カルテ番号 わ・9（62）
解放。
それが言葉ではなく、体感できている。
洋子は自由という事を実感している。
自由と幸せがセットだと実感している。
そして自分は明るい世界にいると実感している。
全ては、解放という引き金があったからだ。
今まで、不幸で不自由で何もできないと思い込んでいた。
心は多くの衣や鎧で隠すのが日常だと思っていた。
自分一人の時でも、それらを脱ぐのは不可能だと思っていた。
だから、いつでも心は重かった。
いつでも暗かった。
自然に自分自身が重く、暗いのだと思い込んでいた。
解放は突然だった。
いつ脱いだのかもわからない。
勝手に衣や鎧は消えていた。
明るい場所に動いたのではなく、初めから明るいと気づいた。
裸は、とても軽いと初めて知った。
裸は、とても温かいと知った。
そこは、幸せは心でなく、身体だと知った。
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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