらなんでも人間には当てはまらない、として制限をかけよう、という研究がなされたのです。
 ブロックチェーン上でゲームの戦略を実現する場合、このことは明確に重要性を帯びてきます>
 と述べる。アルゴリズムを実行する際の計算に関しては、精密さと時間がトレードオフの関係にある。時間という制約要因が限定合理性をもたらすという指摘は外交交渉においても当てはまる。

□佐藤優「最良の小中学生向け理科入門書 ~知を磨く読書 第284回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月23日号)

 【参考】
【佐藤優】人生設計と価値観の転換
【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻
【佐藤優】良い情報を手に入れる早道
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~
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【佐藤優】他人を裁くな

2019年02月15日 | ●佐藤優
 <すべて人をさばく者よ。あなたには弁解の余地がない。あなたは、他人をさばくことによって、自分自身を罪に定めている。さばくあなたも、同じことを行っているからである。 --「ローマ人への手紙」2章1節

 ここでパウロが呼びかけている対象は、自分たちは神に選ばれた民で律法に通暁していると自負しているユダヤ人たちだ。この人たちは、律法の基準に従って、自分が他人を裁くことができると勘違いしている。しかし、自分が神の意志を知っていると考えること自体が傲慢で間違っている。律法に通暁した自分が裁かれるはずはないと勝手に安全圏に身を置き、他者を裁くような増長した姿勢をパウロは激しく批判する。
 こういう人は、会社や役所でも少なからずいる。キリスト教的には、自分が罪人であるという現実を自覚せずに、他者を裁くような姿勢は悪行である。自分を棚に上げて他者を裁くような人は、主観的には正義の告発者であっても、神の視座からすれば、罪に深くとらわれた人なのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「他人を裁くな」を引用

 【参考】
【佐藤優】木はその実でわかる
【佐藤優】人を汚すもの
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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【佐藤優】木はその実でわかる

2019年02月14日 | ●佐藤優
 <木が良ければ、その実も良いとし、木が悪ければ、その実も悪いとせよ。木はその実でわかるからである。まむしの子らよ。あなたがたは悪い者であるのに、どうして良いことを語ることができようか。おおよそ、心からあふれることを、口が語るものである。 --「マタイによる福音書」12章33-34節

 人間は、お世辞や粉飾で事実と異なることを言うことがあるが、それを長く続けることはできない。口先で調子のいいことを言っていても、どこかで必ず辻褄が合わなくなる。イエスはそのことを実によく洞察している。
 ある人の話を継続的にフォローしていると、その人の考えていることが自ずから見えてくる。心の底から善意の人は、人々を和ませ、理解を深めるような話をする。これに対して、心の中に悪意を持っている人は、人々を反目させ、憎み合わせるような話ばかりする。口は悪いが、腹の中は善意だというような人はいない。たとえ冗談を装って他人の悪口を言う人であっても、そこには半分くらいの本音、すなわち悪意がある。
 人の話に注意深く耳を傾けていると、その人が悪意を持っているか善意を持っているかはわかるものだ。それだから、イエスは弟子たちに聞き上手になることを勧めている。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「木はその実でわかる」を引用

 【参考】
【佐藤優】人を汚すもの
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
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【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】人を汚すもの

2019年02月13日 | ●佐藤優
 <あなたがたはみんな、わたしの言うことを聞いて悟るがよい。すべて外から人の中にはいって、人をけがしうるものはない。かえって、人の中から出てくるものが、人をけがすのである。 --「マルコによる福音書」7章14-15節

 キリスト教は言葉を重視する宗教だ。心の中で思っていても、それを言葉にしなくては意味がない。神が人間に与えた重要な能力が言葉を使うことだ。
 さて、ユダヤ教徒は、食物にこだわる。例えば、豚肉は食べない。不浄な物を食べることによって罪を犯すことを恐れるからだ。これに対してキリスト教徒は何でも食べる。イエス・キリストが、罪は食べ物によって生じるのではなく、「人の中から出てくるもの」すなわち、人が発する言葉によって生じるという認識を示しているからだ。
 人間は言葉によって、人を喜ばせることができるが、人を悲しませ、怒らせ、陥れることもできる。もっとも、正しく言葉を使うことに努めているつもりでも、どうしても余計なことや悪意を含んだことを言ってしまう。自分の言葉を反省することによって、自分に内在する罪を自覚することがとても重要だ。罪の自覚なくして、悔い改めはないからだ。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「人を汚すもの」を引用

