ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

「減蓄」して「臨終力」を磨く

2013年12月26日 | 研究・書籍

実にさっぱりした“葉隠”の現代版のような本でした。
『臨終力』 林望著

著者はさかんに「減蓄」とやらを勧める。この減蓄とは著者の造語。貯蓄の反対語です。60歳までは貯蓄に励む。それも株取引などのあぶく銭ではなく正業を持ってしっかり稼ぐ。そして60歳以降はせっせと減蓄する。貯めた財産を墓場までもっていくわけにはいかない。子どもに資産を残すなら生前に。すべて使い切ったところで死ぬ。

人間の一生は死に様で決まる。死がいつ訪れるかはだれにもわからない。井原西鶴は52歳、松尾芭蕉が51歳で亡くなっているが、すでに人生を悟っていた。

腐るように歳をとるか、発酵するように歳を重ねるか。日々これ戦場の気持ちで生きる。
退職し組織を離れて寂しいと思うな。肩書はすっぱり捨てる。人間関係も縮小する。これ人生の減蓄なり。年賀状も減らす=減蓄。現役時代に交換した名刺も捨てる。親友は多くはいらない。1人か2人いれば十分。大事なものから自分で処分する。遺族は故人の持ち物の価値は分からない。元気なうちに自分で大事なものから処分する。本も売却する。未練を断ち切って。

年頭には遺言を書き家内に公示する。自分の葬式は自分で決める。

読んでいて共感できるところが多く痛快でした。何回か笑ってしまった。私は著者のようには徹底できない。多少未練も残っているし今なお優柔不断なところがある。しかしこれではいけないと思った。林望氏流に「減蓄」して「臨終力」を鍛える!!

今年の締めくくりにはぴったりの良書でした。

  にほんブログ村 雑感

臨終力 (ベスト新書)
林望(元東京芸大助教授)

ベストセラーズ

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする