語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】ふたりの主人

2018年10月05日 | ●佐藤優
 <だれも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない。 --「マタイによる福音書」6章24節

 キリスト教は、一般に富とされるものに対する警戒感が強い。富は、権力に代替可能で、人間は権力を持つと神に反抗しようとする傾向があるからだ。富は、カネ、商品など目に見えるものと、名誉、権威など目に見えないものがある。どのような小さな人間でも、富は持っている。従って、富とどのように付き合うかは、人間にとって死活的に重要なのである。
 前項でもふれたように、大多数の人々は、富を地上に蓄える。財産を殖やし、名声を地上で得ようとする。イエスは、このような態度を取る背景に、人間が自力で救済されると考える「自己義認」の罠が潜んでいると考える。原罪を負った人間が、自力で救済されることは、絶対にない。富を地上で蓄えるという発想には、人間が救済からこぼれてしまう大きなリスクがある。この危険から逃れるために、キリスト教徒は意図的に富を天に蓄えることが要請される。平たい言葉を用いるならば、陰徳を積むということだ。神がこのような陰徳を見過ごすことは、絶対にない。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「ふたりの主人」を引用

 【参考】
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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