(1)1995年12月8日、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故が発生した。
事故以上に動燃の社会的信用を揺るがしたのは、その後の「ビデオ隠し問題」だった。当初、動燃は事故翌日の16児に現場撮影したビデオ(「16時ビデオ」)を公表した。これが編集されたもの、と発覚。さらに、それ以前の2時に撮影したビデオ(「2時ビデオ」)の存在まで明らかになった。
次々に明らかになる「隠蔽工作」、事故を「事象」と言い換えて誤魔化そうとする体質・・・・西村茂生・動燃総務部次長(当時)は、不本意ながら余儀なく、ビデオ隠し問題の内部調査チーム員となった。
12月25日、新たに「2時ビデオ」が撮影直後に動燃本社に運び込まれていたことが発覚した。
理事長の責任が問われる事態だったが、動燃は翌年1月12日までこれを公表しなかった。この日の会見で、西村次長は、本社がビデオの存在を掴んだのは「1月10日」と、実際より2週間以上遅い期日を述べた。その理由は今に至るまでナゾのままだ。
西村次長は、翌日の出張のため都内のホテルに宿泊。13日早朝、非常階段の下で遺体が発見された。
(2)「ビデオ隠し」の責任者は、「もんじゅ」の責任者だったO所長(当時)とS副所長(当時)。最初に公表された「16時ビデオ」の編集と、生々しい現場をとらえた「2時ビデオ」の隠蔽を部下に命じたのだ。
2人は更迭され、その後、停職1ヵ月の処分を受けている。
12月30日に都内で行われた聴取において、O所長は、ビデオはほとんど見てない、事故当時の動きの5~6割はVIP対応に取られていたし、ある意味では被害者だ、などと弁明した。もっとも、聴取が進むにつれ、ポロポロと真相を漏らし出す。換気ダクトの穴は出さなくてよいと言った、「2時ビデオ」は技術的に価値がないから割り切ろうと決断した、云々。
ウソをウソで固めるため、自分で「隠蔽」を判断し、指示していたのだ。別の聴取記録には、もっと危ない言葉が出てくる。
<市の○○氏に対して、「16時もの生ビデオは、県(の撮影した)ビデオの2番宣旨(煎じ)になるので、これ以上追及すると撮った本人が自殺するかもしれず、追及を少しやめてほしい」といっった>
こうした追及逃れのみならず、動燃はその「15分間の原本」を隠しとおすために、もう1本、原本に見せかけた4分間の編集ビデオを作らせていた。
(3)O所長とともに「ビデオ隠し」を指示したS副所長の説明は、いっそう奇怪だ。
<隠すつもりはなく、次第に明らかになるというのが公開の考え方であった。最初から公開についてはフルオープンと言っていたが、オープンの仕方はソフトにやっていくつもりであった>
つまり、小出しにして「ソフト」に全公開していくつもりだった、というのがS副所長の言い訳だ。
kろえは、動燃の常識でもあったらしい。
<現場、来客対応、プレス対応等、明確に分担をわけて欲しい。現場の人がプレスに責められるとポロッと出る>
真相はプレスに隠しておく、と言っているに等しい。だから、「ポロッと出る」とまずいのだ。事実、ビデオ隠し問題は、地元自治体や科学技術庁(当時)による立入調査の際に、現場の職員がビデオの存在を「ポロッと出」してしまったことから発覚した。
要するに、S所長の「反省」はビデオ隠しという悪事に係る反省ではなく、「隠蔽」に失敗したことへの「反省」なのであった。
(4)隠蔽はビデオだけではない。
事故翌日の12月9日2時、職員が現場に立ち入った際、ポラロイド写真も撮影していた。写真はちゃんと写っていたが、S副所長は件の調査の前にシュレッダーにかけさせていたのだ。
内部調査で発覚したが、1997年にようやくまとめられた動燃の調査方向書では一言も触れられていない。
また、動燃が最初に事故現場に入る前S副所長は、何とか動燃だけ入って消防には入らせない、と決めた。ナトリウムが燃焼する火災が起きていたというのに、消防にまで「隠蔽」したのだ。
□今西憲之+本誌取材班「もんじゅ事故「隠蔽」の極秘記録」(「週刊朝日」2013年4月12日号)
【参考】
「【原発】動燃による反対派つぶし「工作」の記録 ~「西村ファイル」~」
「【原発】動燃の裏工作部隊 ~「洗脳」と「カネ」~」
「【原発】動燃の組織ぐるみの選挙~「西村ファイル」~」
「【原発】NHKに対する「やらせ抗議」 ~科学技術庁~」
「【原発】プルトニウム輸送船の「日米密約」 ~原子力ムラの極秘工作~」
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事故以上に動燃の社会的信用を揺るがしたのは、その後の「ビデオ隠し問題」だった。当初、動燃は事故翌日の16児に現場撮影したビデオ(「16時ビデオ」)を公表した。これが編集されたもの、と発覚。さらに、それ以前の2時に撮影したビデオ(「2時ビデオ」)の存在まで明らかになった。
次々に明らかになる「隠蔽工作」、事故を「事象」と言い換えて誤魔化そうとする体質・・・・西村茂生・動燃総務部次長(当時)は、不本意ながら余儀なく、ビデオ隠し問題の内部調査チーム員となった。
12月25日、新たに「2時ビデオ」が撮影直後に動燃本社に運び込まれていたことが発覚した。
理事長の責任が問われる事態だったが、動燃は翌年1月12日までこれを公表しなかった。この日の会見で、西村次長は、本社がビデオの存在を掴んだのは「1月10日」と、実際より2週間以上遅い期日を述べた。その理由は今に至るまでナゾのままだ。
西村次長は、翌日の出張のため都内のホテルに宿泊。13日早朝、非常階段の下で遺体が発見された。
(2)「ビデオ隠し」の責任者は、「もんじゅ」の責任者だったO所長(当時)とS副所長(当時)。最初に公表された「16時ビデオ」の編集と、生々しい現場をとらえた「2時ビデオ」の隠蔽を部下に命じたのだ。
2人は更迭され、その後、停職1ヵ月の処分を受けている。
12月30日に都内で行われた聴取において、O所長は、ビデオはほとんど見てない、事故当時の動きの5~6割はVIP対応に取られていたし、ある意味では被害者だ、などと弁明した。もっとも、聴取が進むにつれ、ポロポロと真相を漏らし出す。換気ダクトの穴は出さなくてよいと言った、「2時ビデオ」は技術的に価値がないから割り切ろうと決断した、云々。
ウソをウソで固めるため、自分で「隠蔽」を判断し、指示していたのだ。別の聴取記録には、もっと危ない言葉が出てくる。
<市の○○氏に対して、「16時もの生ビデオは、県(の撮影した)ビデオの2番宣旨(煎じ)になるので、これ以上追及すると撮った本人が自殺するかもしれず、追及を少しやめてほしい」といっった>
こうした追及逃れのみならず、動燃はその「15分間の原本」を隠しとおすために、もう1本、原本に見せかけた4分間の編集ビデオを作らせていた。
(3)O所長とともに「ビデオ隠し」を指示したS副所長の説明は、いっそう奇怪だ。
<隠すつもりはなく、次第に明らかになるというのが公開の考え方であった。最初から公開についてはフルオープンと言っていたが、オープンの仕方はソフトにやっていくつもりであった>
つまり、小出しにして「ソフト」に全公開していくつもりだった、というのがS副所長の言い訳だ。
kろえは、動燃の常識でもあったらしい。
<現場、来客対応、プレス対応等、明確に分担をわけて欲しい。現場の人がプレスに責められるとポロッと出る>
真相はプレスに隠しておく、と言っているに等しい。だから、「ポロッと出る」とまずいのだ。事実、ビデオ隠し問題は、地元自治体や科学技術庁(当時)による立入調査の際に、現場の職員がビデオの存在を「ポロッと出」してしまったことから発覚した。
要するに、S所長の「反省」はビデオ隠しという悪事に係る反省ではなく、「隠蔽」に失敗したことへの「反省」なのであった。
(4)隠蔽はビデオだけではない。
事故翌日の12月9日2時、職員が現場に立ち入った際、ポラロイド写真も撮影していた。写真はちゃんと写っていたが、S副所長は件の調査の前にシュレッダーにかけさせていたのだ。
内部調査で発覚したが、1997年にようやくまとめられた動燃の調査方向書では一言も触れられていない。
また、動燃が最初に事故現場に入る前S副所長は、何とか動燃だけ入って消防には入らせない、と決めた。ナトリウムが燃焼する火災が起きていたというのに、消防にまで「隠蔽」したのだ。
□今西憲之+本誌取材班「もんじゅ事故「隠蔽」の極秘記録」(「週刊朝日」2013年4月12日号)
【参考】
「【原発】動燃による反対派つぶし「工作」の記録 ~「西村ファイル」~」
「【原発】動燃の裏工作部隊 ~「洗脳」と「カネ」~」
「【原発】動燃の組織ぐるみの選挙~「西村ファイル」~」
「【原発】NHKに対する「やらせ抗議」 ~科学技術庁~」
「【原発】プルトニウム輸送船の「日米密約」 ~原子力ムラの極秘工作~」
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