どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

ISISに渡る欧米人の運命は

2014-08-28 16:36:39 | インポート
イラク・シリア・イスラムステート、通称イスラム国に渡る欧米人が増えていると言われている。イギリスでは500人は渡ったのではないのかと言われている。アメリかからもかなり渡っているようだ。


宗教上の熱狂と言えばそれまでなのだし、彼らのインターネット上での勧誘活動もスマートで魅力あるものだと言われている。だからこそ戦場へと向かっているのだろう。

欧米諸国では基本的に信教の自由が守られている。だからこそ母国でそんな過激な思想に染まっていても、誰も罰する事は出来ない。テロを起こす準備として違法なものを大量に所持していない限りは、罰する事は出来ない。そしてイラクで戦って来て、こっそり帰って来ても基本的には違法ではない。国によっては自国の兵士と戦ったと言う証明がなされれば、あるかもしれない。


だが武装組織「ダウード旅団」が誘拐したアメリカ人ジャーナリストを、イスラム国が斬首刑にした時から潮目が変わって来たように思われる。この斬首した男がイギリス人だと言われている。


耐え忍んで来たアメリカも、重い腰を上げはじめた。



異民族が宗教上の理由で殺しあうのはよくある話だ。コミュニケーションに障害があるからだ。だが今回はアメリカ人とイギリス人だ。コミュニケーションは不可能ではない。宗教上の理由以外では共通するものが多い。それでも殺した。ということは今後イギリス人ジャーナリストをイギリス人が殺したりするのだろう。

欧米諸国には、宗教戦争と言う悪夢が共通認識にある。魔女裁判から異端迫害もあった。これらの反省が、現在の信教の自由に繋がっている。
なにしろ宗教戦争は単純な宗派の争いのとどまらず、領主の領土拡張の野心やローマの介入、一時的に現れた共和制の村や町、傭兵の問題、ありとあらゆる矛盾が噴出し、互いに殺し疲れるまで続いた。近代への橋渡しにはなったが、それにしても犠牲が大きかった。このため少なくとも同国人同士が、宗教を理由に殺しあうのは禁止になったものだ。



もちろんそれでも宗教差別などはまだ残っている。アメリカでは911の直後のイスラムへの禁避が起きた。しかし国家としては差別的な対応はとれない。このイラクやシリアで戦っている同国人が帰って来た時には、受け入れなければいけない。本当ならパスポートを無効にする処置をとりたいのだが、密かに渡った人たちの足取りを掴むのは容易ではない。今回のようにアメリカ人を殺したイギリス人が完全に特定されれば、殺人罪を理由にパスポートを無効にして帰って来れないように出来るかもしれない。その前に偽装パスポートを使われたらどうしようもない。


アメリカやイギリスは、彼らが帰って来てテロリストになる事を怖れている。確かにそうなのだが、それ以上にもっと厄介な問題がある。



先の「ダウード旅団」だが、本来はシリアの穏健派武装勢力だった。それがどうもイスラム国が有利と見て、寝返ったという説がある。そしてその際にイスラム国への忠誠の証として、斬首が行われたと言うものだ。この説は実はそんなに不思議ではない。現実にシリアの中の武装勢力は離合集散を繰り返しているようだ。シーアとスンニの戦いでもあり、市民の反撃でもあり、部族闘争の色も見せているからだ。上位のものへの手みやげは欠かせない。


そう考えてみると、なぜアメリカ人をイギリス人が殺したのかという背景があるように感じる。そのイギリス人に対して忠誠を見せろと言う事なのだろう。そう言えばレバノンからの移民でオーストラリア人が、自分の子供にシリア国軍の兵士の生首を持たせた写真をネットに掲載していた。この彼はどうも頭のおかしな人のようなので何とも言えないが、彼の友人までもが首を持って写真を撮ってネットに出していたようだ。


イニシエーションの可能性、通過儀礼の何かを感じている。母国に帰れなくするために、進んで行わせているように感じる。またこうした写真をネットで公表することで、躊躇していた人たちを呼び寄せる効果も狙っていると思う。


だが最も問題なのは、イスラム国がカリフ制復活を唱えている事だ。カリフ制はムハンマド亡き後に教団を支えるために、「ムハンマドの代理人」としてウラマー、宗教指導者と訳すべきだろうか、の調停役として振る舞う最高の権威だ。そして初期続いていた部族抗争での、教団最高指揮官でもある。このカリフ制がうまくいったかと言えば、シーア派を生み出した元凶でもある。ムハンマドほどの指導者はいない。誰がなろうと火種が残るわけだ。

中期から王朝的に移行するのは拡大期から安定期に入ったというのが大きいだろう。だがそうなるとやはり反撥もあるものだ。それがずっと続いて最後にカリフ制は廃止された。カリフに相応しい人がいなくなったというのが大きい。特にカリフはクライッシュ族出身でなければいけないという原則がある。それ以外の人がなった場合、簒奪者と言われかねない。トルコのスルタンのように強大であったからこそその批判を封じ込める事が出来たが、現在のイスラム国のカリフ制は他のスンニ派から認められていない。異端のカリフだ。



このイスラム国に忠誠を誓った、この外人部隊はどうなるのだろうか。イスラムの名を借りた民族紛争とすれば、イスラム国が完成した暁には、彼らは徐々に排斥されて行くのではないのか。
そもそも彼らの言う「堕落した国」から来たものには正統性がないのだ。出世の見通しも、よほどの技術者でない限り暗いだろう。安定期には違う原理が働くのだ。アフガニスタンでは違ったからここも大丈夫だろうか。全く違う。アルカイダはそもそも外人部隊だった。トップのビン・ラディンはサウジアラビア人だ。彼らは公正に振る舞わなければ正統性がなかった。だからそうしたのであって、シリアやイラクではかなり毛色が違う。剥き出しの権力闘争になっている。その中で残れるのか?カリフ制を言い出した時点で、単なる独裁政権になると予想するべきだろう。

