『データで見る太平洋戦争』(毎日新聞出版:2017年8月発行)を読みました。
著者の高橋昌紀氏は「戦争の死が描き方によって、美しくもなり、醜くくもなる・・抽象的な言葉でなく具体的な数字こそが、真実を語るのではないだろうか」と。
本書は“一億総特攻戦”のリアルを数字で示した。
● 日本の戦没者のうち約140万人は餓死した
● 特攻の命中率は11%、9機に1機
● 戦時中の摂取カロリーは1日1400カロリー
● 14歳の平均身長が6センチ縮んだ
● 大和の建造費は国家予算の4.3%
● 沖縄県の男性(15-44歳)は県内全人口の4.7%に減少
以上は表紙帯に記載されているもの。本文では「鉄は国家なり、日本は米国の9分の1(粗鋼生産量)、発電量は日本347億キロワットVS米国1799億キロワット」など日米の重工業力の圧倒的な差異を示しています。
戦死者230万人はどのように戦死したのか、欲しがらずに勝てたのか、県民4人に1人を死なせた沖縄は捨石だったのか、アジアは一つだったのか・・
具体的な数字(データ)で本書は提起してくれました。こうした視点から戦争に向き合った本は余り記憶がありません。長く蔵書にしておきたい良い本です。
戦争数字さんに応えた投票を
22日に迫った衆議院選挙。安保法制や憲法が問われています。「戦後70年、さらには72年を迎えた。無名兵士たちはもはや、直接に声を上げることが難しくなりつつある。ならばこそ、残された数字たちの証言を聞いて欲しい」(著者)。
先の大戦から示された数字たちの声をしっかり聞き留め投票行動につなげたいと思います。
【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔
データで見る太平洋戦争 「日本の失敗」の真実 | |
高橋昌紀 | |
毎日新聞出版 |
カラーフィルムで見る第二次世界大戦