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鮭を獲るか金を掘るか、アラスカで対立

2012-11-20 | 先住民族関連
National Geographic News November 19, 2012
 アメリカ、アラスカ州南岸の都市アンカレッジから南西へ400キロほど移動すると、サケが回帰する河川域が約10万平方キロに渡って広がっている。夏の数週間、ブリストル湾には、海で成長した3000万~4000万匹のベニザケが戻り、5つの河川を駆け上がって太古の昔から繰り返されている生命の再生をまっとうする。しかし近年、アラスカ最大のイリアムナ湖から北へ数キロ、サケが産卵する河川上流部に世界最大級の鉱床が見つかり、「サケをとるか、黄金をとるか」の大論争が巻き起こっている。新発見の鉱床には、約3600万トン銅と約3000トンの金が眠っているという。
 合名会社「ペブル」を設立したノーザン・ダイナスティ・ミネラルズ社(カナダ)とアングロ・アメリカン社(イギリス)は、現地で大規模な開発を行う予定だ。幅3キロ、深さ500メートル程度の露天掘り、同規模の地下採掘、鉱石を砕いて金属を含む精鉱と廃石(尾鉱)に選別する工場、廃石をためておく廃石池などがプランに示されているが、野生動物やその生息地に深刻な被害はないと主張している。
 反対派は、先住民団体や漁業者、村議会、地元住民、アウトドア用品メーカー、自然保護団体などが大同団結。経済的利益より環境保護の方がはるかに重要で、開発が進めばサケへの影響が計り知れないと訴えている。
 両陣営はこれまで、請願活動や法案提出、訴訟、広報などさまざまな活動を行ってきたが、対立はようやく最終局面に入ったようだ。少なくとも、アラスカ州経済の行方を左右する資源開発論争はターニング・ポイントを迎えている。
◆州から国へ
 2012年5月、アメリカ環境保護庁(EPA)は、ブリストル湾流域圏の鉱山開発に関する環境影響評価書(草稿)を公開。少なく見積もっても、原始のまま残る河川が90キロから140キロにわたり破壊され、周辺の湿地約1000ヘクタールも失われる可能性があるという。最も懸念されるのは廃石池の決壊だ。酸性水や重金属がサケの産卵場所に流れ込み、回復不能なダメージを被ることになる。
 アラスカ州当局やペブル社はこの内容を直ちに否定。非難の的になったEPAでは、この件に関するパブリック・コメントを募集した後、さらに環境評価プロセスの妥当性を確保するため、利害関係のない科学者12人から成る評価委員会を設置。11月9日に公開された報告書は、おおむね、EPAの環境評価の信頼性を裏付ける内容だった。ある委員は、「長期の開発を考えれば、これでも過小評価かもしれない」と論じている。
「鉱山開発にはリスクが付きもの。委員会の報告書が出たところで、プロジェクトが必ず中止になるわけではない」と、元アラスカ州議会上院議員(共和党)のリック・ハルフォード(Rick Halford)氏は言う。筋金入りの開発推進派だった同氏は、議員引退後に姿勢を180度転換、現在は北米のサケ・マス類の漁場と流域の環境保護を目的とする団体「トラウト・アンリミテッド(Trout Unlimited)」などと協力して、プロジェクト中止に尽力している。「現行プランでの開発はかなり難しくなったのではないか」とも話している。
Edwin Dobb for National Geographic News
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20121119001&expand#title

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音楽と影絵によるアイヌの神話世界、音楽演奏にOKI、マレウレウら

