いや前から気になっていたのだが、男子のスポーツウエアーのうち、ボトムスの丈が長くなって来ているのですよ。サッカーなんか解りやすいかもしれない。マラドーナが現役だった頃は、股から15センチ程度の丈だったと思う。ラグビーもそう。ラグビーは10センチ程度の丈だった。そうなるとアンダーウエアーはどうなるのか?
着ないのが基本だ。自転車競技でもそうだったし、他の競技でも一流どころはアンダーウエアーをはいていなかったと思う。冬期スポーツは別だが。
なおラグビーでは弱いチームに限って、ボトムスからトランクスの裾を出していたものだった。
サッカーでは、今や膝上だろうか。ダホダホしたボトムスになっている。しかもよくわからないのだが、彼らはオーバーサイズを着たがる。ボトムスはワンサイズ大きめ、アッパーはツーサイズ大きめと言うのが業界標準らしい。ラグビーでは丈が25センチだろうか、そこまで長くなっている。
ここにはいくつかの理由があると思う。まずは素材の変化だ。木綿が中心だった時代では、丈夫に作ると言う事と柔らかくしなやかに作ると言うのが難しかった。ラグビーあたりだと、とにかく丈夫な物を求めていたので、あの足の太い連中ではちょっと丈が長いと足に引っかかってまくれてしまう可能性もある。生地の問題が大きかった。
実はウールと言う可能性もあるのだが、洗濯が面倒とか暑いと言う事もあって使われなかったのだろう。絹は値段で論外だ。
それが化繊が使われるようになって変わって来たのだが、90年代以前の化繊と違って、よりいっそう高機能の化繊が使われるようになり、薄くてしなやかで丈夫な化繊に移行したと言える。
次が大きいのだが、陸上競技での高機能素材を使ったウエアーの開発と、それに伴う成績向上だ。他の競技でも応用可能なものだから、ここで一気に広まったと思われる。
そしてアンダーウエアーの機能向上も見逃せない。昔の立体裁断とは違う、縫い目にすら機能を持たせるようになっている。当然各パーツの布ごとに素材や折り目を変えたりしている。それで筋肉をサポートしようというものだ。
ただこうなってくるとアンダーとアッパーの区別がつきにくくなる。なので同程度の機能を持ったものが、野球ではアンダーで、陸上ではアッパー(当然アンダーは履いていない)となる。競技によって変わってくる。
しかしボトムスの丈が長くなった事の説明にはなっていない。
男子水泳水着が今面白い事になっている。昔あったビキニやブリーフタイプがかなり少なくなっている。10年前とはかなり様変わりしたようだ。アリーナとスピードで見ても商品構成は10対1以下だろう。楽天で見ると更に比率は下がる。
なぜそうなるのかと言えば、多分世界水泳大会でワンピースタイプが出てからだろう。ワンピースの方が記録も出る。この理由はイロイロあるのだが、裸に近い方が水の抵抗がないという伝説を消し去ったのは間違いがない。
スパッツタイプの水着もこの頃からではじめていたのだが、今現在はこれが主流だ。ブリーフタイプはこれでかなり無くなっている。
ただメーカーとしてはワンピースタイプやスパッツタイプだと金額的に高くなる。あまり消費者に好まれない。布の面積が増えるから。そこで安めの路線として、ローライズ・ショートボクサータイプの商品を一押しにしている。
機能性スポーツアンダーウエアーの普及は大きいと思う。この商品はワコールが有名だが、からだの動きをサポートするためには、結果全部をおおったほうがいい。ピッチリとしたウエアーになる。ある意味裸同然なのだが、これが受けたと思う。世界陸上も世界水泳もワンピースだった時代もある。
結論から言えば、裸に近いような格好でスポーツするのは元々恥ずかしかったのだが、これが競技特性だと諦めていたのが、新素材とその実績で変わって来たと思う。ラグビーなんて多分そうだろう。
強い奴がマッパに近い格好だった時代では、それに従うのがかっこ良かった。しかし今強い奴は身体を布で覆っている。ただしそれでも真っ裸に近い格好ではある。
結局ですな、股間にあるアレが問題なのですよ。後すね毛なり、毛の問題。たぶんコレ。
布の面積が小さくなるとアレがモッコリしたり、毛がはみ出したりするのが元々嫌いだったのが、我慢して来た歴史があると思う。我慢する必要が無くなったから、こうなったのかなと思う。
CNNの記事で、水着に関するものがあった。日本人はかなりブリーフやビキニタイプの水着に厳しいようだ。で、それは当然だろう。私もそう思う。フランス人が寛容だというのは何か面白い。
布が覆う面積が増えるほど、毛の問題は減る。モッコリ問題も減る。ハミチン問題も無くなる。面積が大きくなる事で、目立たなくなると考えるのだろう。
水着のスパッツタイプなのだが、布のカットの仕方によっては実は目立つと言う事がある。
多分ラグビーもサッカーもあの短パンが元々嫌だったのだろう。素材が変わって、強い奴が着だしたら一気に長くなったのだろう。
そしてそれでも恥ずかしいのか、高機能スパッツを履いて更にその上にそのショーツを履いているのもいる。まあ意味があるのだろうが、そこまで来ると少し変に感じる。肉離れしたのかと勘ぐってしまう。
しかしだ、スポーツ用品店に行くと昔の短パンはものの見事にない。短パンというよりショーツと言うべきだろうか。マラソン用だけだろう。後はトレッキング用のが多少ある。トレーニング用とかはほとんどない。
ここまで無くなっていたのかと、改めて知った。
あとは女性の目の問題か。これは大きい。
なお日本人が裸に不寛容になったのは、明治維新以降の話しである。以外と最近の話しだ。
蛇足
夏前にYシャツの下には下着を着てはいけないと言う論争があった。正式なスーツ姿と言うのは、上着を着ている状態が正しいのであって、Yシャツは下着に近いものだ。だから下着の下に下着を着る事になってオカシイと言うものだ。あとYシャツの胸ポケットも同様の理由で付けてはいけないと言う話しだ。ポケットがあるのはカジュアルか特殊な作業用で正式なものではないという。半袖シャツは論外、暑ければ袖をまくれば良い。寒ければベストを着込んだり、コートを着るのだ。
この話しは、鎌倉シャツがニューヨークに進出した時にポケット付きが全然売れなくて、ポケット無しの商品を投入したら売れだしたと言う話しと結びついている。
しかし夏になったらクールビスで、シャツ姿が増える事から、この論争変な方向に行った。汗だくでビチョビチョになったシャツから乳首が透けて見えるのはどうかと言う話しだ。これに対する反論は、そんなに気になるなら乳首にパッチでも張れば良いと言うものだった。するとかぶれるかもしれない、となる。
不毛な議論だった。
結局日本の洋装の歴史は、まだ完璧に消化されていないと言う事なのだろう。本当にどうでも良い事だ。
追記
日本人の男も女も、なんで毛が生えるのが嫌なんだろう。解らない訳でもないが、もう毛がある事を受け入れざるを得ない年齢なので、どうでも良い事と考えている。結構毛の生え方は個性だと思うようになった。汗のかき方に個性があるんだからしょうがない。汗が出る所の毛は太くなる。
毛がなぜ不衛生なのか、全然理解出来ない私でした。