 【参考】
【佐藤優】舌という火
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
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【佐藤優】舌という火

2019年02月12日 | ●佐藤優
 <舌は小さな器官ではあるが、よく大言壮語する。見よ、ごく小さな火でも、非常に大きな森を燃やすではないか。舌は火である。不義の世界ではある。舌は、わたしたちの器官の一つとしてそなえられたものではあるが、全身を汚し、生存の車輪を燃やし、自らは地獄の火で焼かれる。 --「ヤコブの手紙」3章5-6節

 日本でも「口は災いのもと」と言う。しかし、人間のコミュニケーションのかなりの部分が言語を媒介としてなされるので、完全に沈黙することはできない。馬を制御する場合には、くつわと鞭でできる。船も舵取りをすることで制御できる。しかし、人間の言葉を制御することは、なかなか難しい。
 ここで「ヤコブの手紙」の著者が想定しているのは、イエス・キリストの教えについて語る教師たちのことだ。教師が、自らの言葉を制御することができず、イエス・キリストの教えに余計なことを付加したり、自分にとって都合がよくない部分を割愛してしまったりすると、福音が正しく伝わらない。教師たちはそのことを主観的にはよく理解しているつもりであっても、偏見の故に、語る言葉はどこかに歪みが生じてしまう。
 その危険を自覚するとともに、聞き手の側には、教師の話をそのまま鵜呑みにするのではなく、発話主体の利害関心による歪みを吟味するという姿勢が求められる。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「舌という」を引用

 【参考】
【佐藤優】怒りを持ち越すな
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
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【佐藤優】明日を思い悩むな
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【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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【佐藤優】人生設計と価値観の転換

2019年02月11日 | ●佐藤優
 ①大江英樹『定年前 50歳から始める定活』(朝日新書 790円)
 ②長谷川正昭『笑いと癒しの神学』(ヨベル 2,800円)
 ③薩摩真介『〈海賊〉の大英帝国 略奪と交易の四百年史』(講談社 1,950円)

 (1)①は、定年後の人生設計の心構えについて説いた良書だ。
 <多くの会社では「役職定年」という制度があります。通常は50代後半(前半の場合もあります)でそれまでのラインの長をはずれ、一人の平社員として働くという仕組みです。(中略)
 役員昇格した人が勝者で、役職定年になった人が敗者というわけではありません。なぜなら会社の中でいくら出世しても、60歳になればリセットされ、そこからの新しい人生がまた始まるからです。だとすれば、ここで思い切って発想の転換を図るべきです。役職定年後、実際の定年までの数年間は、その後の仕事や生活を考えるため、そして準備するための期間として会社が与えてくれたものだと考えればいいのです>
 との指摘はその通りと思う。出世だけを人生の目標としないことが、充実した第二の人生のために重要になる。もっとも中学生時代から偏差値教育で、競争する習慣がついているビジネスパーソンにとって価値観の転換は容易でない。

 (2)②は、聖公会(英国国教会の系統に属する教会)の牧師による優れた神学的エッセーだ。現代神学を知るためにも有益な作品だ。長谷川氏は、
 <超宗教という視点からイエスの生涯を見ると、そのいちじるしい特徴は聖なるものが狂気によって覆われ、道化によって顕わされ、愚者としての行動に駆り立てられていることである。イエスは「神の道化師」であり、神の愚かさを宣教によって民衆に伝えることが使命であり、その究極的な行き着く先が、十字架の死という結末であった>
 と指摘する。評者も同じ認識だ。キリスト教神学は、信者以外にも通じる普通の言葉で語ることが重要である。この課題に長谷川氏は見事に答えている。

