どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

キノコの放射能汚染

2012-11-02 17:15:58 | インポート
チェルノブイリ事故のとき、野生キノコにかなりのセシウムが蓄積される事が解った。あの時は特にアンズタケが有名になった。そしてキノコを食べる野生動物の採取も禁止された。
岩手県の野生キノコの汚染状況が発表になっていたのだが、やはり驚くべき数字がある。
まずはこちら。
まず奥州市のハツタケ3000Bq/kg、陸前高田のアミタケ1900Bq/kg、一関市のホウキタケ1400Bq/kgと凄まじい数字が並んでいる。もちろんキノコなので一人で1キロ食う事は無いが、あぜんとする数字だ。いかに山地が汚染されているのかが解る。とはいえほとんどが100Bq/kg以下なのだが、県南部ではちょっと高めが多い。
また腐食性のキノコと菌根系のキノコでは腐食性の方が高くなりがちだが、汚染地域ではどちらも危険と言う事になる。ホウキタケはチェルノブイリ事故の時も話題になったキノコだ。この中で特にアミタケはセシウムを蓄積しやすいようだ。表から推察するに盛岡ー宮古間から北の野生キノコは安全だと言えるが、それより南は用心にこした事は無く、県南部は止めた方がいいとなるだろう。それでも種類としてはアミタケ、ホウキタケ、ナラタケ、ハツタケは食べない方がいいかもしれない。まあハツタケを1キロ食べるとなれば大変な金額になるが。キノコに関しては量を食べる事が無い。それが救いだ。
また栽培物でも露地栽培の原木シイタケや原木ナメコは、やはり盛岡より南の物を避けた方がいいだろう。実際私でも昨年から、野生キノコや露地栽培ものや、たとえハウス物でも原木物は避けている。工場出荷のキノコのみ食べている。昨年からは安全な岩泉のキノコすら疑ってかかるようになってしまっている。

実際岩手県に住んでいてこんな事をいうのは気が引ける。風評を煽ってどうするんだと言われるだろう。だが一番驚いたのは産直で売られている物の中から検出されている例があると言う事だ。これは本当に残念な事だ。放射能汚染についてのんびりしすぎているし、無知も甚だしい。怒りさえ覚える。自分で自分の首を絞めるのだから言い訳にもならない。
とはいえ、多分なのだがこのセシウムキノコを産直に出したのは、老人なのだろう。あまり若い人でキノコ採りに夢中な人はいないし、お年寄りなら何にも考えないだろう。
昨年は福島・宮城・岩手の三県に対して、毒を作って売っていると言われたが、このキノコの件はそういわれてもしょうがないものだ。この検出された市町村の野生キノコ(種類別ではなく野生と言えば全部だ)は、現在出荷停止になっている。そして野生キノコはほとんどが地元で消費されているので、他県にはほとんど出荷されていないのが救いだ。
ただ秋田県の人たちはどうするのだろうか。けっこう秋田県の人たちが職業的にキノコやタケノコを捕りに岩手県まで入っているのだ。もう捕り尽くすほどに取って行くのだが、それがどこかに出荷されると言うのは恐ろしい事だ。



PS
岩手県では流通業者や販売業者に対して、自主検査で50Bq/kg以上のセシウムの値が出た場合届け出をして、県が精密再検査するといっていますが、どの程度守られているのでしょうか。一応万が一計測ミスで規制値を上回らないように、対策はしているとはいえます。


岩手県の放射能汚染と武田教授のブログ

2012-11-02 15:22:38 | インポート
ン~あんまりいいたくないのだが野生動物の放射能汚染の時に、歯切れが悪い書き方をしていたのだが、認めます。武田教授のいうように岩手県は放射能に汚染されています。特に県南部では大きいです。でも大体農産物のデーターでは、武田教授の推奨する40Bq/kg以下でほとんどが検出限界以下になっています。
今日の教授のブログで、一関のソバからセシウムが検出された件に触れています。
武田教授のブログはこちら。
ただちょっと問題があるかなと思います。各当する項目を抜き出して補足します。
武田教授に関しては、あいかわらずオッチョコチョイだなと思います。



「 岩手県一関市で製造されたそばから1キロ340ベクレルのセシウムが検出され、出荷停止になりました(2012年10月22日)。」

まず、製造ではありません。生産です。これでは一関の製麺業者のそばから検出されたように見えます。
次が岩手県のデーターでは250Bq/kgのセシウムなのですが武田教授は340Bq/kgと書いています。独自の情報チャンネルをお持ちなのでしょうが、多分勘違いでしょう。この1点だけが本当に突出したデーターになっています。検出されたのは、一関市興田村の3カ所で生産されたソバの、一カ所から検出されました。ここがホットスポットだったようです。他2カ所は。18Bq/kgと検出限界以下(8.8Bq/kg以下)となっています。なお興田村は典型的な中山間地の小さな盆地です。