2012-11-20 | アイヌ民族関連
CINRA.NET 2012/11/19 19:38
音楽と影絵によるプロジェクト『アイヌ影絵プロジェクト 2012 ポロ・オイナ~超人アイヌラックル伝~<完全版>』が、11月24日に東京・吾妻橋のアサヒ・アートスクエアで上演される。
同公演は、アイヌの神話を題材にした物語を、大きなスクリーンに映し出される影絵と、アイヌ音楽のライブ演奏によって描くもの。完全版と銘打つ今回は、昨年行われたプレ公演を発展させた内容になる。
影絵パフォーマンスを担当するのは、バリ島の伝統芸能をもとにした活動を展開しているグループ「ウロツテノヤ子」の影絵に特化したユニット「ウロツテノヤ子バヤンガンズ」、影絵演出はアメリカの影絵演出家ラリー・リードのプロダクション「ShadowLight Productions」が務める。また、演奏者にはストーリー原案やキャラクター原案も手掛けたOKIをはじめ、MAREWREW、川村亘平斎が名を連ねている。構成と脚本は小谷野哲郎(ウロツテノヤ子)が担当。チケットは現在発売中だ。
なお、同プロジェクトから生まれたiPhoneケース『アイヌラックル』と『モンスター』が、CINTA.STOREで本日11月19日から販売されている。
『アイヌ影絵プロジェクト 2012 ポロ・オイナ~超人アイヌラックル伝~<完全版>』
2012年11月24日(土)OPEN 18:30 / START 19:30
2012年11月25日(日)OPEN 16:00 / START 17:00
会場:東京都 吾妻橋 アサヒ・アートスクエア
影絵演出:ラリー・リード
ストーリー原案:OKI
構成・脚本:小谷野哲郎
影絵デザイン:OKI、川村亘平斎
音楽:OKI、MAREWREW、川村亘平斎
影絵パフォーマンス:ウロツテノヤ子バヤンガンズ(小谷野哲郎、川村亘平斎、山岸テムペイ、上原亜季)
料金:全席自由 予約3,500円 当日4,000円
http://www.cinra.net/news/2012/11/19/193825.php

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遺跡発掘、アイヌ民族と共に 加藤博文教授

2012-11-20 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2012年11月17日
●北海道大学アイヌ・先住民研究センター 加藤博文教授(46)=パブリック考古学
 「過去(歴史)は誰のものか」――。遺跡のある地域社会や、歴史文化遺産を受け継ぐ先住民族との関係を重んじ、積極的に研究成果を還元しようとする「パブリック(公共)考古学」を提唱する。
 2011年夏から礼文島北部の遺跡で、7年間にわたる国際的な発掘調査に携わっている。目的は、約1400年前に、北からやって来た海洋民族(オホーツク人)の研究だ。
 調査に先立ち、発掘予定地では北海道アイヌ協会のメンバーにより、遺跡に眠る祖先の霊に祈りを捧げる儀式・カムイノミが行われた。儀式は、祖先の遺骨が埋まっているかもしれない土地を掘り起こすことに許しを請うものだった。さらに、後日、北大で開かれた一連のシンポジウムなどにもアイヌ民族代表を招き、成果を報告したり、意見を交わしたりした。
 道内の遺跡発掘で、事前にアイヌ民族の儀礼を行うことは珍しくない。
 しかし今回の国際的な調査では、さらに踏み込んで同協会と「研究にアイヌ民族を参加させ、アイヌ民族の歴史についての研究成果を、アイヌ民族全体と日本社会に普及させる」ことなどを約束した協定を結んだ。「北海道の考古学者は、誰の歴史を調査しているのか、その成果を誰が求めているのか、誰のための歴史を構築するのかを自覚する必要がある」と考えるからだ。
 先住民族への敬意と共に、地域社会との関係も大切だ。同島では、小中高校生を発掘現場に招いたり、郷土博物館の展示充実に協力したりする予定だ。今春、考古学博士号を持つ岡田真弓さん(30)をセンター研究員に迎え、「パブリック考古学」の考え方をより効果的に展開しながら、これらのプログラムのさらなる充実を図っている。
 北海道の先住民族の歴史文化遺産の保護には、本州中心の、いわゆる「日本文化」の基準や価値観とは別の尺度が必要だと考える。だから北海道こそ、歴史文化遺産の評価や保存管理・利用についての多様な視点や手法を議論する場にふさわしい、とも。
 夕張市生まれ。筑波大、島根県立大を経て2001年に北大へ。猿払村の旧日本軍の飛行場跡地周辺で、日韓合同で行われた朝鮮人労働者の遺骨発掘作業にも参加した。過去を掘り起こしながら、現在に向き合う姿勢は変わらない。(宮永敏明)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000491211190001

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