 (3)③において、
 <ヨーロッパを含む人類の戦争の歴史と長きにわたり結びついてきた掠奪行為、とくに前近代の戦争の重要な一部を構成していた獲得的側面を伴う海上での掠奪行為が、果たして完全に無くなるものなのであろうか。戦争を通じて直接的に経済的利益を得ようとする衝動は本当に消え去ったと言えるのであろうか。何らかの理由で国際的規制の箍(たが)が外れたときに、海洋で富を直接奪い取るという行為が別の装いのもとで甦り、再び牙をむく可能性がないとは言えない>
 との指摘がなされている。国際社会では、国家のエゴが強まっている。サイバー技術を巧みに用いて、新たな形態での海賊行為が21世紀に起きるかもしれない。人間の本質が、海賊が横行した時代と現代で大きく変わったとは思えない。
 
□佐藤優「人生設計と価値観の転換 ~知を磨く読書 第283回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月16日号)

 【参考】
【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻
【佐藤優】良い情報を手に入れる早道
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~

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【佐藤優】怒りを持ち越すな

2019年02月10日 | ●佐藤優
 <あなたがたは偽りを捨てて、おのおの隣り人に対して、真実を語りなさい。わたしたちは、お互いに肢体なのであるから。怒ることがあっても、罪を犯してはならない。憤ったままで、日が暮れるようであってはならない。 --「エペソ人への手紙」4章25-26節

 人間は性悪な存在だ。誰にも、嘘をつく傾向がある。自分の責任を免れるため、自分を実態よりも大きく見せるため、知恵があるように見せるために嘘をつく。しかし、嘘には露見するリスクがある。「こいつは嘘つきだ」というレッテルを貼られると、仕事の上でも、私生活の上でも支障が出てくる。それだけではない。自分で自分が信じられなくなってしまう。嘘をつくような生活から人間が自力で抜け出すことはできない。イエス・キリストを信じ、彼に従うことによってのみ、人間は嘘に塗れた生活から抜け出すことができるのである。
 人間には喜怒哀楽の感情がある。絶対に怒るなというような無理な要請をパウロはしていない。夜まで怒りを持ち越してはいけないと言っているのだ。夜は悪魔が支配する時間だ。
 感情的なメールは、大抵、夜中に書かれたものだ。夜中に書いたメールは、そのまま送信せずに、朝になってから読み返してみることを勧める。おかしな内容があれば書き改める。そうするだけで、対人トラブルをかなり避けることができる。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「怒りを持ち越すな」を引用

 【参考】
【佐藤優】怒るに遅くあれ
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~

2019年02月09日 | ●佐藤優
◆確認しておきたい/中学数学に欠損があるか

佐藤 パーセントはともかく、難関の私立中高一貫校出身者でも、中学数学の段階で欠損があるまま来ている学生が少なくないですね。

芳沢 中高一貫校で初めから私大文系型と決めると、数学を全くやっていないのです。
 そういった人たちも見ていて私が気になるのは、線を引く、円を書くといった一つ一つのプロセスをまず習っていない。直線のグラフすら書けなかったりします。

佐藤 それは深刻ですね。

芳沢 グラフの書き方を忘れちゃったっていうんです。学校でどう習ったのか聞くと、例えばy=ax+bという関数に数字を具体的に入れて、プロットして書いていくという原点を忘れている。

佐藤 y=ax+bというのをグラフにするとどうなるか、全然イメージが湧かない。
 経済学の代表的な教科書でも、グラフだけで数式がなかったりします。数式とグラフの対応関係が分かっていないというのは危ないですよね。

芳沢 関数のグラフというのは、3次関数だろうが4次関数だろうが、具体的に数字を取っていけばある程度書けるものです。まず、ちゃんと点を取っていけば、グラフというものによって視覚的に、式を理解できる。
 例えば、自分は算数の知識がさほどなくても、素朴に自分の持っているもので推理をするように頑張ろう。そんな考え方ができるよう意識を変えていきたい。

