昨夜のNHK福岡ニュースによると、福岡市は明日(23日)夜から陥没事故現場の工事を再開させるという。どうやら市は、21日から現場周辺の住民のみに説明を行っていたようで、それが終了したところで工事再開と決めていたようだ。先程、交通局のホームページに「地下鉄七隈線延伸建設工事の地盤改良工事の着手について」がアップされた。それによると、明日は午後9時に工事を開始するという。
今月11日、交通局のホームページに「地下鉄七隈線延伸工事における道路陥没箇所の今後の工事の進め方について」が掲載された。今後の工事の進め方について、市民にわかりやすく伝えるために資料をまとめたというものだが、一方的に専門的な内容を図式化されても素人には分かりにくいだろう。ましてや交通局のホームページをこまめにチェックする人などそう多くはいないだろうし、ネット環境にない人もいるだろう。これで市民に説明したつもりでいるとしたら、お門違いというものだろう。
さらに、陥没事故に伴う事業費の増加分は138億円で、総事業費は587億円に上る。これについても、きちんと市民に説明する責任があるだろう。もともとは我々の血税なのだから。今月12日に開会した12月議会の常任委員会(19日)では、七隈線延伸区間の開業を最長2年延期することや事業費増加分についての説明があったようだが、福岡市では委員会のインターネット中継が行われていないので、市民がそれらの内容を確認することはできない。(ちなみに、議事録の公表には2~3か月かかる上、発言者名は△や〇で記載されるので誰が何を言ったかわからない)報道によると、議員からは「誰も責任を取らないで幕引きか」との批判もあったという。
そんな中、福岡市の市民団体「市民の安全・安心を考える会」は19日、「博多駅前陥没事故についての市民に対する説明会を実施することを求める請願」を議会へ提出した。(下参照)福岡市と交通局に対し、建設技術専門委員会や施工者とともに、陥没事故の原因や現状、今後の対策など広く市民に説明し、多くの人々の安全を確保するために説明会を実施するよう求めている。
陥没事故は多くの市民が利用する道路で起きた。死者が出なかったのは運が良かったというよりほかない。それゆえ、工事を再開する前に現場周辺住民に限らず、広く市民に説明をするのは当然のことだろう。福岡市の無責任な体質は相変わらずだが、二度とこのような事故が起きないようにとの思いで、請願に署名をした。まずは、今後の福岡市の動向を注視していきたい。
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・地下鉄23日にも工事再開へ(NHK福岡ニュース 2017.12.21)
・博多陥没処分者ゼロ? 福岡市 識者「法的責任は問えず」(西日本新聞 2017.12.20)
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