
(実際のマリア・カラス)
映画『永遠のマリア・カラス』
先夜、テレビのチャンネルを操作していて、番組欄で『永遠のマリア・カラス』という映画が、今
始まったばかりである事を知った。
伝説のオペラ歌手:マリア・カラスの名は、これまでに幾度となくメディア等で見聞していたもの
の、私自身さしてオペラに関心がある訳でもなく、これまで無関心に通り過ぎていたのですが、
『永遠の・・・』と言うタイトルに何んとなく魅かれ、後学のためにもと鑑賞する気になった。
この映画はカラスのオペラ界における、全盛の頃のドキュメンタリー映画ではなく、日本公演の
失敗を切っ掛けに、歌えなくなったカラスの隠遁生活、そして再起へのプロセスを、カラスと親交
のあったこの映画の監督が、もしこんな時カラスであれば、こうあっただろうと思い描きながら、
フィクションで綴り制作した映画と言うことであった。
(あらすじを少し)
舞台はパリ、プロデューサーのラリー(ジェレミー・アイアンズ)は、過去の栄光にとらわれて、アパ
ルトマンで人とも出会わない様な隠遁生活を送っているカラス(ファニー・アルダン)を復帰させ、
シネマ・オペラ「カルメン」の制作に乗り出そうとする。
今は歌えなくなったカラスに、全盛期の高く美しく伸びやかで広がりのある歌声を、今のカラス
の映像に吹き込むという手法(口パク)があることを彼女に説得し、一度は一蹴されたものの、
何とか撮影にとりかかるのだが・・・・芸術に対して真正面から真摯に生きたきたカラスは、夜毎
全盛期の歌声をレコードで聴きながら、小さな声で歌い失なわっれたしまったたかつて歌声に、
涙を流す。
映画の撮影の中で、「もう一度、ものを作る喜びを取り戻した」と、喜ぶカラスであったが「やっぱ
り、このカルメンは贋物よ。」と心の中で葛藤する。・・・。出来あがった映画の試写会の席で、カ
ラスは、とうとうスクリーンの自分を見ることが出来ず俯いてただただ涙を流す・・・・・・(こんな映
画は、芸術に対する冒涜であるとして、いたたまれないカラス)・・・・カラスはこの映画の公開に
先駆けて、ラリーに心情(公開に対する)を語るのだが・・・・・・
この映画は、カラスが亡くなる前の数ヶ月間を、仲間の支えを得て、過去のの栄光を取り戻そうと
奮闘するという設定で、芸術に対する情熱と孤独を描いている。
劇中の歌声はカラスのものを使い、主演は、「愛と悲しみのボレロ」のファニー・アルダンが、天才
歌姫と、一人の人間としてのカラスを見事に演じ切っている。
※印マリア・カラス(53歳)はこの映画撮影後1年後には天国に召されている。
私は、この映画鑑賞を機に、「オペラ界の至宝」「たぐいまれない伝説のディーバァ(歌姫)」の歌を
聴いて見ようと言う気持ちが湧いてきた。