佐藤 数学が苦手なビジネスパーソンに対する私のアドバイスは、簡単です。要するに、数学に関してはどこかに欠損、分かっていないことがあるはずだと。
 その欠損がどこかを知るために、取りあえず数学検定(実用数学技能検定)3級を受けてみたらいい。対象レベルは中学3年程度です。中学までに欠損があるかどうかをまず知っておかなくてはいけない。
 もし欠損があれば、場合によっては小学校レベルに戻って勉強すべきかもしれない。
 ところが、数学にかなり不安を持っていても、ほとんどの人は受けないんですよ。落ちるのが怖い。もし落ちるとプライドがズタズタになって立ち直れないから。
 これは英語でも一緒なんです。英語に自信がないという人は、取りあえず英検(実用英語技能検定)3級を受けてみるといい。
 別に人に見られるわけでもないのに、このバリアを突破するのは結構大変なんです。

芳沢 思い出すのはちょうど今から36~37年前、米国のオハイオ州立大学に博士特別研究員として在籍していたころ、「住んでいたアパートの住人の方に三角関数を教える」という日課があった。
 私もうまく教えられたかどうか分からないのですが、みんな無邪気に、「ウォー、ワカッタ」とか楽しみながら、理解を積み上げていく様子が印象に残っています。
 「いい年をして……」なんてことは全くない。自分のペースで一歩一歩、学んでいけばいいのです。

□佐藤優「特集:文系でも怖くないビジネス数学」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月9日号)の「【Part 1】 数学はビジネスパーソンの必須教養である」の「【対談】芳沢光雄(桜美林大学教授)×佐藤優(作家・元外務省主任分析官)「生き残るビジネスパーソンの必須スキル 今こそ「数学」の学び直しをせよ 」を引用

 【参考】
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
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【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~

2019年02月09日 | ●佐藤優
◆続出している/パーセントが扱えない大学生

芳沢 ただ最近、経済産業省が「数学を何とかした方がいい」と数学人材の重要性を訴えたり、日本経済団体連合会の中西宏明会長が「文系の大学生も数学を学ぶべきだ。数学を全然やらないのはおかしい」と提言【注3】を出したりして、風向きが変わってきた。
 しかしながら、私はそう簡単ではないと思う。例えば、論理に関して日本人が弱いのはallとsomeの使い方(「ゼロからじっくりと身に付けたい 論理的思考のエッセンス」参照)なんですね。あるいは「…ではないのですか」といった否定疑問文に弱い。この辺の英語に戸惑う人が多いのは、学ぶべき論理の基礎が身に付いていないからだと思う。
 学ぶべきものを学んでいないというと、2000年代初頭のゆとり教育でどんと削減されたイメージかもしれない。だが、教科書の内容は1970年代の半ばくらいから、減り続けていたんです。
 冒頭でお話があった『分数ができない大学生』は、私も分担著者だったんですが、1/2+1/3=2/5というのは、一つの警告だったんだと思う。それは、意味を理解していなくともやり方だけ覚えればいいという教育への警告です。
 分数の足し算は分母同士を掛けて、後はたすき掛けにして分子を計算したものが答えだと、やり方を暗記しただけで、小学校での成績は何とかなった。そして意味を理解しないまま大学生になり、また社会人になっていった。私はそのあしき状態が最近、もっと進んでしまっていると思う。というのも、「パーセント」が分からない大学生が今、続出しているんです。
 例えば、2億円は50億円の何パーセントか。比べられる量が2、もとになる量は50で、2÷50=0.04で答えは4%となる。これができない大学生が、日本には2割くらいいると私は思います。

佐藤 十分考えられますね。
 高校生の勉強を見ていて非常に心配になるのは、「暗記数学」という言葉があるように、数学を一種の暗記科目としてパターン暗記だけでやっている生徒が多くなっていること。この弊害が結構、進学校で出ています。

