火星への道

有人火星探査の実現を夢見て!火星ミッションの情報を提供しています。

surfing on the Mars atmosphere

2012-07-21 22:13:49 | MSL

EDLが迫っていますので、おさらいをしておきたいと思います。
CuriosityのEDL(Entry, Descent, and Landing)は、コンピューターによる自動制御によって行われます。
下記の時間は、実際に行われる場合ある程度の幅を取っていますので、あくまでも目安としてください。)

MSL Landing PressKitによりますとEntryの10分前にCruiseStageの切り離しによってEntryStageに入ります。
Entryから着陸まで約7分といわれています。そして、着陸の時間は、8月6日14時31分JSTですので、14時14分JSTにEntryStageに入る予定となります。
この時点でMEDLIが作動開始。(MEDLI:Curiosityが火星大気圏突入後に受ける熱と圧力を測定します。)
(以下、時間はJSTにて。)

14時15分にスラスターを噴かしてCuriosityの回転を止めます。

Entryの前にheat shield面を進行方向へ向け、CruseStageでのバランスをとっていた錘を2個(各75kg)捨てます。

14時24分 Entry、Galeクレーター内の目的地を正確に目指すために、姿勢と速度を調節して火星大気へ突入します。  
突入速度は、5.9km/秒となっています。東京-大阪間を1分チョットで移動するスピードです。
*因みに、地球大気圏への主要な突入速度は、下記の通りです。
  はやぶさが12km/秒、アポロ宇宙船が11km/秒、スペースシャトルが7.4~7.6km/秒でした。
  大気密度が決定的に違うのと突入角度も違いますので参考とはならないでしょうね。

突入後、バックシェルのエンジンを噴かしたりしてS字運動をしつつ目標を目指します。(どうもサーフィンの要領ではないかと・・・)

Entryから75秒後、heat shield面の温度が最高温度(2,100℃)となります。
(14時25分15秒)

パラシュート展開数秒前にback shell から重心変更のため錘を6個(各25kg)捨てます。
Entryから254秒後、パラシュートを展開します。
(14時28分14秒)

Entryから278秒後、heat shield分離。レーダにより高度と速度の測定開始。
(14時28分38秒)
MARDIが撮影開始。(MARDI:着陸のための降下中にCuriosityの着陸地点を詳細に撮影します。)
ヒートシールド分離時点でリニアモーターカー程度の速度となっています。

Entryから364秒後、back shell(パラシュート)分離。
(14時30分4秒)
back shell分離時で新幹線程度の速度程度となっています。
8基の逆推進ロケット噴射開始。

ローバー吊り下げ前に4基の逆推進ロケット停止。
Entryから400秒後、ローバーをワイヤーにて吊り下げ開始。
(14時30分40秒)

Entryから416秒後、タッチダウン。スカイクレーン離脱(150m以上遠くへ飛び去る)
(14時30分56秒)
タッチダウン時点では、時速2.7kmとソフトランディングです。
Galeクレーター現地時間で南半球の冬の終わり(Ls=150.6:地球の日付換算で8月23日頃)の15時頃となります。

下記は、MSL Landing PressKitのP.29に載っているタイムラインです。

大きい画像は、こちら

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Go Curiosity!

2012-07-21 11:43:19 | MSL

7月19日のMarsTodayにボールデン長官がビデオで"Go Curiosity"と呼びかけていました。
結構、力強くて元気になりますので是非見てください。

CuriosityのGaleクレーターでの成果を期待し且つ確信していると共に、スカイクレーン方式での大型探査機の着陸の成功についても期待を寄せています。
その成功は、有人火星探査の実現を早めることでしょう。
また、この機会に多くの人々に関心を持ってもらう為、最大限の努力をしたいと言ってます。
その為のToolKitを用意したのでアクセスして欲しいとのことです。
残念ながら事務局のPCでは、今のところアクセス出来ていません。
ただ、JPLのサイトなどこちらこちらこちらなど見てください。

いよいよあと16日となっています。
着陸成功を祈りましょう。

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着陸に関する記者会見

2012-07-12 15:26:13 | MSL


NASAは、7月11日にCuriosityの8月6日(日本時間)の着陸に関する記者会見を7月16日10時PDT(13時EDT:日本時間7月17日2時)に開催すると発表しました。

このイベントは、ワシントンのNASA本部で行われてNASA_TVで中継されます。ustreamが紹介されていますね。

参加者は、以下の通りです。
-- Doug McCuistion, director, Mars Exploration Program, NASA Headquarters
-- Michael Meyer, lead scientist, Mars Exploration Program, NASA Headquarters
-- John Grotzinger, MSL project scientist, California Institute of Technology, Pasadena, Calif.
-- Pete Theisinger, MSL project manager, Jet Propulsion Laboratory, Pasadena
-- Jeff Norris, manager, planning and execution systems, Jet Propulsion Laboratory

