福岡市政の課題。今回は社会保障問題。人口増加率は政令市トップという福岡市。当然、児童数も増えているわけで、今年4月1日現在、保育所に入れない待機児童数は89人、希望の保育所に入るために順番を待っている児童数を含めた「未入所児童」は過去最高の1812人に上っている。(下図参照)待機児童の解消は、喫緊の課題となっている。
福岡市は、高島市長就任後の6年間で1万人分の保育所を整備したが、焼け石に水。来春までに2500人分の受け皿を整備する。これに伴い新たに約360人の保育士が必要となる。そこで、市は、保育士確保のため今年10月から市内で勤務する保育士を対象に上限1万円の家賃を4年間補助する制度を始めた。しかし、私立の認可保育園に務める保育士の43%を占めるといわれる非正規雇用者は対象外だという。格差はこういうところにも出ているようだが、これでは保育士の流出は止められないのではないか。
ところで、今年4月、高島市長は特区による規制緩和で公園内(博多区中比恵)に保育所を設置できたと誇らしげに話していた。しかし、その裏で市立幼稚園の全廃を決めている。福岡市には市立幼稚園が8つあるが、そのうち6つが来年4月に、残る2つが再来年4月に廃園となる。それも市民の声を無視してのこと。親御さんの悲痛な声が聞こえてきそうだが、このような暴挙は初めてではない。こども病院や中央保育園の移転に際しても、市民の声をまともに聞こうとしない高島市長にどれほどの市民が悔し涙を流したことか。
お年寄りに対しても同じようなことが言えるが、これまで高島市長が打ち出した高齢者向け施策は、何があるだろうか。それこそ今年正月明けに「配る福祉から支える福祉へ転換します」とアナウンサーのような口調で話していたことが記憶にあるくらいだ。取り組みとして、今年2月、買い物に行けないお年寄りをスーパーに送迎するモデル事業が東区で始まった。今後、他の地域でも広げるらしいが、高齢者に向けた施策は、おそらくこれが初めてではないだろうか。それくらいに記憶がない。
福岡市の資料を見ると、今年3月末現在、福岡市の人口約152万人に対し65歳以上の高齢者は約32万人と約2割を占め、平成32年には約37万人と推測されている。高齢者人口の推移を見ると、ここ数年で高齢化が進んでいることがわかる。しかも、半数が75歳以上の超高齢者である。(下表参照)まさに超高齢化社会への対応は待ったなしの状態。”特区”に現を抜かしている場合ではないだろう。
西日本新聞2017年12月1日朝刊より
福岡市資料より
福岡市資料より
福岡市資料より