芳沢 これは日本の数学教育が抱える大きな問題だと思っています。抜本的に変えなくてはいけない。
 先のパーセントの続きですが、経済が今年から来年にかけて2割成長したとすると、1.2倍ですね。そして来年から再来年にかけて3割成長したとすると、1.3倍です。ということは、今年から再来年にかけては1.2×1.3=1.56で56%成長となる。しかし、50%という誤答が多い。
 日本の大学生の半分はこの計算ができません。半分以上だと思います。できないのは、まさにやり方だけ暗記しているためです。
 算数でやった「流水算」を覚えているでしょうか。流れる川を上ったり下ったりする船が、流れにどんな影響を受けるのかを考えるものです。
 この流水算【注4】は昔、静水時の船の速さと川の流れの速さをxとyにおいて、方程式を立てて解いたと思う。これが今は違う。見掛け上の下る速さから、見掛け上の上る速さを引いて2で割ったものが「川の流れの速さ」などと暗記しちゃう。方程式を立てずに答えが出てしまう。

佐藤 統計の基礎をやらずに、表計算ソフトにデータをぶち込んでいくやり方も同じ発想ですね。自分でデータを読めない。

芳沢 そういうことです。一番びっくりしたのは「微分は習ったか」と学生に聞くと、「簡単だ」と言う。「微分するというのは、右上にある数字を下に持ってきて、右上は1マイナスすること」とね。

佐藤 公務員試験用の経済学問題集の最初にも、「微分法というのは肩の数字を前の数字に掛けて、肩から一つ引いてやればいい。微分の深い原理について知る必要はありません」なんて書いてある。

芳沢 全てが今そういうことになっている。
 ご存じないかもしれませんが、小学校で習う「速さ」「時間」「距離」などの関係は、今は丸の中に「は・じ・き」「く・も・わ」【注5】と書いた図を使って覚えている。小学校で習ったときには分かるけれども、中学校に行くと、こんがらがってしまう。そして、その状態のまんま大学生になってしまう。

佐藤 これ本当に深刻な問題で、ちょっとズレますが、社会科でも同じ問題があるんですよ。私は大学で講義をする前に、山川の教科書の中から年号の問題を出してテストしているんですが、例えば、ロシア革命の勃発とソ連の崩壊の年号を間違えるのは、まあいい。時系列が逆転している人が中にはいるんです。ソ連崩壊の方が先でロシア革命が後とか、第1次世界大戦と第2次世界大戦の勃発年が逆転しているとか。1と2が分かっていないということですよね。

芳沢 大学の入試がマークシート式になってしまっているが故に、プロセスが分からなくてもやり方、暗記だけで答えが出るから何とかなる。だから、流れというかプロセスを理解しようという気持ちに欠けているんだ、と私は思う。このままでは日本は取り残されちゃうんじゃないか。

佐藤 要するに、日本は発展途上国の教育システムなんですね。記憶力と情報処理能力が中心のキャッチアップ型の教育がそのまま続いてしまっている。
 その結果、たぶん日本と韓国だけだと思うんですが、勉強が嫌いな大学生が異常に多い。一方で、目的合理的に受験テクニックを極める受験産業が異常に発達している。これはなかなか大変です。

芳沢 全体の流れをつかむこと、プロセスをきちんと理解することが大事なのは、さまざまな科目に共通しています。
 先の『新体系・高校数学の教科書(上・下)』を書いたのも、数学の教科書が何のポリシーもなくてバラバラになってしまったからです。それはまずいと、一つの大きな流れを示したかった。

佐藤 あの本で素晴らしいのは「関数の極限」のところです。高校生にはまだ消化が難しい「イプシロン・デルタ論法」【注6】を用いずに、しかも直観に頼らず、とても工夫して書かれているのが、強く印象に残りました。

芳沢 イプシロン・デルタはみんな面食らっちゃう。一体これは何だと。私自身はこれまで文系、理系合わせて10の大学で、それこそ本当にパーセントが分からない大学生から数学専攻の大学院生まで、1万5,000人くらいの学生に教えてきました。得た結論として、高校と大学のギャップを埋めなくてはいけないっていうポリシーを持っています。そこをご指摘いただいて、感激しました。

佐藤 そこは本の序文でも少し触れておられて、僕も強い感銘を受けました。

 (続く)