そうしてイスラム国から出て行かなければいけなくなり、映像に残ったものは特定されて本国に戻れなくなり、特定されなかったものも疑いがあれば監視される生活を送る事になるのではないか。イスラム世界をさまよう事も考えられるが、アルカイダから見ても異端な彼らを受け入れてくれる所はあるのだろうか。更に異端なポゴ・ハラムだろうか。戦闘が続いても、前線に向かわされ、生き残ったとしても紛争の地でしか生きられなくなるだろう。平和な所では彼らを受け入れてくれる所はないのだ。あったとしても、「英雄」ともてはやされ、監視がつくだろう。そして「英雄」はあっという間に「次の英雄」に抜き去られてしまうだろう。


そして何も残らないのだ。



彼らは神のために戦って死ぬ事ばかりを考えているのだろう。だが万が一生き残った場合、本国に帰ってジハードを起こすとかテロを起こすとか、そういった輝かしい未来はあるのだろうか。



ジハードは聖戦とも訳されているが、本来は「耐え忍ぶ事」だ。異教徒達とは出来る限り争わない、そしてどうしても我慢出来ない場合ににのみ認められているのが「聖戦」だ。それが多少の色の違いがあるからと言って、イスラムの中で争っている。


子供に首を持たせた男はおかしい人だが、その無邪気さに暗い未来が見えるのは、私だけだろうか。


この地名は

2014-08-28 03:26:53 | インポート
レーダーナウキャスト高精度版だが、盛岡だと精度と予測がうまくいっていないようだが、関東・関西ならそれなりの制度にはなっているだろう。とはいえ10分遅れのナウキャストでもある。どこがナウキャストだと言いたい所もあるが、一つだけいい所がある。


全国の状況を簡単に見れる所だ。通常版のレーダーナウキャストはいちいち東北だとか関西だとか部分に飛んでみなければいけない。全国区分では沖縄も含むのでちょっと広すぎる。それが多段階で拡縮が可能、グーグルマップを使う要領で簡単に各地を見る事が出来ます。今大雨だけど実家はどうなのかとか、出張中の彼派大丈夫かどうか、そう言った時に簡単に見る事が出来ます。

今回は、盛岡周辺もそうでしたが近畿・中国地方の豪雨状況を見ていました。東北も大変だけど今近畿は本当に大丈夫かと見ておりました。そして広島の水害です。


亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。


ただ報道で、初めの頃にかなり違和感のある解説がありました。この周囲の土は真砂土で、と言っていました。真砂土土壌での水害と言えば、神戸が有名です。花崗岩質の山や岩が風化して細かくなったのが真砂土です。排水性が良かったり、逆に保水性も高いのですが、確かこれは花崗岩が粗い結晶で出来ており、その大きな砂粒と風化の進んだ粘土鉱物が混じりあった状態だからこういった特性があるわけです。


しかし普段は固まって見えますが、水がある一定以上しみ込むと、粘土鉱物が粗い砂を支えきれなくなって、一気に流動化してしまうことが起きます。この場合一番怖いのが地滑りです。特に沢から扇状地のような地形になっていればこの危険性は高いはずです。それでもこういった地帯に住宅地を作ったのは、舗装道路や屋根、そして雨樋から下水への流れがしっかりしていて、家の土台のパイル打も深くやっていれば何とかなったはずです。



しかし今日、この土地の旧地名を聞いてビックリしました。「八木蛇落地悪谷」。蛇と落地、悪谷という危険地名ワースト級が並んでいます。今日のNHKのニュースでも、郷土史家らがあそこは昔から水害で有名な所だったと言っていましたが、確かにそうでしょう。ここまで悪い地名はそう滅多にありません。


「蛇」は「蛇ぬけ」とも言います。鉄砲水が起きた所を指す地名です。ただ鉄砲水は砂防ダムである程度は防ぐ事が出来ます。ただここは推測ですが「八木蛇」ですので、通常は川や沢筋にまっすぐに流れて行く鉄砲水ではなくてあらゆる方向に流れて行く、ヤマタノオロチの形を指しているかと思います。もしくは近くの沢筋まで一機に崩れて行くさまを表した言葉なのかもしれません。

「落地」は読んで字のごとし、崩落か地滑り地帯と言う事です。今回だとまさしく土と石が落ちてくるような事も指していたのかもしれません。そしてダメ押しのように「悪谷」と書かれています。暴れ川です。要は鉄砲水は起きるし地滑りは起きる増水しやすい最低の沢筋、と言う事です。


さてこの山津波の件ですが、私らにとってもどこか人ごとではありません。行政がそんな危ない所をなぜ開発認可したのか、そして砂防ダム等の施設をなぜ作らなかったのか、これらは今回の津波と全く同じ事になっています。ただ東北では時を経て、災害と利便性をどう妥協するのかという形跡はあります。防潮堤の建設もやったのですがうまく行かなかったりしました。ある程度のコンセンサスはあると思うのですが、この広島の事例ではどうなるのでしょうか。多分ないものと考えます。








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グーグルマップで地形を見てみますと、全体木を伐採した後かもしれませんが、怪しげな裸地が見えています。崩落地なのかどうかは解りませんが、やはりどうも良くない土地のようです。


沢筋が複雑で、防砂ダムを建設しようものならとんでもない費用がかかりそうです。


開発許認可の問題は、かなり残りそうです。