<「維摩(ゆいま)経」の中に、シャーリプトラが天女に向けて「あなたは神通力があるのに何故女身を転じて男の身にならないのか」と尋ねる箇所がある。天女は答える。幻には一定の特性はなく、一定の特性がない以上どうしてそれを別なものに転ずる必要がありましょうか。一切の女人は女身を現しているだけの幻にすぎないのです。そういって、問いかけたシャーリプトラを女に変えてしまい、逆に天女が男となって、どうしてあなたは女身を転じて男にならないのかと皮肉な反問をする。結論は、一切のものは、男に非ず女にも非ず、死ぬこともなく生まれることもなく、有ならず無ならず・・・・>【注】
【注】高橋和巳「女と胡蝶」(『孤立無援の思想』、河出書房、1966)
*
(1)ジェーン・エリオットは、米国アリゾナ州ルイスビルの小学校教師である。
1968年、キング牧師の暗殺を契機に、自分の学級で人種差別の問題をとりあげた。その実験授業は、こんなものだった。
(2)初日、青い目の人は茶色い目の人より優秀だ、と切り出して、青い目の子ども達を特権的に扱う一方、茶色い目の子ども達には黒い襟をつけさせて差別的に扱った。
その結果、青い目の子どもたちは茶色い目の子ども達を見下し、差別するようになった。
他方、茶色い目の子ども達は一日中抑圧された気分に陥り、青い目の子ども達に攻撃をしかける子どもも出てきた。
(3)二日目、エリオットは生徒達に、自分は間違っていた、実は茶色い目の人のほうが青い目の人より優秀なのだ、と述べて、初日とは逆に茶色い目の子ども達を特権的に扱い、青い目の子ども達を差別的に扱った。
すると、前日元気のなかった茶色い目の子ども達は生き生きとなり、算数の問題を前日より早く解くことができた。
他方、青い目の子ども達はうって変わって自信をなくし、同じ算数の問題を解くのにかかる時間が前日より長くなり、茶色い目の子ども達より遅くなってしまった。
(4)三日目、エリオットは、目の色で人を区別することに意味があるか、と生徒に尋ねた。答えは全員、否定的だった。
かくて、エリオットは、生徒達に、体の一部を理由に他の者を差別することの不当性を体験を通じて学習させることができたのである。
(5)実験授業は録画され、全米各地で上映された。その上映会でエリオットは講演し、いろいろな企業で同様の実験を行ってみせた。
エリオットいわく、「この授業はすべての教育者、そして行政当局に対して行われるべきだ」
□米谷淳、米澤好史編著『行動科学への招待 -現代心理学のアプローチ-』(福村出版、2001)
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【注】高橋和巳「女と胡蝶」(『孤立無援の思想』、河出書房、1966)
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(1)ジェーン・エリオットは、米国アリゾナ州ルイスビルの小学校教師である。
1968年、キング牧師の暗殺を契機に、自分の学級で人種差別の問題をとりあげた。その実験授業は、こんなものだった。
(2)初日、青い目の人は茶色い目の人より優秀だ、と切り出して、青い目の子ども達を特権的に扱う一方、茶色い目の子ども達には黒い襟をつけさせて差別的に扱った。
その結果、青い目の子どもたちは茶色い目の子ども達を見下し、差別するようになった。
他方、茶色い目の子ども達は一日中抑圧された気分に陥り、青い目の子ども達に攻撃をしかける子どもも出てきた。
(3)二日目、エリオットは生徒達に、自分は間違っていた、実は茶色い目の人のほうが青い目の人より優秀なのだ、と述べて、初日とは逆に茶色い目の子ども達を特権的に扱い、青い目の子ども達を差別的に扱った。
すると、前日元気のなかった茶色い目の子ども達は生き生きとなり、算数の問題を前日より早く解くことができた。
他方、青い目の子ども達はうって変わって自信をなくし、同じ算数の問題を解くのにかかる時間が前日より長くなり、茶色い目の子ども達より遅くなってしまった。
(4)三日目、エリオットは、目の色で人を区別することに意味があるか、と生徒に尋ねた。答えは全員、否定的だった。
かくて、エリオットは、生徒達に、体の一部を理由に他の者を差別することの不当性を体験を通じて学習させることができたのである。
(5)実験授業は録画され、全米各地で上映された。その上映会でエリオットは講演し、いろいろな企業で同様の実験を行ってみせた。
エリオットいわく、「この授業はすべての教育者、そして行政当局に対して行われるべきだ」
□米谷淳、米澤好史編著『行動科学への招待 -現代心理学のアプローチ-』(福村出版、2001)
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