 【注3】経団連の提言
  経団連は大学の教育改革に関する提言をまとめ、「大学は、例えば、情報科学や数学、歴史、哲学などの基礎科目を全学生の必修科目とするなど、文系・理系の枠を超えて、全ての学生がこれらをリテラシーとして身に付けられる教育を行うべきである」としている。

 【注4】流水算
  例を用いて説明しよう。「船が川を9キロ上るのに45分かかり、同じ区間を下るのに36分かかるとき、静水での船の速さと川の流れの速さを求めよ」という流水算がある。この問題は、「船が川を9キロ上るのに4分の3時間かかり、同じ区間を下るのに5分の3時間かかるとき、静水での船の速さと川の流れの速さを求めよ」と書き換えられる。見掛け上の上りの速さは時速12キロであり、見掛け上の下りの速さは時速15キロになる。「やり方」暗記型の子どもたちは、静水での川の速さ=時速(15-12)÷2=時速1.5(km)、静水での船の速さ=時速(15+12)÷2=時速13.5(km)と、機械的に求める。

 【注5】 「は・じ・き」と「く・も・わ」
  それぞれ意味として、「速さ×時間=距離」「もとにする量×割合=比べられる量」を表す。「は」は速さ、「じ」は時間、「き」は距離、「く」は比べられる量、「も」はもとになる量、「わ」は割合のことである。子どもたちは、円の中にそれらの文字を機械的に書いて、意味を理解せずに式を暗記する。その悪影響が大いに懸念されている。

 【注6】イプシロン・デルタ論法
  この解説は難解だ。読み飛ばしてもらっても構わない。
  xを限りなく2に近づけると、3xは6に限りなく近づく。これを「x→2のとき3x→6」と書く。これを一般化して高校数学では、「x→aのときf(x)→a」を「xを限りなくaに近づけると、f(x)はaに限りなく近づく」と説明する。これをイプシロン・デルタ論法では、「任意の正の数εに対して、ある正の数δがあり、 0<│x-a│<δ⇒│f(x)-a│<ε」 と書いて説明する。この両者の説明の違いに、理工系の学生でも参ってしまう者が続出するのである。
  これを理解するには、「全て」と「ある」の言葉の使い方をよく理解する必要がある。

□佐藤優「特集:文系でも怖くないビジネス数学」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月9日号)の「【Part 1】 数学はビジネスパーソンの必須教養である」の「【対談】芳沢光雄(桜美林大学教授)×佐藤優(作家・元外務省主任分析官)「生き残るビジネスパーソンの必須スキル 今こそ「数学」の学び直しをせよ 」を引用

 【参考】
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)

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【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)

2019年02月09日 | ●佐藤優
佐藤 数学・算数に関して、何といっても衝撃的だったのは1999年に出版された『分数ができない大学生』でした。そのころで「2分の1足す3分の1は?」の問いに「5分の2(正解は6分の5)」と答える大学生の割合が、全体の約17%に達していた。
 それを読んで私が思い出したのは、外務省時代に研修生の教育係をしていたころ、モスクワ高等経済大学とモスクワ国立大学地理学部に研修生を送り込んだときの経験です。共に外交官試験合格者の中でもなかなか優秀な成績を収めていたんですが、成績不良で退学になってしまった。
 そこで大学の教務部長に「いったい何に問題があるのか」と理由を聞きに行った。私はてっきりロシア語力の問題と思ったんですが、「そうではない。問題は別にある」と言う。
 一つは数学。微分積分や行列、ベクトルなど線形代数が全然できない。だから授業に付いていけない。二つ目は、アリストテレスの昔から論理の基本となっている「同一律、矛盾律、排中律」【注1】が分からない。だからディベートができない。そして三つ目に哲学史の知識に欠けるので、思考、思索の型というものが分かっていない。
 日本の教育というのはかなり特殊なんじゃないかと、言われたのです。聞き取りをしてみると、確かに文系は高校数学、下手すると中学段階でも数学をきちんとやらなくて済む。
 私は3年前から同志社大学の神学部で教えているんですが、「数学と神学は隣接しているから、きちんと数学をやっておきなさい」と言っているんです。芳沢先生の講談社ブルーバックスの『新体系・高校数学の教科書(上・下)』を丁寧に読んでいる学生も多い。高等学校卒業程度認定試験で9割は確実に取れる優秀な学生たちです。
 ところが、私はショックだったんですが、「リーマン幾何学【注2】では平行線はどういう状況で交わるの?」と聞くと、皆キョトンとしている。「先生、平行線が交わるんですか?」と。

