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【令和2年7月豪雨】熊本、大分被害甚大〜今もなお大雨警戒(7月12日更新) 

2020-07-10 22:12:12 | 災害

祈りは届かなかった。4日未明からの大雨は、九州全域で甚大な被害をもたらした。一体、どこから書き始めてよいのかわからないほど、被害は大規模かつ広範囲にわたっている。中でも、熊本県球磨村や人吉市、芦北町では球磨川の氾濫により多くの犠牲者が出た。さらに、大分県では、玖珠川や杖立川の氾濫により、観光で有名な天ヶ瀬温泉や杖立温泉で大きな被害が出ている。福岡県では大牟田市や久留米市で内水氾濫による浸水被害が出ている。10日現在、死者は66人。うち九州は63人(熊本県60人、福岡県2人、大分県1人)、九州以外は3人(愛媛県2人、静岡県1人)、行方不明者は16人にのぼる。(12日現在、九州の死者は66人/熊本県62人、福岡県2人、大分県1人、長崎県1人)

4日5時すぎ、嫌な予感がして目が覚めた。国交省の河川防災情報を見ると、熊本県球磨村や芦北あたりで1時間に70ミリ近い大雨になっていた。そして、河川カメラを見た瞬間、「あっ」と声が出た。球磨川が氾濫し、海のようになっていた。5時半ごろ、ツイッターに画像を発信したが、メディア第一報は、それから1時間程後のことだった。国交省のデータを見ると、雨は4日午前2時頃から強くなり、午前4時頃から川の水位が急上昇していた。その要因は、球磨川の流域の地形にあった。

河川工学が専門の九州大学島谷教授は、「球磨川は上流部の人吉盆地では比較的川幅が広いが、球磨村の『渡』の周辺で山と山に挟まれた谷底平野という地形に変わり、川幅も急に狭くなる。このため球磨村などがある中流部は、雨が降ると急に水位が上がりやすい場所だ」と。まさに、その場所が氾濫しはじめたところを見た。

4日未明からの大雨について、気象庁は、暖かく湿った空気が梅雨前線に向かって流れ込むことで発生した積乱雲が、前線上の低気圧によってさらに発達し、線状降水帯となったことが主な要因だとしている。九州北部豪雨以降、毎年のように線状降水帯は発生しているが、これを予測する技術は今のところないと言われている。そうした中で、気象庁が大雨特別警報を出したのは、4日午前4時50分だった。

どうしてこんなにいつも発表が遅いのか。気象庁によると、警報を出す目安は、48時間または3時間の予想雨量と土壌にたまる水分が「50年に一度の値」を超えた場合という。だが、それを待っている間に災害は発生している。むしろ、特別警報は避難行動の足かせになっているのではないか。

翌5日、雨は小康状態となっていたが、6日からふたたび雨は九州を襲った。この時、山口に居たが、7日明け方5時半頃、目が覚めて、河川防災情報を見ると、今度は大分県九重町で大雨になっていた。玖珠川が心配になり、河川カメラを見ると午前6時すぎ、玖珠町付近で氾濫寸前になっていた。午前7時頃には、中流部の天ヶ瀬で濁流が橋に押し寄せていた。報道によると、「新天瀬橋」が午前8時頃に流されていた。わずか1時間後のことだった。コロナ禍の中、温泉街を襲った豪雨に言葉もないが、人的被害はなかったのは何よりだった。

昨夕(9日)、山口からの帰路、高速道で被災地へ向かう救急車両(徳島県日赤病院や島根県DMAT)を見かけた。こういう光景を見たのは熊本地震以来だが、何ともやるせない気持ちになった。こうして多くの人が人命救助にあたっている中、ふたたび九州に大雨警報が出た。今夜から12日かけて大雨になるという。被災地では二次災害の恐れもある。今はただ、大雨にならないことを祈るしかない。

 

福岡県内の状況については、次項で。

 

下の写真は、国交省川防災情報の河川カメラ画像を保存しておいたものです。( )はキャプチャー時間です。

 

【球磨川】7月4日

漆口川(奥)と球磨川(手前)の合流地点 まるで海のように、、(7月4日午前5時半頃) 

 

 

こちらは平常時 大瀬橋から見たところ(Google mapより)

 

 

 

渡地区 すでに氾濫がはじまっていたが、まだ電気は付いていた (4日午前5時半頃)

 

 

 

 

球磨川で浸水が最も深かったのは渡地区(紫丸)で、深さは8~9メートルほどに達している(国土地理院より)

 

 

 

 

人吉ICを降りて右に見える人吉橋 氾濫寸前だった(4日午前6時頃)

 

