<私は、ベーシック・インカムは、すぐには実現しないという立場にあります。
少し前にフィンランドで、失業者の一部に試験的にベーシック・インカムを導入することが報じられましたが(2017年1月)、ヨーロッパでは、ベーシック・インカムではなく、軽減税率を採用している国のほうがまだ圧倒的に多い状況です。論理的には、ベーシック・インカムにすれば最低限の生活は保障されるはずですが、いまの商品経済のなかでは、貨幣によって人間の欲望を叶えるということが無意識レベルでしみついてしまっているように思います。社会的弱者の人が、お金をもらったらすぐ使ってしまったり、計画性がない消費行動をとったりするということはよく指摘されますが、それは個人の資質ではなく、資本主義の社会構造のなかで植え付けられてしまった生活習慣なのです。これはベーシック・インカムになっても、変わらないのではないでしょうか。
ベーシック・インカムの考え方は、もちろん正しいと思います。しかし、商品経済という剣の論理で覆われているなかに、聖杯の論理を部分的に持ち込んでも、またそこに剣が入り込んでしまいます。>
□高橋巖×佐藤優『なぜ私たちは生きているのか シュタイナー人智学とキリスト教神学の対話』(平凡社新書、2017)の「Ⅱ資本--お金と働くこと」の「生活のなかに植え付けられた資本主義」から一部引用
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【佐藤優】プロテスタンティズムと資本主義は関係ない ~『なぜ私たちは生きているのか』~」
「【佐藤優】個別主義・全体主義・普遍主義 ~『なぜ私たちは生きているのか』~」
「【佐藤優】ルター派教会とナチズム ~『なぜ私たちは生きているのか』~」
「【佐藤優】キリスト教は「絶対他力」の宗教 ~『なぜ私たちは生きているのか』~」
「【佐藤優】『なぜ私たちは生きているのか シュタイナー人智学とキリスト教神学の対話』目次」
少し前にフィンランドで、失業者の一部に試験的にベーシック・インカムを導入することが報じられましたが(2017年1月)、ヨーロッパでは、ベーシック・インカムではなく、軽減税率を採用している国のほうがまだ圧倒的に多い状況です。論理的には、ベーシック・インカムにすれば最低限の生活は保障されるはずですが、いまの商品経済のなかでは、貨幣によって人間の欲望を叶えるということが無意識レベルでしみついてしまっているように思います。社会的弱者の人が、お金をもらったらすぐ使ってしまったり、計画性がない消費行動をとったりするということはよく指摘されますが、それは個人の資質ではなく、資本主義の社会構造のなかで植え付けられてしまった生活習慣なのです。これはベーシック・インカムになっても、変わらないのではないでしょうか。
ベーシック・インカムの考え方は、もちろん正しいと思います。しかし、商品経済という剣の論理で覆われているなかに、聖杯の論理を部分的に持ち込んでも、またそこに剣が入り込んでしまいます。>
□高橋巖×佐藤優『なぜ私たちは生きているのか シュタイナー人智学とキリスト教神学の対話』(平凡社新書、2017)の「Ⅱ資本--お金と働くこと」の「生活のなかに植え付けられた資本主義」から一部引用
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「【佐藤優】プロテスタンティズムと資本主義は関係ない ~『なぜ私たちは生きているのか』~」
「【佐藤優】個別主義・全体主義・普遍主義 ~『なぜ私たちは生きているのか』~」
「【佐藤優】ルター派教会とナチズム ~『なぜ私たちは生きているのか』~」
「【佐藤優】キリスト教は「絶対他力」の宗教 ~『なぜ私たちは生きているのか』~」
「【佐藤優】『なぜ私たちは生きているのか シュタイナー人智学とキリスト教神学の対話』目次」