鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.167 (緩和ケアを学ぼう会)

2013-09-03 16:10:42 | 日記
昨晩(9月2日)は、南庄内緩和ケア推進協議会の主催による表記勉強会が行われ
ました。

■事例発表「ALS患者の在宅療養支援の経験」
 ケアプランセンター ふきのとう 菊池麻子 氏

症例:
 65歳、女性、
 H13年 ALSの診断
 H19~23年から、在宅療養。
 H23年5月、呼吸状態悪化してA病院入院
 入院中に在宅での痰吸引が可能な訪問介護事業所や訪問看護、また、ALS
 協会や市、保健所へ相談も、適切な対応が得られないままH23年8月 退院、
 院後1か月後から、精神状態不安定 「死にたい」と訴えるようになり
 夫も介護を負担と感じるようになる

再度喀痰吸引ができるヘルパー体制を調整、
個人契約で痰吸引サービスの利用開始
レスパイト入院先、ショートステイ利用先を調整も、受け入れ困難
さまざまな交渉の末、現在は、A病院で2か月に1回、平日5日間のみ、G病院で3か
月に1回、1週間程度のレスパイとを受け入れてもらっている。

課題:
・痰吸引可能なヘルパー不足
・レスパイト先の不足

荘内病院、丸谷先生のコメント
 関わっている多くの皆さんの苦労を理解する
 荘内病院でレスパイトが難しい理由
  自院の患者だけで手一杯
  ツールを使うが、コミュニケーションをとることへの困難感
  マンパワーが必要
  環境が変わると夜眠れないなど人格が変わることもある
 この事例は、事前の準備があり、比較的楽に受け入れられた
 2-3回と続けるなかで、病院スタッフも慣れてはきている、

佐久間先生(在宅医)
 主治医を探すのにも大変だった
 経過が長いので、介護する側が大変 →介護者へのケアが不可欠
 在宅医療を考える会で、話題にしてからレスパイト先がみつかるなど進展が
 あり良かった

■講義「終末期の意思決定支援を考える とくに高齢者を中心に」
   荘内病院 内科・健和ケアチーム 和泉 典子氏

・終末期医療のあり方と背景~過去の判例
・終末医療に関する言葉の整理
  安楽死、尊厳死
  アドバンス・ケア・プランニング
  リビングウイル・事前指示書
・「人生の最終段階における医療に関する意識調査」結果の概要
・終末期意思決定に関する指針について
・地域と病院で支援した終末期患者の事例

について、分かりやすく、講義頂きました。

まとめとして、

本人・家族と、より早い時期から、今後をどう過ごしたいのかを話し合える信頼
関係を構築し、本人の意思表示が困難になっても、本人の意向を尊重しつつ、家
族だけではなく、医療・ケアチームのメンバーも一緒に代理決定に参加すること
が重要。

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No.166 (行政とのミーティング)

2013-09-03 15:26:42 | 日記
本日(9月2日)昼、行政との定例ミーティングを行いました。
以下、報告します。

1、医療と介護の連携研修会報告

 8月8日、出席者:167名、
 医療職が増えて、出席者数も前回より増加
 研修会後のアンケート結果では、満足度、90%以上、
 多職種、話し合える場、満足度のキーワード
 今回は障害者支援という新しい分野をテーマとして
 反省点
 エコマップにこだわり過ぎたグループもあった
 事例を提示した上で案内をだすべきであった
 なお、懇親会も有用であったが、参加者に懇親会に対するニーズを調査しては

2、地域ケア会議進捗状況

 来年度から本格的に開始予定の地域ケア会議の現状報告

3、レスパイトに関する情報提供

 保健所から、山形県在宅重症難病患者一時入院事業実施要綱について説明
 まだ、実際の実施事例はない
 (意見)
 受け入れ可能医療機関リストアップだけでは、機能しないのでないか
 神経難病患者を地域でどうみていくべきか、ビジョンが必要なのでないか
 愛媛県では、難病コーディネーターを置いて難病患者の在宅支援を行っている

4、東北在宅医療推進フォーラム開催について

 11月23日、東北在宅医療推進フォーラムを鶴岡で開催することになった
 保健所、鶴岡市には、後援をお願いしたい。

5、その他

 地域ケア会議のありかたなどについて、フリーディスカッション


次回:10月7日(月)13:00~

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No.165 (帯状疱疹)

2013-09-03 15:25:36 | 日記
明日8月28日(水)のNHK「あさイチ」は帯状疱疹の特集でした。

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2013/08/28/01.html

解説していた本田先生は、私の2年先輩です。30年以上ウイルスを研究してきた、
日本でもっとたくさんの帯状~単純疱疹を診ている皮膚科医です。

■帯状疱疹のおさらい
 原因ウイルスは、水痘・帯状疱疹ウイルス
 水痘に罹患したときに神経節に潜伏したウィルスが活性化することで発症
 ウイルスは神経節から神経を伝わって表皮細胞へ感染、水疱を主体とした皮膚
 症状を発現
 したがって、皮疹出現3-4日前に痛みで気づくことが多い
 皮膚症状は、1週間程度で痂皮化~潰瘍化し、2-3週間で治癒
 痛みは、個人差が大きいが、多くは1-2週間程度で消退、
 ときに、頑固な神経痛を残すことがことがある
 帯状疱疹は帯状疱疹としてはうつらないが、水痘の感染源にはなる

■トピック
 近年、帯状疱疹患者は増えている(15年前の1.4倍)
  その理由として、水痘患者の減少によりウイルスとの接触機会が減った
  高齢化などが考えられている

 帯状疱疹は、再発することが少なくない
 (私が病院勤務時代は、帯状疱疹は再発しないと習いました)
 (私自身、2回発症しています)

 再発をくりかえす~重症例では、がん、HIV、糖尿病などの検索が必要

 発症しないあるいは重症化予防のためにはワクチンの接種が有効
 (私は経験ありません)

■治療ガイドライン(少し古いですが・・)
 http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/search/guideline2009/09-5.html
  最近は、帯状疱疹後神経痛には、リリカをよく使います。

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