鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.186 (鶴岡市もの忘れ相談医研修会)

2013-09-27 12:24:05 | 日記
昨晩(9月26日)、鶴岡市もの忘れ相談医研修会が行われました。
報告します。

1、開会
会長挨拶要旨

<認知症は超高齢社会の象徴>
 認知症、80歳で3人に一人、90歳では、2人に一人、
 加齢とともに、倍々で増えていく
 脳の老化と考えた方が良い疾患
 超高齢者社会の象徴のような疾患
 認知症への対応は、高齢社会はどうあるべきかを問われている課題でもある

<一人称で考える>
 認知症、ここにいる多くのひとは、私自身もそうだが、
 他人ごと考えているのではないか、
 認知症への対応を考えるとき、歳を重ねればいずれ自分も認知症になる
 そのときに、どう接して欲しいのか、どう対応して欲しいのか、
 一人称で、将来の自分自身の問題として考えることが大事だと思う

<もの忘れ相談医制度>
 鶴岡市のもの忘れ相談医制度は、認知症患者のの医療機関への早期受診を目的
 としたもの。認知症対策のほんの入り口に過ぎないが、それすら十分に機能し
 ていないという現実がある
 
 認知症対策の本丸は、認知症への正しい対応(認知症ケア)の普及にあると考
 えている。認知症で問題となるBPSDは、正しく接することでかなり回避できる
 ことが分かっている。また、認知症では家族支援も重要である。

 もの忘れ相談医制度については、丸谷先生には、ほんとに孤軍奮闘していただ
 いており、心から感謝を申し上げたい。もの忘れ相談医の先生方においても、
 待っているだけではなく、積極的な関わりをお願いしたい。

2、研修1
   座長:荘内病院 丸谷 宏先生

1)もの忘れ相談医の目的と役割 ~地域連携体制の構築:その2~

制度の総論的なお話と今後の展望

2)初期受診支援と患者家族支援について

市および包括支援センターに認知症相談窓口を設置し、認知症に関する相談を受
けつけている。また、認知症等に関する相談情報連絡箋を作成し、医療機関への
情報提供を行っている。
 24年度の実績
  市保健師の相談件数(延):186件
  地域包括支援センターの相談件数:620件
  連絡箋の発行数:11件 ←実態からみれば極めて少ない、前年度比でも減

3)もの忘れ相談医診療状況調査票

もの忘れ相談医がどれだけ機能しているのか、その実態を調査することを目的に
診療状況調査票を作成した。もの忘れ相談医25名+サポート医1名を対象とした
が、提出医師は7名、件数は33件(うち荘内病院が16件)に留まっている。

 今の提出状況で、本制度の実態を把握することは困難

今後はメリットを感じてもらえるよう、認知症診断や連携の手順を分かりやすく
したり、包括支援センターなどへつなぐツールとして活用できるように改訂し、
活用マニュアルも作成した。

4)認知症患者家族教室実施状況

年6回開催
講師は、丸谷先生と保健師
チラシ3000枚を各種施設へ配布
参加者は、30名前後、軽症の方の家族が多い


3.研修2 
   座長:鶴岡病院院長 神田先生

認知症の難しさは、病識がないこと
認知症になるのは当たり前のことと思ってもらうことは大事
薬物療法は限定的

1)長谷川式スケール(HDS-R)の活用と評価
 講師:荘内病院 臨床心理士 柏倉 先生

評価のしかたを丁寧に説明頂いた
トータルの点数(20点以上)が高くても、認知症の場合もある
若年性の場合は、とくに要注意
失行、遂行機能障害、視空間認知の低下の有無までは把握できない
検査を通して態度や回答の仕方にも留意する

かかりつけ医は、時間をおいて観察できるという利点がある

2)認知症と うつ について
 武田医院 武田晶子先生

酒田の山容病院で、相当数の認知症患者を経験したことを通しての、認知症とその周辺疾
患に関する全般的なお話でした。

鶴岡市は、介護保険でも積極的に認知症に取り組んできた
地域性もあるが、鶴岡では比較的対応はできているのはないか
優しい家族が多いという印象がある
認知症でも十分幸せにくらせると感じている

安らかにボケることを家族がお手伝いする
優しく見守る文化が大切なのではないか

3)情報交換
フロアーからのコメント

通院患者が認知症ではないかと感じることも多々あるが、家族との接触に困難感
がある
本制度で地域包括支援センターに繋がれば良い
地域で診ていくことが大事
窓口でいつも1万円を出す、薬の飲み忘れが多い、トラブルが多いなどの患者を
チェックし、ひどい場合は日本海病院へへ紹介することがある
独居高齢者には、デイサービスを進めたりしている
(認知症であることを)家族から知らされて驚くこともある
臭いを残していく患者がいる。認知症だと思うが、家族に伝えるべきか
(認知症だと思っても)見て見ぬふりをしている患者が結構いる

4、閉会

もの忘れ相談医においては、連絡箋、診療状況調査票への協力をよろしくお願い
する。


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