五ヶ山ダムの試験湛水がはじまって、まもなく10ヶ月を迎えようとしている。7月31日には、九州北部豪雨の被災地でふたたび豪雨が発生していたが、五ヶ山でもまとまった雨が降ったのだろうか、翌日8月1日、福岡県の水位データが更新されていた。それで気になり、現地へ行ってみることにした。
前回の視察から3ヶ月半、幾分水位は上がっていたが、思ったほどではなかった。福岡県のデータを調べてみると、この2ヶ月間で2m程上昇しているが、梅雨時期にしてこの数量。多いのか少ないのかわからないが、すぐ下にある南畑ダムでは、かなり水位が下がっていた。いつもは水の中にある部分が露出し、雑草が生えていた。今年の梅雨は少雨だったが、やはり五ヶ山も例外ではなかったのだろう。
この日、午前10時頃の五ヶ山(標高400m付近)の気温は30度。福岡市内との気温差は3度に満たなかった。今はダムの底になってしまったが、かつて大野地区や小川内地区に入ると、空気はひんやりとしていた。ところが今は熱風が漂っている。五ヶ山中央部の山々が削られ、太陽を遮るものがなくなってしまったのだから無理もないと思うが、おそらくダム湖が巨大な温水プールのようになっているからではないだろうか。いずれにせよ、山間部の温暖化が進んでいるのは間違いない。
来年、ダム周辺にはいくつもの観光施設ができる。その一つ、オートキャンプ場が予定されている場所では、7月の豪雨で起きたのか法面が崩れていた。背振山系は脆い花崗岩でできており、大雨が降れば土砂崩れが起きやすい。39年前の福岡市の水不足を理由にしてつくられた五ヶ山ダムだが、本当にダムは必要だったのか。九州北部豪雨で崩壊した山や流木を目の当たりにし、改めてその思いが蘇る。
撮影日:2017.8.1
果てしなく広がる
水質観測装置がいくつも浮かぶ
試験湛水目標水位(サーチャージ水位)まであと27.9m
不自然な風景
ビオトープには水草が生えて
端まで行きわたる
水没した小川内地区
建設中のビオトープ公園(写真右) どれだけつくればいい?
川は生きている
その先にあるのはダム湖、、
山を削ってつくられた法面に土砂崩れの跡(昨年も起きていた) この上にオートキャンプ場ができる
オートキャンプ場予定地 工事は進んでいない
《関連資料》
・那珂川町HP。五ヶ山ダム水源地域公園等整備基本計画書
・福岡県HP。五ヶ山ダム建設事務所