映画「ナイロビの蜂」は、2006年に本邦公開の社会派映画す。 この女優・レイチェル・ワイズがアカデミー助演女優賞を受賞した、イギリス映画と言う事で、これは観なければとレンタルして来ました。 『ナイロビの蜂』の舞台は東アフリカのケニア共和国、その灼熱のアフリカの大地ナイロビで、イギリスの高等弁務官・ジャステン(レイフ・ファインズ)の妻・テッサ(レイチェル・ワイズ)が、美しい湖トゥルカナ湖の岸辺で、無残な死体で見つかるという、冒頭の衝撃的なシーンから物語は展開していくのでした。 ?彼女はなぜ、死ななければならなかったのか? それはテッサが、不正には絶対屈しない正義と、真実を追い求める人だからである。 テッサの死後、夫・ジャステンは命をかけて、愛する妻テッサの死の謎を追い求めるのであった。 テッサとの愛の軌跡(回想)を辿りながら、製薬会社と結託、癒着したケニヤ政府やイギリス政府高官の、現地の女、子供を私欲のために、命を踏みにじると言う、巨大な陰謀に立ち向かっていく過程を辿って行きます。
ケニアにイギリスの高等弁務官として赴任したジャスティンには妻のテッサも同行していた。 物静かなジャスティンと意思の強い勝気なテッサとは、対照的な性格であったがお互いに深く愛し合っていた。 テッサは、ナイロビでも、毎日のようにケニア人医師と共に現地を歩きまわり、ナイロビの人々の支援活動に取り組んでいた。
一方、ジャスティンは彼女のそんな活動を見守っていたが、支援活動の仕事に忙しいテッサとの生活には微妙なずれを感じ始めていた。 そんな矢先、ある日テッサが事故死したとの知らせがジャステンのもとに飛び込んで来る。 トゥルカナ湖での自動車事故で死んだというのだ。 ジャスティンは、その直後に自宅を訪れた現地警察がテッサのパソコンや、書類一式を全て押収していったということを知る。 それを知った彼は、生前の彼女の行動の回想から、彼女に何か秘密があったのではないかと思い始めるのだった。 ?テッサの秘密は何だったのか? そこには、思いもよらない陰謀がうごめいていたのだ。 ジャステンが調査を進めて行くうちに、現地政府、イギリス政府高官と製薬会社による、ナイロビの女子供を犠牲にした新薬の治験に絡む深い闇(陰謀)が、次第に明らかになって行くのだった。 巨大な陰謀を暴いたジャステンは、その陰謀を告発する手紙を人に託し、テッサの最後の地となったトゥルカナ湖へと向かうのでした。。。。。 一面白と赤茶けた大地と緑青色の湖。。。。。テッサのもとへ。。。。。テッサに会うために自ら死を待つジャスティンに、照りつける灼熱の太陽。 そこには心に焼きつけられる切なくも美しい情景が広がっています。
テッサは謀殺され、そしてジャスティンは、自ら殺される途を選ぶという悲惨なラストであるが、そこはジャステンには愛するテッサとの愛の軌跡を辿る地の果てだったのです。 ジャステンとテッサの真実の追及によって、製薬会社スリービーズ社の巨大な不正が告発される結果になったのです。
『ナイロビの蜂』~蜂のひと刺しは、場合によっては刺された者を死に至らしめてしまうけれども、刺した蜂はその後で、死んでしまう。 その蜂のごとく、テッサは命を投げ出してスリービーズ社の不正を告発しようとしました。 しかし、テッサが死んでも、疑惑の針は抜けず、ついにジャスティンによって陰謀は暴かれました。
振り返って見れば、テッサは陰謀を知れば知るほど、イギリス政府の高等弁務官であるジャステンを守るためには、不正な事実を夫に告げることが出来なかったのです。 テッサが不正を追及したのは「正義」とジャステンへの愛のため。 そしてジャスティンがその遺志を継いだのも、テッサへの愛のため。 それは、ジャステンがいつしか見失っていた彼女の心の軌跡をたどる、テッサへの贖罪の旅路ではなかったでしょうか。
とてもいいお勧めの映画です。
イルディーヴオ