芳沢 数学に関して幾つか迷信があります。例えば、まず「私立大学の経済学部は文系だから数学は不必要」という迷信です。

佐藤 ひどい話ですね。

芳沢 世の中にはさまざまな経済関連の問題がある。でも、必ず最後は数字をもって客観的に議論すべきものです。そこで数学が必要になる。ところが、日本ではおかしな方向に進んでいる。

 (続く)

 【注1】同一律、矛盾律、排中律
  同一律は論理学で、「AはAである」ということ。矛盾律は論理学で、「命題pは真であり偽でもある」ことはできないということ。排中律は論理学で、「任意の命題は真か偽である」ということ。

 【注2】リーマン幾何学と直線
  普通の平面上に、2本の平行な直線を引くと交わらない。しかし、例えば球面上の図形を考えると事情は異なってくる。球面上の異なる2点に対し、その2点を結ぶ球面上の最短の曲線である「線分」を延長して「直線」を考える。すると、この「直線」は球面上の円になり、その中心は球の中心である。この円を球面上の大円という。イメージとしては、地球上の2点である東京とニューヨークを結ぶ最短距離で飛行する航空機のルートを想像するとよい。これが最短距離であると認識することは、意外と難しいかもしれない。球面上の異なる「直線」同士は、平面上の図形のイメージとは異なって、必ず交わる。

□佐藤優「特集:文系でも怖くないビジネス数学」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月9日号)の「【Part 1】 数学はビジネスパーソンの必須教養である」の「【対談】芳沢光雄(桜美林大学教授)×佐藤優(作家・元外務省主任分析官)「生き残るビジネスパーソンの必須スキル 今こそ「数学」の学び直しをせよ 」を引用

 【参考】
【佐藤優】良い情報を手に入れる早道
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
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【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
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【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
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【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
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【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
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【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻

2019年02月08日 | ●佐藤優
 ①戸髙一成・編『特攻 知られざる内幕 「海軍反省会」当事者たちの証言』(PHP新書 980円)
 ②松岡正剛『面影日本』(角川ソフィア文庫 1,280円)
 ③小林昇『日本プラモデル六〇年史』(文春新書 880円)

 (1)①は、旧海軍将校たちが戦後、太平洋戦争における日本の過ちについて率直な意見を交わした「海軍反省会」の記録から、特別攻撃隊に関する発言をまとめたものだ。鳥巣建之助氏は、
 <私はね、特攻はねこれは邪道であり、やるべきじゃなかったと。
 これをやったことは、特攻で死んでいった人じゃなくて、こういうことをやるような戦争をやったこと自体が間違っておるし、もっと前に戦争をやめておれば特攻なんてやらなくて済んだんです。
 特攻をね、やるようにしたということは、あくまで上の者の責任なんであって、だから特攻というものは、戦争でね特攻なんてやることはこれは駄目なんだ。
 しかし特攻で死んでいって、国に捧げたあの若者たちのあの精神というものはね、これはもう(尊い)。
 しかしだからと言ってあれをですね、終戦後日本の本土を救うときにまで、これをやって勝とうなんていうような考え方っていうのはこれはとんでもない話であってね、大西(瀧治郎・兵40)さんなんかの考え方がね、これは私は大きな間違いであったと>
 と指摘する。その通りと思う。