「一関は岩手県のホットスポットで、」

これに関しては正しいのですが、広い面積の中でもむらがあるということです。今の所発表されたデーターから平地は比較的安全で、山にホットスポットが多いらしいと言う事です。野生クリからも最大89Bq/kg検出されていますし、一関のクマのデーター(1点しかないのですが)も450Bq/kgとそれを裏付けています。あとキノコ類ですが、野生キノコのデーターが発表されています。こちらです。山地の汚染状況がよくわかります。チェルノブイリ事故の時もそうだったのですが、キノコ類は放射性物質を蓄積しやすいようです。これに関しては衝撃的な数字があります。
とはいえ、一関全部がだめみたいな言い方は無いんじゃないのかなと思います。

「行政が生産者のお金を優先し、口に入る作物の汚染を認めないという特殊な考えなので、継続的に一関の農作物を避ける必要があります。」

ここがまず違う。岩手県はこのデーターを公表している。汚染状況の公開はかなり進んでいるレベルだと思う。一時期の宮城県ではない。むしろサイト上で解りやすい所にリンクを貼っており、よくある木の葉を森に隠すような事をしていない。強いていえば過去のデーターにも当たれるようになって欲しいと言う事だけだ。
ただ岩手県は国の基準に従っているので、教授から見れば不誠実に見えるのだろう。だが行政としては仕方が無い側面がある事を認めるべきだ。独自基準を作ると言うのはそれはそれでリスキーだからだ。
実際、一カ所から基準値超のセシウムが検出されるとその地区は全面出荷停止にしている。決して消費者を無視している訳ではない。そして現実に流通業者の基準が更に厳しいことも指摘したい。


さてソバのデーターだが、こんな具合だ。

さてどうもソバはセシウムを取り込みやすいように感じる。その上でデーターを見る場合、大きな産地ほどサンプル数が多くなると言う事、次にソバは中山間地で生産される場合が多いと言う事を念頭に入れてもらいたい。
なぜか大更にホットスポットがあるのが解る。ここは岩手山と八幡平にはさまれた所で、盛岡市上空を通った放射性雲が岩手山にぶつかり東斜面側から巻き込んで岩手山の裏側に降下した物の様で、ちょうど大更がその位置に当たる。牧草の汚染状況もこれと一致している。ただ航空機によるモニタリング調査ではこの点ははっきり出ていないし、他の作物を見ても大更が酷く汚染されている訳ではない。なのでソバの特性なのかもしれないと考えるのだ。
他に検出された地域で、宮古市小国や久慈市山形村、軽米町晴山村など検出されそうにも無い所から検出されているが、ホットスポットとはそうゆう物なのだろう。なおこの3カ所だが中山間地と言うより、山だ。
同じ地点や近い場所で、コメではほとんど検出されていない。これはコメが水田で育てられるのが影響しているのだろうか。同じイネ科の植物で、小麦ではほとんど検出されていない。ちょっと面白い所では軽米町の六条大麦で検出されている。岩手県内5カ所からの検査だが、汚染の強いと見られる一関市では検出されていないのに、なぜ県北も最も北の軽米町で検出されているのか、不思議だ。多分土壌成分の問題があるのかもしれない。
大豆でも九戸村の江刺家から8.6Bq/kg検出されているが、これまた県北なのでちょっと不思議だ。遠野の青笹村の8カ所のうち一カ所から武田教授のいう40Bq/kg以上の値があるが、岩手県の大半は不検出で、検出されても40Bq/kg以下になっている。
これらの農産物では当然ほとんど40Bq/kg以下なのだが、他の農産物でもそうなっている。100Bq/kgを超えた物は出荷停止になっているし、

ただ武田教授は科学者として、かなりマトモだと思う。科学者としては1点でも例外があった場合はその他すべてのデーターを疑うのは正しい。これは確かなのだ。だが現実に落とし込んでゆく作業ではもっと精査が必要だ。1点だけでいう場合は、やはり慎重な意見であるべきだろう。
なお私は武田教授の40Bq/kgの基準値を支持しています。非常に合理性が高い数字です。もちろん低ければ低いほどいいですが。
こうして農産物の検査データーを見ると、一つだけ残念な所がある。検出限界値がバラバラなのだ。ある時は8Bq/kgで不検出となり、ある時は2Bq/kgで検出されているとなると、データーに疑義が生じる事になる。この辺りをキチンとした方がいいと思うが、やはりゲルマニウム検査機が‘行列のできる県設備’となっている状況では致し方が無いのだろう。とはいえ例えば穀物では検出限界を5Bq/kgにするとか、カリウム分が多くて測定が大変そうな果物は10Bq/kgにするとか、合理性のある基準を作ってもらいたいものだ。


PS
ソバのデーターなのだが、滝沢村からも検出された。だが40Bq/kg以下だ。詳しくはホームページを参照して欲しい。ただこれである法則が見つかりそうだ。火山灰質の所でソバを育てた場合にセシウムが移動しやすくなっているようだ。そう考えるとかなり合理的に説明がつく。