脊振山系で風力発電計画を進めている大和エネルギー(大阪市)は14日、事業実施区域を絞り込んだ「方法書」を公表した。それによると、発電機設置場所を含む区域から糸島市側の全エリアを除外(事業区域522haから353haに変更)して、2024年度に着工、26年度の発電・売電開始を目指すとしている。22日からは、唐津市、佐賀市、糸島市の3ヵ所で住民説明会の開催を予定している。
いや、どういう「方法書」を出してくるのかと思っていたら、糸島市を除外した計画に切り替えてきた。昨年7月に公表した「配慮書」には、発電機設置場所として糸島市も含んでいた。ところが、糸島市民から景観を破壊するなど反対の声が多く上がったものだから、そこを除外したというわけだ。どれどれと設置図を見ると、県境ぎりぎりのところに発電機が見事に並んでいる。除外したというのは、つまり、厄介な自治体の行政手続きを不要にしたということに他ならない。計画遂行のための策である。(悪い言い方をすれば、口封じ)
事業実施区域は脊振北山県立自然公園である。大胆不敵にも、そこに10機も発電機を設置しようというのだから、信じられない。しかも、7機は脊振山自然歩道沿いに予定されており、「第3種特別地域」に入る。そのため、設置には佐賀県知事の許可が必要になる。このような事業が簡単に許可されてはならないと思うが、地元住民(唐津市)から反対意見が出ないとなると、話はトントン拍子で進む恐れもある。そうなる前に何とかしなくてはならない。できるものなら、住民説明会に参加して意見したいところだがそれもできない。こうなったら、もう一度、意見書を出すしかない。
風力発電機の設置計画図(以下、資料は大和エネルギー方法書より)※リンクは縦覧期間中のみ(1月14日~2月15日)
県境すれすれのところに並ぶ発電機 美しい山容の女岳が悲惨なことに 茶色のラインは県境、これに沿って登山道がある
重要な自然環境その1
すべて脊振北山県立自然公園の中 うち7機は第3種特別地域 緑色内のメッシュ部分は「浮嶽」の美しい自然林があるところ
重要な自然環境その2
すべて土砂流出防備保安林の中 ここに約159mの発電機を設置するとどういうことになるか それでなくとも、ここ数年、脊振山地では豪雨による土砂崩壊が多発しているというのに、、
※土砂流出防備保安林とは、下流に重要な保全対象がある地域で土砂流出の著しい地域や崩壊、流出のおそれがある区域に、林木及び地表植生などの作用によって、林地の表面侵食や崩壊による土砂の流出を防止するもの。
地質図
地質は脆弱な花崗閃緑岩 おまけに断層も 自然を甘く見ているとトンでもないことに、、
人と自然のふれあいの場
糸島市側には自然とふれあう場所も多く、人への影響も大きい
~ 脊振の山を自然を愛する皆さん、意見をドシドシ送りましょう! ~
(仮称)DREAM Wind 佐賀唐津風力発電事業環境影響評価方法書の縦覧並びに住民説明会の実施について(2021.1.14)
《関連記事》
・区域から糸島市除外 脊振山系西側風力発電所計画 住民説明会予定(西日本新聞 2021.1.15)
《参考資料》
・林野庁