カルテ番号 ら・1(5)
良知和尚は一息ついた。
「おそらく・・・拙僧が最初で最後となるでしょう。
その理由を、これからお話しします。
書には、寺の開祖が寺の最後を予言するところから始まります。
拙僧には、ダイナミックな空海僧正らしい書き方だと思いました。
もっとも、そう思えるようになったのは、僧正を研究してからです。
逆な言い方をすれば、それまでは寺は安泰だということです。
事実、多くの古刹が幾度も災難にあっています。
その多くは火事ですが、特に戦争時の火事が多かったのです。
戦国時代や明治維新、第二次世界大戦の末期。
多くの寺は、大切な御本尊や仏具も取り上げられました。
挙句に空襲で焼けてしまいました。
その他にも、大地震や津波もありました。
一部の修理だけで1100年以上持ちこたえている寺は少ないのです。
まして、青龍寺は名前こそ立派ですが、規模は小さな寺です。
小さいから、戦争時も目こぼしになったのかもしれません。
歴代の住職は、ある意味安心して御務めができたのです。
この寺は、つぶれない、壊れない。
空海僧正のお墨付きですから。
寺の最後には、幾つかの兆候が現れると書かれていました。
代々の住職は、その兆候だけを注意していればよかった」
良知和尚の話す言葉、態度、表情は穏やかだった。
「そして、拙僧の代になり、最近になって、兆候らしき出来事がありました。
兆候は一つではありません」
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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