 (2)②において、松岡氏は鴨長明の文体についてこう述べる。
 <日本の文芸史上、『方丈記』ほど極端に短くて、かつ有名な文芸はない。目で追いながら読むには三十分もかからない。声を出しても、せいぜい二時間くらいであろう。しかし、その「言語としての方丈記」には凝結の気配が溌っている。省略の極北があらわれている。それゆえ『方丈記』がつくった文体ほどその後の日本で流行した文体もない。それは、漢文の調子そのままを和文に巧みに移した和漢をまたぐ名文であり、それ以前の何人も試みなかった文体だった>
 文体は著者の思想を表す。長明の文体にこの時代の日本思想が凝縮されている。

 (3)評者は小学生時代(1960年代後半)、プラモデルに熱中していた。③において、
 <この時期、飛行機のプラモデルにも新しい流れが来ていた。かつてはモーターを内蔵してプロペラを回し走行するような、半分玩具のような飛行機模型が求められていたが、この時代は精密で、コレクション可能なもののニーズが高まっていた。例えばハセガワは昭和四三年にイギリスのプラスチックモデルメーカー、フロッグと提携して1/72スケールの航空機模型をシリーズ化する。後に「飛行機のハセガワ」と呼ばれるようになる始まりである>
 との指摘がなされている。評者はまさに1/72のプロペラ軍用機ばかり作っていた。この時期に精密化したプラモデルに魅せられた一人である。

□佐藤優「旧海軍将校たちが語った特攻 ~知を磨く読書 第281回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月2日号)

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【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
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【佐藤優】怒るに遅くあれ

2019年02月07日 | ●佐藤優
 <愛する兄弟たちよ。このことを知っておきなさい。人はすべて、聞くに早く、語るにおそく、怒るにおそくあるべきである。 --「ヤコブの手紙」1章19節

 パウロは人間の欠点をよく知っている。「聞くに早く」とは、情報収集を入念に行えという意味だ。どんな話でも、とりあえず自分の耳に入れておく。そこから取捨選択すればよい。そして、発言するときは慎重にしなくてはならないというのが「語るにおそく」の意味だ。
 キリスト教は人間の行動に関心を持つ。信仰は即、行動となって現れるからだ。その場合、特に気をつけなくてはならないのは怒りだ。人間には、自分の意思でなかなか制御できない感情があるが、その一つが怒りだ。怒ると人間は正確な判断ができなくなる。そして、感情にまかせて行動することになる。その結果、罪を作り出してしまい、自分が苦しむことになる。
 もっともパウロが繰り返し、怒りを制御せよと述べるのは、彼自身が頻繁に怒っていたからだと思う。それ故にパウロは人間関係で敵をたくさん作った。自分は怒りを上手に制御できないので、他のキリスト教徒には、きちんと制御して欲しいと呼びかけているのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「怒るに遅くあれ」を引用

 【参考】
【佐藤優】体の欲に従うな
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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【佐藤優】体の欲に従うな

2019年02月06日 | ●佐藤優
 <あなたがたの死ぬべきからだを罪の支配にゆだねて、その情欲に従わせることをせず、また、あなたがたの肢体を不義の武器として罪にささげてはならない。むしろ、死人の中から生かされた者として、自分自身を神にささげ、自分の肢体を義の武器として神にささげるがよい。 --「ローマ人への手紙」6章12-13節

 人間は、自らの意思では、どれだけ努力しても悪を回避することができない。自分の心が、身体と結びつき、悪を行っているという現実を直視しなくてはならないとパウロは自覚した。そして悪に向かう自分の性向を改めることは、自己に固執することをやめ、イエス・キリストを信じることによってのみ可能になる、という信仰を持つに至った。
 そうすることで、悪に向かう自分の性向が変化した。自分の罪を認め、悔い改めて、イエス・キリストを信じるようになる。そして、隣人を自分と同じように愛するようになる。このように人生を切り換えることにパウロは成功した。その結果、パウロは自分が自由になったと感じた。そして、他の人々ともこの自由を共有したいと考えたのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「体の欲に従うな」を引用

 【参考】
【佐藤優】内面の悪
【佐藤優】欲望が罪を生む
【佐藤優】罪の誘惑
【佐藤優】豚に真珠を与えるな
【佐藤優】右目を捨てなさい
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~
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