NASA_TVは、こちら

Twitterは、こちら

JPLのNEWSでは、記載がありませんでしたが、MarsTodayの記事には、カリフォルニアのJPLでもテレビ会議形式で参加できるとのことです。
もちろんメディアの記者である身分確認等が必要です。
メディアに対して、電話での問い合わせにも応じるとのことです。

8月6日の着陸に向けて、いろいろ慌ただしくなって来ましたね。
どんな話がされるのか?楽しみです。
夜中の2時は、きついですが・・・
コメント (2)
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火星料理人6名決定

2012-07-10 21:28:16 | 植物工場
7月9日のMarsDailyによりますと2013年に120日間の火星探査シュミレーションを実施するための6名のクルーが確定したとのことです。
2月12日に当ブログにて紹介した「火星で料理を!」の続報となります。
とにかく凄いです。700人を越す応募者があったそうです。
今回は、6人のメンバーと3名の控え要員が選ばれたわけですが、ほとんど同じレベルの人材が150人も居たということです。
日本にいると全く感じない何かが起こっているとしか思えないですね。
NASAでのリストラとか全体的な雇用の問題とかも影響しているんでしょうけど、2030年代有人火星探査が現実味を帯びているのでしょうね。
一国の指導者が明確な魅力的なビジョンを簡潔に打ち出すことの大切さを感じます。
もちろんアメリカの大統領は、実行力でも実績ありますから・・・

選出された6名は、以下の通りです。
+ Oleg Abramovさん, a research space scientist at the U.S. Geological Survey Astrogeology branch in Flagstaff, Ariz.;
(フラッグスタッフ(アリゾナ)の米国地質調査所宇宙地質学部門の研究宇宙科学者);

+ Simon Englerさん, a scientific programmer specializing in robotics currently on an internship at the Robotics Institute at Carnegie Mellon University in Pittsburgh, Penn.;
(ピッツバーグ(ペンシルバニア)のカーネギーメロン大学のRobotics研究所でインターンとしてロボット工学を専門とする科学的プログラマ);

+ Kate Greeneさん, a science and technology journalist, amateur filmmaker and avid open-water swimmer who is a native of Kansas and currently resides in San Francisco, Calif.;
(科学技術ジャーナリスト、アマチュアの映画製作者、および熱心な開放水域水泳選手。カンザスの生まれ、現在サンフランシスコ(カリフォルニア)に在住);

+ Sian Proctorさん, a geology professor at South Mountain Community College in Phoenix, Ariz.;
(フェニックス(アリゾナ)の南山コミュニティーカレッジの地質学教授);

+ Yajaira Sierra-Sastreさん, a materials scientist and educator who resides in Ithaca, NY, and is currently working with disadvantaged school districts and communities in Puerto Rico;
(材料科学者および教育者、イサカ(NY)に在住。現在プエルトリコの恵まれない学区及びコミュニティーで働いている);

+ Angelo Vermeulenさん, a biologist, space researcher and visual artist from Belgium.
(生物学者、宇宙研究者およびベルギーの視覚芸術家。)

リザーブは、次の3名です。
+ Yvonne Cagleさん, a NASA astronaut and family physician who is currently on faculty and serves as the NASA liaison for exploration and space development with Singularity University in California;
(NASAの宇宙飛行士およびホームドクター。カリフォルニアの特異性大学とNASAとの探査と宇宙開発に関する連絡);

+ Crystal Spring Haneyさん, a small business owner, personal trainer and at-home mother of two from Kapolei, Oahu, Hawaii;
(2つの小事業主。個人トレーナーおよびat-home mother );

+ Chris Loweさん, a space systems engineer from Southeast England who currently resides in Glasgow, Scotland.
(グラスゴー(スコットランド)に現在存在する南東イングランド出身の宇宙システム・エンジニア)。

下記は、先月実施されたCornell Universityのシェフである Rupert Spiesさんによる料理実習の様子です。


こちらのサイトには、動画も紹介されています。
こちらのサイトも料理実習の写真を多く掲載してます。


今後の予定は、次の通りです。
1.2012年後半に2週間のトレーニングを行います。
(500ドル支給されます。)

2.4ケ月の火星探査シュミレーション時の実験テーマ等を決める会議などを開催します。

3.いよいよ2013年に120日間の火星探査シュミレーションが実施されます。
場所は、ハワイ島にある不毛の溶岩地帯の実験場で行われます。
(1日当たり25ドルと完了した場合、5000ドル支給されます。)
2013年初旬とだけあって実施日は、まだ未定なんでしょうか?