 

 

 

この時間、多くの場所で氾濫が発生していた(4日午前6時半頃)

 

こちらは平常時 同位置から見たところ(Google mapより)

 

 

【玖珠川】7月7日

玖珠IC近く すでに氾濫危険水位を超えていた(7日6時20分)

 

 

 

 

天ヶ瀬温泉郷 この約1時間後、上流にある「新天瀬橋」が流された(7日6時40分)

 

 

 

今回の豪雨について、気象庁は9日、九州や岐阜、長野など広い範囲で大きな被害が出ているとして、「令和2年7月豪雨」と名付けた。まだ大雨が続いて被害の全容が見えない中での決定は異例だ。豪雨に名称が付いたのは「平成30年7月豪雨」(俗称:西日本豪雨)以来となるが、(俗称は)やはり九州豪雨だろう。

 

 

《関連記事》

「数十年に一度」の大雨、7年で16回 温暖化で特別警報多発(西日本新聞 2020.7.12)

球磨川 専門家「川幅狭まる場所で水位上昇」( NHKニュース 2020.7.4)

熊本 球磨川氾濫 浸水は8~9mの深さに達したか 国土地理院 (NHKニュース 2020.7.4)

 

《参考記事》

西日本新聞 九州の豪雨 ※随時更新中

NHK大雨情報 ※随時更新中 

 

《参考資料》

国交省 川の河川防災情報

 


福岡県内ダム貯水率ほぼ100%~梅雨末期の大雨に警戒

2020-07-03 16:53:30 | 災害

先月末からの大雨では、鹿児島県や高知県、静岡県などで1時間に50ミリを超えるところもあったが、幸なことに大きな災害に至ることもなく、胸をなでおろしていたのも束の間、今夜からふたたび梅雨前線が北上、九州や四国では非常に激しい雨が降るところもあるという。今週末から来週にかけて、梅雨末期の大雨に警戒が必要だ。そこで気がかりなのが、ダムの状況。

というのも、梅雨末期の大雨を前にして、福岡県内の主要18ダムのほとんどが満水に近い状態だからである。7月3日現在の平均貯水率は96.2%、平年と比べて約14%、昨年と比べると約60%も多い。昨年は、前年からの少雨の影響で、どのダムも空っぽに近い状態だった。中でも、南畑ダムは平成渇水以来の渇水状態となり、緊急措置として試験湛水中の五ケ山ダムの水が4カ月近く放流され、水は福岡市民の水道用水として活用された。その後、梅雨末期の大雨で一気にダムは満水状態となった。図らずも渇水だったことで命拾いをした。

ところが、今年は一転。年明けから春にかけて雨が多かったこともあり、梅雨入前(6月11日)、すでに貯水率は90%近くに上っていた。梅雨に入ってからは徐々に水位が上昇し、現在、県内18ダムのうち7ダムが100%となっている。その一つ脊振ダムは、今後の大雨に備えてか、五ケ山ダムへの放流量が多くなっている。ちなみに、五ケ山ダムは、平常時最高水位(407.1m)を3~4m下回る程度で維持され、その下にある南畑ダムは、洪水調節容量を確保するため、平常時最高水位(268.6m)を1mほど下回る程度で維持されている。

果たして、これで大丈夫なのか。昨年は、空っぽだったから助かったが、今年は脊振、五ケ山、南畑ダムすべてが満タンだ。西日本豪雨のような雨が降れば、下流域の浸水は免れないのではないか。(想像したくはないが)このところ想像を超える災害がいくつも発生しているだけに不安になる。ダム下流域(那珂川流域というかすぐそば)に住むものとしては、何事もないことを祈るばかり。

 

福岡県主要ダム貯水状況(福岡県HPより)

7月3日現在の貯水率96.2% ほぼ高止まり状態 (赤色が今年、青色が昨年)  

 

 

こちらは、梅雨入りが発表された6月11日の貯水率87.4%

 

 

 

同時期の平均貯水率より14%、昨年より60%も多い  これがどう影響することになるのか、、

 

 

 

五ケ山ダムの状況

平常時満水位まで約3mのところ

 

 

こちらは南畑ダム、平常時満水位まで約1mのところ

 

 

 

今夜の雨雲の予想 九州南部がふたたび大雨に(tenki.jpより)

 

 

 

 

来週は警戒モード 災害への備えを!  (tenki.jpより)

 

 

 

《関連記事》

九州 梅雨前線活発 来週にかけて梅雨末期の大雨に警戒を(tenki.jp 2020.7.3)

 

《参考資料》

福岡県河川防災情報

気象庁・台風や大雨に関する最新の防災気象情報