6名のクルーを含むチームは、特別に建造された火星の基地で、実際に活動する宇宙飛行士のように生活して働くことを求められます。
クルーには、それぞれ、食物研究における彼らの役割に加えて、この期間に出先機関から依頼の研究あるいは個人のプロジェクトを持っています。
調査チームは、以下の科学者を含んでいます:
「ハワイ大学」
Kim Binstedさん、情報とコンピューター科学の準教授。
「コーネル大学」
Jean Hunterさん、生物学および環境工学。
Bruce Halpernさん、心理学と神経生物学の教授
Bryan Caldwellさん、準教授およびポスドク
更にシェフのRupert Spies上級講師がチームに加わりました。
Rupert Spiesさんは、実地の料理講習会をリードして、研究用のカスタム・メニューの開発を助けるでしょう。

シュミレーション実施の場所は、ハワイ島にあるHI-SEAS(Hawaii Space Exploration Analog and Simulation)となります。

HI-SEASは、下記の大学や研究機関が関わっています。
University of Hawaii at Manoa
Cornell University
PISCES(Pacific International Space Center for Exploration Systems)
NASA Human Research Program
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マリネリスの地溝帯

2012-07-08 23:39:23 | 火星地形
7月5日のESAのサイトでMelas Dorsa地域に見られるクレーターの画像が紹介されていました。
Melas Dorsa地域は、マリネリス峡谷を中心とした地溝帯の中にあり、位置的には、南緯18°、西経72°、標高2,897m(GoogleMarsによる)です。
ESAのMars Express搭載のHRSC(high-resolution stereo camera)の4月17日の画像ですね。
各画像は、こちら

下記のクレーターは、浅い角度で彗星等が衝突することによって地下の水などが噴出した結果、形成されたと推定されています。

HRSCの画像データをコンピューターで画像処理したものです。


そのそばには、下記のとおり火山灰等でほとんど埋まっているクレーターが見られます。
同心円状の堆積層が見られるので、火山物質の構成等歴史を調べることが可能かもしれません。


下図は、デジタル地形モデルです。特徴的なのは、画像の上部のクレーターが火山活動によって埋まっている様子だそうです。


場所は、下図にて。小さい長方形が当ブログの一番最初の画像部分です。


参考として、GoogleMarsの画像を下記に示します。

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夏の花火大会

2012-07-03 18:39:55 | MSL



MSLのサイトで7月4日のアメリカの独立記念日に祝典を彩る花火大会になぞらえて、CuriosityのEDL(entry, descent そして landing)で使用される火薬の役割を紹介してます。
いよいよ、Curiosityの着陸がアメリカの独立記念日から数えて1ケ月と1日後に迫ってきましたね。
EDLで火薬が使用される箇所は、76ケ所あります。
惑星探査機を火星に限らず他の惑星に着陸させる為に、火薬は、役割を終えた設備を切り離したり、パラシュートのようなものを飛び出させたり、そのパラシュートなどを切り離したり、バラストを調節したりと色々な役割を果たします。
特にCuriosityの場合は、着陸の最終段階でのSky Craneとローバーとの分離が圧巻だと思います。痺れますよ~
機械的または電気的なシステムを使用する場合と比べて火薬を使用した場合は、動作がミリ秒以内に実施できて、確実性も高いとのことです。

何回も載せていますが、下記がEDLのタイムラインです。


まずは、着陸17分前に「the cruise stage」 から 「the entry capsule」を切り離すのに10箇所がそれぞれ5ミリ秒以内に点火されます。



125ミリ秒後に、更に2箇所が点火されて75kgのタングステンの錘が2つ放出されます。
これらの錘が歴史上初の惑星へのlifting body entryを行なうことを可能にしているそうです。
今までとは格段に正確な目標地点への着陸を目指している訳ですからね。



大気圏突入後も最終着陸地点調整のためにタングステン錘の放出が行われるとのこと。
予め決めた着陸地点へ向けて搭載されているコンピューターが舵を切る能力を持っているということです。
さすが、史上初の精密着陸技術を使ったシステムです。
凄いですね~

次は、いよいよCuriosityが昨年の打上以降で最大の衝撃を受けることとなります。
パラシュートの展開による減速です。
パラシュートは、迫撃砲のような感じで上空に打上げられるとのことで、かなりの音が出るようです。
「上空14kmでの出来事で、火星上でその音を聞く者が居るとは思わないが」とLuke Dubordさん(avionics engineer for Mars Science Laboratory at JPL)が言ってます。
薄い大気の中でどのような音が聞こえるんでしょうか?



その後は、下記の動作を実施する為の44回の爆発が予定されています。
・バックシェルの切り離し

・sky craneの降下エンジンの加圧

・Curiosityのテザーでの降下

・Curiosityとsky craneとの切り離し





今年の夏は、火星での花火も楽しみとなります。
パッときれいに咲いて欲しいですね。
コメント (2)
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